第19話 月を背に

 恋、それは彼女の、よわい16歳の純粋な感情。


 絶望の淵に差し込む一条ひとすじの光。


 いつの間にか周りにいた男たちは倒れていた。


 月明かりを背に襟を直す彼を見て、彼は私の王子様。


 きっとこれが恋なんだと気がついた。


 それと当時に、安堵に身を委ね気を失ってしまった。



  ⁂ ⁂



 国家警察の職務は国民の安全を守る事。


 俺は国家警察だ。


「……おっと」


 ふらつき倒れた少女をインガか支えた。


「あ ああ あああばあば あばばばば!!!」


 雪菜が土手を二つのスーツケースと共に転がり落ちた。


「お姉ちゃん?!」


「ぜ 全然平気…… って 何々?! どう言う事?!」


「一旦 彼女を警察に預けよう」


 インガが彼女を抱えそう言った。


「ちょちょ!! は?! ヘンタイ!!」


 そう言って雪菜はインガを引っ叩き、彼女を引き剥がした。


 その時、なんの前触れもなくタイガが発砲した。


「おい! ここで打つな!!」


「わかってる でも明確な殺意だった 逃げよう」


「は? えちょ」


「お前は彼女を運べ! ついて来い!!」


 困惑する雪菜にインガが言った。


「スーツケース……」


 雪乃が小さく言った。


「じゃあお前はスーツケース運べや!!」


 雪菜がインガの腕を掴んで言う。


「は……」


「いや運べ!」


「……」


「運べ!!!」


 一刻も早くこの場を離れたかったインガはスーツケースを運ぶ事を選んだ。


「僕一個持つよ」


 タイガがそう言ってスーツケースを持ち、5人は落葉地区から離れることになった。




✴︎後書き

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