2 ステータスには夢もあるけど秘密もたくさんです
「むむむ――おおー!!」
そうしてうんうん唸っていると、パアッとステータス画面が展開された。
これはテンション上がるなぁ、うん。
感覚としては自分の脳内と同時に実際の視界にも浮かび上がっているみたいな感じ。
だけど、手を伸ばしてみるもあっさりと素通りした。
立体映像なのかとも思ったんだけど、自分の近くにいる人が何の反応も示していない事から察するに、おそらく現実には画面は浮かび上がってないんだろうなぁ。
あくまで私だけが見えている、って事みたい。
「それで、ええっと……」
今浮かび上がっているのは、ステータス表示の選択画面だった。
一番上に私・
どうやら一定範囲内の生物であればステータスを拾えるみたい。
一応数を数えると、私達のクラスの30人がここに存在していて、ひとまず皆の無事が確認できてホッと安心。
あれ?
いや、ある意味ここにいない=現実世界にいる、だから名前がない方がいいのかな?
ん、んんー……今は深く考えないでおこう、うん。
「じゃあ、とりあえず……」
ひとまず基本という事で、自分自身、八重垣紫苑の欄を選択・展開する。
「おおー……!」
すると、まさにステータス欄と言わんばかりに、私についてのアレコレが記された画面が再展開。
私がイメージしていたステータス表示そのままなので、あの謎の声の人の良い仕事ぶりが伺えますね、ええ。
気になる所がすぐ大きく表示されるので、レスポンスもすこぶる良くて使い易い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆八重垣紫苑 ステータス・レベル1
HP 26
MP 814
力 30
スタミナ 60
耐久度(物理) 24
耐久度(精神) 89
素早さ 77
賢さ 17
器用さ(物理) 11
器用さ(魔力) 61
運の良さ 9
魅力 46
カリスマ 20
魔力 98
身長164cm 体重57㎏
B-W-H 89-57-88
◯所持技能
集中力 レベル1
武道 レベル3
頑固一徹
底力
悪運
◯特殊技能
ステータス レベル1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(表示されているのは、HP、MP、力、スタミナ、素早さ、賢さ、運の良さ……RPGの基本かな)
今時はSTRとかLUCとかの表示になるのだろうが、そこは分かり易いのが良いと考える私の考えをダイレクトに参考してくれているのだろう。
大体の数字は一桁から二桁。
私が遊んだ事のあるRPGの初期値としては低くはない、いやむしろものによっては二桁後半もあるので高いかも。
そう言えば、謎の声は「そこそこの身体能力」と言っていた。
この世界に来た事で、若干その辺りに
そして特筆すべきはMP《マジックポイント》。
他の数字の殆どが二桁止まりに対して、MPはぶっちぎりの三桁後半である。
私のMPはどうやら814、という事らしい。
おそらくそれなりに高いのだと思うが、他の人と比較してどうなのかは確認しないと分からないなぁ。
そして気になるのは……レベル表記が存在している事。
(レベル1、なのはまぁ納得なんだけど)
レベル数値が存在しているという事は、これをなんらかの方法で上げる事が可能なんだろうね。
しかし現実にレベルアップ、それに伴う各数値の上昇、なんて事が起こるのかな?
それなら、私達の世界でもレベルアップとかあってもよさそうだし。
と、疑問に思うと、レベルという単語が点滅する。
もしかして、と思って意識を向けると、それ《レベル》についての説明文のウィンドウが展開された。
【レベル。
生物それぞれの、生物としての枠の高さを示す数値。
この数値が高ければ高いほどに、生物として強化されているという事である】
【マナ。
世界を循環する生命エネルギー。
生物はみな、様々な活動の際に自身のマナを吐き出すと同時に世界のマナを摂取する】
(まさに痒い所に手が届く、って感じだなぁ……)
気になった所、調べたい所が即座にステータス欄、ひいては脳内に記されるのはありがたい。
要約すると、私達のいた世界ではマナが薄かったため、レベルアップ自体出来なかった。
でもこの世界は違う、という事で……おお、なんかワクワクが増してきました。
自分がレベルアップしたら、どの数値がどう上がって、どんな事が出来るようになるんだろうね。
……勿論、今は楽しんでばかりもいられない状況なのは重々承知しているけど、楽しめる内は楽しんでも罰は当たらないよね?
正直、先の見通し全く立たないからなぁ……と、他にも気になる項目があったので幾つか確認する。
取得している技能一覧とかあったりする他、私の身体の数値も詳しく記載されていた。
身長や体重のみならず、スリーサイズなど、果ては性的な……ゴホンゴホン!!
いやいや、これは表示されなくてもよくない?!
……もしかして私潜在意識的に気にしてるのかなぁ――だとしたら、うう、私って私って……。
と、ともかくデリケートな数字まで見えるんだけど……って、これ他の人の数値まで見れたらプライバシーの侵害過ぎない?
もしも表示された時は、その欄はなるべく見ないようにしなきゃ……。
そう決意しながら、ひとまず簡単な比較だけはしたかったので、他のクラスメートのステータスを見せてもらおうと思った、まさにその時だった。
「異世界からお越しいただいた皆様、申し訳ありませんが静粛に。
これより、今回の召喚についてのご説明をさせていただきます」
そんな美しくも威厳に満ちた声が空間に響き渡った。
声綺麗過ぎる……どんな人なんだろ。
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