オレンジ色の縁
桃山台学
オレンジ色の縁
カレシになかなか巡り合えない。男の人に、いい縁がない。そう言って嘆いていたら、メグがそうやって何もせずに悩んでるよりは何でもいいから自分からアクションを起こしなよ、なんか、奇跡みたいなの、おこるかもしんないじゃん、というから、出かけることにしたんです。
ずっと歩いていると、路地の奥に薄暗い占いの店がありました。なんだか、ひきこまれるようにして入っていったら、おばあさんがひとりで座っていました。ずっと前から、そこでわたしを待っていたかのように。
占い師のおばあさんは、わたしの話を一通り聞いてから、「あんたは自分から働きかける気持ちが足りないね」と言われました。メグに言われた通りです。
そんなこと言ったって、わたしなりに一生懸命にやっているつもりなんです、と訴えると、手を見せてみな、と手相を見られました。
「うん、悪くはないよ。頑張ってはいるみたいだ。あと少しでいい縁にめぐり会える。けれど、あんたから動かないとだめだ。あんたの得意なことを使って、自分から働きかけてみるんだよ」と言われました。
あたしの得意なことというと、思い浮かぶのは文章を書くことくらいです、というと、「じゃあ、それを使って訴えてみなよ」と、このコンテストのことを教えて貰いました。「あんたのラッキーカラーはオレンジだよ」という言葉と共に。
それで、わたしはいま、これを書いています。もし、奇跡が起こって、この文章があなたの目に触れたとすれば、読んだ次の日、つまり、明日の金曜日、わたしを探してみてください。きっと、さがしあててください。目印はオレンジ色の何かを身につけていること。
目だった長所はないけれど、そんなにかわいくはないけれど、性格がまっすぐなことが取柄です。背はそんなに高くなくて、髪はボブ。
あなたと、めぐり会えることを、ずっと楽しみにしていました。では明日、お待ちしています。見つけて、下さいね。オレンジ色、ですからね。
オレンジ色の縁 桃山台学 @momoyamadai-manabu
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