第25話 鼻が利く

 湯船に3人は体を浮かべた。

 

「いい匂い……」


 雪華が小言を言った。


「そうだねー」


「はい……」


 雪菜が雪菜の首元、次に雪乃の首元に鼻を近づけた。


「ゆ 雪華……?」


 雪菜が頬を赤らめて言った。直ぐそばで雪乃も頬を染めていた。


「気分的な事なんですけど はいい匂いがするんです」


「シャンプーの匂いじゃなくて?」


「それとは別にです 逆には嫌な匂いがするんです」


 雪華の母はいい匂いだった。母の会社が倒産してからは段々と母から放たれる匂いは鼻をひん曲げるほどだった。学校もまた悪臭が漂っていた。


「?」


「あと嘘の匂いも大体わかります」


「本当?! じゃじゃあ 雪乃!」


「何?」


「俺のこと好き?」


「は? いきなりで怖…… 好きじゃないけど」


「雪華どう?」


「え……」

 (答える必要あるかな……?)


「雪華どう?!」


「嘘……かな」


「雪乃〜!!」


「ちょ やめっお姉ちゃん!」


 無邪気に2人は戯れ合う。


「そういえば さっきの御二方とはどういう関係ですか?」

 (雪菜さん結構王子様インガさんと言い合って 仲良さそうだったけど……)


「あー インガとタイガね」


「タイガさん……」


「うーん 借りてきた猫? 的な?」


「? ……?」


「お姉ちゃん 多分使い方間違ってるから辞めなよ 初対面の人にあんま分かってない言葉使うの」


「う うるさい!」


「借りてきた人達って事ですか?」


「そう」


「??」


「あの2人は『雨』の奴…… って雪乃?! 私まずいこと言った!」


「『雨』……?」


「なな 何でもない」


 雪菜は雪乃に近づき耳元で話す。


「あんま 言わない方が良いよね?」


「うん……」


「?」


 雪華が首を傾げる。


「そろそろあがろっか」


「あ はい……」

 (『雨』って何だろう グループ名? ってか雪菜さんと雪乃さんは何してる人なんだろう? 王子様インガさんはいい匂いはしたけど…… 嘘の匂いも……)




✴︎後書き

最後まで読んでくださりありがとうございます。

風呂あがっちゃった。

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