第6話 左拳

 エネミーが暗がりに足を踏み入れた瞬間。インガは裏戸の鍵を閉め、一切の光をシャットアウトした。


「へへー 真っ暗になっちゃった」


 余裕綽々よゆうしゃくしゃくといった様子で真っ暗な店の中をガツガツと歩き回る。


 インガは常に相手の呼吸を聞き、正確な位置を把握していた。


 エネミーを真っ暗闇に閉じ込めた時点で、インガの勝利は決まるはずだった。


 インガはエネミーの足を引っ掛けて、銃を弾き飛ばす。


 つもりだった。


 屈強なエネミーの体躯はインガの不意打ちを物ともしない。


「ガハハハ そこにたのか!」


 大振りで空をひっ掻き回すエネミーについにインガは服を引っ掛けられた。


 宙に浮かぶインガ。


 快楽の笑みを浮かべて、銃口をゆっくりとインガへ向ける。



    ✴︎



 インガは持ち上げた足で銃を握る腕を落とし、首に足巻きつけた。


 勢いよく上半身を引き寄せ、エネミーの顔面に左拳を喰らわせた。


 ほんの一瞬緩めた手から、腕を振り払い顔面にもう一発、足で入れた。


 蹌踉よろめき倒れたエネミーにすかさず、手首を集中的に痛めつけ、銃を奪い脳天に鉛弾を込める。


「タイガ いるか?」


「やったのインガ?! スゴ!」


「使えそうなのは これくらいか……」


 インガがエネミーの懐から見つけたのはブラスナックルだった。


「どんだけ腕っぷしに自信があったんだ タイガ! お前が持っとけ 無いよりかマシだろ」


「ありがとう!」


「さあ 第二陣片付けるぞ」



✴︎後書き

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