『塔ノ岳』
第5話 翼の生えた犬
タイガが羽の生えた犬を連れて来た日。タイガのバディ、タイヨウが死んだ次の日。ヒウの計らいで2人は休みを貰った。
「この子飼っていい?」
「いいんじゃね」
22世紀初頭、人類は0から生命を創り出すのに成功した。
そこからデザインペットが登場するのにそう長くはかからなかった。
買い手のニーズに100%答えるソレは瞬く間に世界中の富裕層の間で広まった。
デザインペットは人間がペットとして飼う為だけに創られた命。排泄を行わなければ、生殖器官もない。生態系に関与できない設計上、捨てたい時に捨てられる。
世界生命倫理委員会が各国に法整備を求め、刑罰化されるまでデザインペットは創られ続けた。
「すみませーん」
玄関の外から呼ぶ声が聞こえた。
(声は1人 息を殺してる奴が4人……)
「はーい」
タイガがドアノブに手を掛けようとしたその時。
「!!!」
タイガは勢いよく玄関とは反対方向の窓へ走り出した。
タイガが窓ガラスを突き破って、三階のベランダから飛び降りるや否や、外にいた男達はドアを突き破って来た。
「アイツっ!」
インガはちゃぶ台を玄関の方へ投げ込み、タイガの後を追った。
「おい! 逃げやがった!!」
タイガは犬を大事そうに抱え走った。
†◇† †◇† †◇†
少し遠くのシャッター街、2人は適当な店の中で一息ついた。
「おい お前 何で逃げた」
「アイツら殺る気だった」
「は なんで?」
「わっかんない」
「武器はあるか?」
「無い」
「は?! ハンドガンは?」
「家」
「…… とりあえず その犬捨てろ」
「ダメだよ 命は大切になんじゃないの?」
「創られたもんだ」
「でも生まれて来ちゃったんだから」
「生まれてない 創られた」
「そうじゃない!」
「お前が死ぬと面倒なんだよ わかる?」
「何が?」
「入ってそうそうバディが死んで 俺の信用無くなんの!」
「僕は死なない!」
「はいはーい 喧嘩はやめましょーねぇ?」
シャッターの向こう側から謎の声。
「お前は黙っとけ 犬の口も塞いでな!」
店の中は真っ暗。先程外にいた男が裏口を開けほんの少し光が差し込む。バキュンと銃声一発。
「お前ら武器ねーんだろ 今すぐ降参したら気持ちよく逝かせてやるよ」
✴︎後書き
読んでくれてありがとう。
ハート星フォローよろしくです。
できる限り毎日書くんでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます