4話 弁柄色
アリスはふんわりとしたドレスのようなワンピースを着て従姉妹である未来の双子の妹・過去の家へと出かけた。
「うふふ、楽しくなりそうだねぇ…。って、過去に見せる顔はこっちだった!」
そう、アリスは天才子役として数え切れないほどの顔を使い分けて映画や声優に出て大きな賞をもらったり、世界中にファンがいたりするほどの売れっ子。そんな天才役者は喧嘩をした従姉妹の未来のために、普通の小学校で友達ができず、未来色屋に辿り着いたことを演じ、過去を未来に合わせることを成功させた。
「あ、アリスじゃん。今予定とかないなら来る?」
過去が申し訳なさそうに自分の家の前に「偶然」いたアリスを見て誘った。
「え、いいの?過去ちゃんのお家久しぶりに行きたい!」
心の中でにんまりしながら曇った表情を作って声もワントーン下げた。
「その…。この間はごめんなさい。」
「は、なんで謝るの?アリスは何にもしてないんだから。喧嘩に巻き込んだのはこっちだし。」
チッと舌打ちしながらそう言ってアリスを自分の家に上がらせた。
絵本に出てきそうなおしゃれで可愛い小さな家。
「私もさ、本当のところは…。仲直りしたい。」
それを聞いてアリスは心の中でニヤニヤしながらお茶の代わりに弁柄色の未来に預かった「未来色瓶」を入れたコップを運び、過去にぶつかったふりをして「未来色」を過去の体に振りかけた。
すると、過去は怒る代わりに上品に笑った。
「アリス、大丈夫?ってこんなことしてられない!笑顔になったらなんだかあの喧嘩がどうでもよくなってきた!」
弁柄色の色言葉は陽気・笑顔など。
すぐに効いたのだろう。
この後すぐに未来と過去が仲直りしたのは言うまでも無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます