第27話 心臓の鼓動
雪華の鋭い発言にインガが一瞬凍りつく。
「え……」
若干の沈黙に、雪菜が不思議そうにインガを見つめる。
「っく…… かははは! え?! 恥ずかしがってんのぉ〜」
雪菜がニタニタとした顔をして、煽るように口調でインガに言う。
「っくす……」
雪乃も小さくほくそ笑む。
「インガ恥ずかしいの?」
「は? 恥ずかしくねーし ユキナユキノ はい 言った 言った これでいいだろ」
「うーわっ」
(……っか かわいい
「君も手伝ってばかりじゃなくて ちゃんと食べな」
「?! え? っあ……」
「あ 話逸らした」
「逸らしてねぇよ 話終わっただろ」
「あ ってか 君呼びじゃん!」
「え?」
「え……」
雪華の心臓の鼓動がほんの少し早まった。
「ほら! 自己紹介して!」
そう言って雪菜が雪乃の背中をぽんと叩いた。
「……え えと…… すー…… はー……」
「緊張してる?」
「え?! いっいえ!」
「?」
「ゆ……雪華です……」
「ん? お前らと……」
「雪華ちゃんって言うんだね!」
「はい! よろしくお願いします」
「僕はタイガってもう知ってるっぽいね」
「はい 雪菜さんから教えていただきました」
「はい タイガはもう言ったよ〜 次はインガの番だよ〜」
「……」
インガが目線を少し下へ落として、後ろ首を掻いた。そして、観念したかのように一息をついて。
「ゆ……」
「ゆ〜?」
「ゆきか……」
王子様は目を合わそうとしてはくれなかった。けれど、少し赤みのかかった頬がしっかりと見えた。
私の鼓動からどくんどくんと音が聞こえてきた。初めての感覚だった。
(……!! まっずい…………)
「す……すみません お手洗い借りていいですか」
「いいよ 場所わかる?」
タイガが答えた。
「はい」
(……ぅぅ…………)
雪華がお手洗いに行った数秒後、ドンドンと窓を叩く音がした。
「開けろ 私は
✴︎後書き
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