第18話 ヒトの目

 結局、無策のまま落葉地区手前まで来てしまった。


 太陽は沈みきり、カナガナの街灯は既に灯りを点けていた。落葉地区を除いて。


 月光に反射したヒトの目だけが不気味に浮かび上がる。




 インガは雪菜に呆れ果て、思考停止してただ付いて来てしまった。


「この橋を渡った先が 落葉ってことだね?!」


「そうだよ」


「タイガはよく来るの?」


(何言ってんだコイツ)


「来ないけど」


「でも道はよく知ってんだ」


「カナガナにいる人はみんな知ってるんじゃないかな?」


「ふーん ま いいや 雪乃 武器出そう」


 そして彼女らはスーツケースを倒して、武器を取り出そうとした。


「!」


 急にインガは何かに気づいたように1人、橋の方向へ走り出した。


「インガ?!」


「ちょ アイツ結構やる気?」


 インガは橋渡る訳ではなく、土手を勢いよく滑り降りた。


「?!」


 急いでタイガがインガの後を追う。


「ちょちょ 雪乃! 一旦行こ!」


「うん」


 彼女らがスーツケースを急いで閉じて、橋の側まで行く。


「っげ この坂急すぎ……」


「お姉ちゃんはスーツケース見てて」


 雪乃が雪菜にスーツケースを預けると、雪乃も土手を降りた。


「雪乃!!」




 雪乃が土手を降りた頃にはもう既に事は済んでいたようだ。


 橋の下で伸びている4人の男と制服のはだけた女子。


 タイガは呆然と立ち尽くし、襟を整えるインガ。




✴︎後書き

読んでくれて嬉しいです。

次回も楽しみにしてくださると幸いです。

頑張ります。

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