第29話 唇の側

……?」


 (ち ちちち 近い!! あの女の子誰?! ベランダの男の子も誰?!)


「ああ! くんくん」


 少女がインガの目の前で、匂いを嗅ぎ、インガの唇の側を舐めた。


「美味しいだ!!」


 (え?! え ちょ?! は?!)


「食べていいだ?」


「って言うか まず誰?」


 インガが問う。


「改めて名乗ろう 私は『シロフクロウ』リーダーEveエバだ」


「『シロフクロウ』……」


「我はShadowシャドウだ!」


「インガ知ってるの?」


「名前は知ってる 巷じゃ最強の日和見集団だとか……」


「私達は私達さえ生き残れればそれでいい 長い物には巻かれろというだろう でも十分な報酬にはそれに見合っただけの働きはするさ」


「ひよりみ? って何インガ あと長い物にはまかれろ? 長い物って何? 麺?」


 雪菜が聞いた。


「っで なんの用だ」


「おい無視するな」


「まあ 顔を見にきたってところかな Shadow帰るよ」


「だ?! お肉食べてないだ! ……帰ぅ……」


 少女はとぼとぼとベランダに向かい靴を履いた。


「食べる?」


「だ?!」


 少女はタイガの声に反応して振り向いた。そして、タイガが少女に一枚の肉を差し出した。


「ん!! 美味しいだ!!」


「Shadow 帰るぞ」


「今行くだ! ありがとうだ!!」


 Eveは純白の大きなフクロウの脚を掴み、Shadowに手を伸ばす。Shadowがその手を握ると、Eveがフクロウの背中へ彼女を放り投げ、遠い夜空へ消えていった。


「インガ! ひよりみって何?!」


「僕もわかんない」


「強い方の味方をするってこと」


「長いも……」


「同じ意味だ」


「なんだったんだろうね」


 タイガがそう言いながら窓を閉めた。


「あれ? 雪華もう帰ってきてたんだ」


「え…… あ はい……」


「どうした? 具合悪い?」


「いっ いえ違います!」


 (王子様インガさんの唇………… ん…………)


「はぁ…………」




✴︎後書き

最後まで呼んでくれてありがとうございます。

おやすみなさい。

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