第28話 軽蔑の目

「エバ……?」


 雪菜が首を傾げる。


「誰かの知り合いでは……なさそうだね」


 タイガが皆んなの顔を伺い、そう言った。


「じゃ いっか 雪乃 卵〜」


「また? 雪華いないし……」


 インガが空の御茶碗を持って、立ち上がった。


「インガ ご飯取りに行くなら 卵も」


「……」


 インガは目を合わそうともせず、ご飯をよそりに行く。


「っおい……」


 インガはご飯をよそった後、雪菜のために卵を取ってやった。


「ありがとう〜」




 (…………無視?!)


 Eveがもう一度窓を叩いた。


「おい 開けろ 窓割るぞ」


「インガどうする? この前窓割って大家さんめっちゃ怒ってたけど…… 殺意はないっぽい」


 ドンドンドンドンと徐々に間隔を縮めて、Eveが窓を叩く。


「うるさいなぁ!」


 雪菜が痺れを切らし窓を開けた。


 (お前が開けんのかよ……)


「?! 子供?!」


  ベランダに居たのは白いフードを深く被った少年。純白の装束は、夏の夜空に鋭く冴える。


「君は…… C …… へ〜」


 意味ありげなアルファベットを呟いて、薄気味悪く笑う。


「いい匂いだ!」


 突如ベランダの上から頭を下げた少女が、そう叫ぶ。彼女も白い服を身に纏っていた。


「あ “だ”の子」


「女の子?!」


「だだ! お兄ちゃんアイツだ!」


 彼女はインガを指差した。


Shadowシャドウ!」


「だだ! Eve! アイツなんだ! アイツが我を捕まえただ!」


「あの男か なるほどな」


「インガ 女の子捕まえたの〜」


 雪菜と雪乃が軽蔑の目でインガを睨む。


「尾行してたんだ」


「へ〜」


「我の尾行は完璧だっただ! でもお前!」


「本当に尾行してたの?!」


 少女がベランダに降りると、靴を脱いで、インガの顔を至近距離で見つめる。


「近……」


! 覚醒しているんだろ! だっ!!」




 (ふぅ…………)


 雪華がお手洗いを終え、戻ると。


 (ど どど どういう状況?!)




✴︎後書き

最後まで読んでくれてありがとうございます。

Shadowの語尾は“だ”です。“のだ”ではないです。よく虐められる妖精ではないです。“のだ”だとその子の印象がチラつくので避けました。

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