• 二次創作
  • 現代ファンタジー

桃山台学、田原総一朗に会いに行く。

思えばかなう、と思っている。必ずしも、思い描いたそのままではないにせよ、何らかの形で思いはかなう、と信じている。去年、「出版社系の文学賞のコンテストで大賞をとりたい」という思いを抱いた。それが、今回このような形でかなったことを、嬉しく思っている。

ところで、「思いかた」には少々コツがある。オリンピックに例えると、金メダルまでをめざすべきであって、そのあとについてくるもの、たとえば称賛であるとか、貰った賞金で何をしようとか、メディアでちやほやされることであるとか、そこまでは思い描いてはいけないらしい。どうも、脳が想像することだけで満足してしまい、努力しなくなるから、らしいのだが。だから、生意気なことを言うと、今回も大賞まではイメージしていた。作品の中では、ちょっと”あざとい”サブリミナル的なテクニックも使った。もしかしたら、という思いは持っていた。

でも、「副賞として田原さんとの面談券(リアルまたはオンライン)」のことは受賞の連絡をいただいてから初めて認識した。お会い出来たらどうしよう、というところまでは全然イメージしていなかった。「交通費や諸費用等は、受賞者に負担いただくことになります」とある。さてどうするか、なのだが、迷わず、これは何が何でも出かけて行って直接お会いしなければ、と思った。東京までの往復の交通費は賞金を軽く超えるけれど、こういう貴重な機会は(事情があって東京には行けないもとさんには申し訳ないけれど)プライスレスだと思った。この二年間、(授賞式にせよ)リモートが主流だっただけに、コロナが収まりつつあることをありがたいと思った。

それで、田原総一朗さんの著作を読んだ。なにせ、ご本人が、インタビューの相手に関する情報はできるだけ集めろ、と言っておられるのだ。頑張って読んだが、追いつかなくて、250冊といわれる著作の1割程度。でも、おぼろげながら、ああ、こういう方だったんだ、ということまでは理解できたような気がした。では、当日、何を聞こうか。本の中で、大抵の質問はなされていて、田原さんはそれぞれに答えておられる。一般的な質問をしても面白くない。インタビュー・面談といっても、内容を公開する義務はない。となれば、とことん、今の自分に必要なことを聞き出したい。ちょうど岐路に立っていると思われる、自分の今後の生き方の指針になるようなものをひとつでも得られれば、と思って質問票を作成し、事前にお送りした。

米寿のお祝いには、甘いものがお好きな田原さんにと、足立音江門の菓子と、あんこがとくに好きと書いておられたので、京らく製あん所のどら焼きを選んだ。召し上がって気に入ってくださっていればいいのだけれど。

前日に東京入りし、当日は、カクヨム運営の方々のおかげでスムースにインタビューをすることができた。田原さんは「1時間のインタビューであれば、50分は自分をさらけ出し、最後の10分で相手の本音を引き出せ」と書いておられるが、さすがにそれはできなかった。陳腐な表現だがあっという間に55分が過ぎ(ストップウォッチで時間の経過だけは見ていた)持ってきた『塀の上を走る』にサインしていただき、記念撮影のあとで握手をしてもらい、別れた。自分の一生の中で、確実に、記録に残る日のうちのひとつになった。インタビューの内容はもったいぶって書かないけれど、今後の指針を立てる上での重要なヒントを貰うことができた。自分では気が付かなかった、ああそうだったのか、という目鱗の言葉がいくつか得られた。それだけでも、直接会いにでかけて来た価値は十分にある面談だった。

面談の前後に、いや実は面談のあった場所はかつて勤めていた職場から歩いていけるところにあったのでバイデンの来日などあって警備が厳しい中歩いてみた、とか、神保町の喫茶さぼうるに久しぶりに寄った、とか、そのあとお会いしたかつての上司が、田原さんのインタビューのアレンジをしたことがあった、とかいった些細なことがらがあったのだが、そういうこともひっくるめて、貴重な機会を得ることができたことを、面談権の設定というアイデアも含めて、もろもろの準備をしてくださったカクヨム運営の方々に感謝したい。あ、長編を書きます。

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