番外編〜シオンという特異点の女①

※偏った思考と中絶について描写があります、不快に思われるかもしれませんので悪しからず。



 ハオ♥ハオ♥ハオ♥ハオ♥ハオ♥ハオ♥


 以前、カズちんが私達『ヴァルキュリア』を救った時のリボルバーを、キャットスーツの腰辺りの開いてる部分から、股に向かって突っ込んで激しく動かす。


『ハアアァァァァァァァァオ♥♥♥♥♥』


 カズちん…やっぱり好きだなぁカズちん♥

 久しぶりに話しちゃった♥

 カズちん♥你是神!(カズちんは神!)♥

 ハオだよ、カズちんハオ♥ハオ♥ハオ♥


 …ベニの牛糞野郎が隠そうとしやがったが、私のカズちんセンサーがビンビンになって気付いた。

 3年?…寂しかったよぉ…3年かぁ…再会は偶然で運命的でなければならない…これが難しかった…なんせ私から連絡してはいけないから。

 急いでコスプレしたが効果はあっただろうか?

 煙草を吸っていた、約束破ったという絡み方はうざがられただろうか?

 ただの馬鹿の流出で800万取れる技術、見て頂けただろうか?

 

 …女…女いたな…変な女…変な女…いたな…女が…いたな…女が…おん【ガアアアアアアンッッッッッ!!!】


 殺意の余り股間に入れたまま撃ってしまった。

 カズちん安心して、立ってるから銃口は下向きだよ♥


「やめろ!シオン!事務所で撃つなよっ!!」


「うるさいな、南米の牛糞は…」


 思い出すなぁ、カズちんとの出会い。

 カズちん、和樹と会うずっと前、子供の時は上海にいた。


 あまり良い思い出は無い、上海マフィアの末席にあった私の一族は、良く分からないけどミスって日本に飛ばされた。

 その際に母親は消えていた。

 

 私が年齢的に中学ぐらいで落ちぶれ過ぎて父親は自殺した。

 でもまぁ、子育てどころかまともな生活すらしてなかった親に、何も思う所はない。

 

 1人になってから調べたが、私の戸籍も怪しい、存在もどうかしている。

 出自の問題で親から警察には行くなと言われていたので、歳で言うと中学生ぐらいの時に、生きていく為に身体を売った。

 そこら辺の親父じゃない、別のマフィアの日本支部の大老、組織のトップに会いに行った。

 マフィアとは本来目立たず分かりにくい組織だが、父親の持ち物に名刺が入っていた。

 

 ただ、元々父親の一族と敵対していたマフィアだったらしく、名前を出したら面白がって囲われた。

 


 ただまぁ、身体の貧相な中学生程度の女に出来る事なんて殆ど無い。 

 誰でも使えるサイレンサーのついた銃を持って指定した人を決められたタイミングで撃った。

 今思えば抗争中のマフィアか暴力団だったと思う。


 殺しの場から去る時も怪しまれなかった。

 日本で子供が銃殺してくる訳無いとタカをくくっていたようだ。

 国では存在しない、私は捕まらない、捕まったとしても存在しない。母国も無い。

 成長期だから髪さえ変えると誰だか分からない。


 そんな事の繰り返し、でもこの時に死ななかった事を今は素直に喜べる。

 人を殺すのに躊躇いがあるかと言われれば、今はある。

 カズちんと出会って様々な経験や話を聞いて、カズちんが正しいと思うようになってからは特に。


 それはともかく世間で言うところの高校生になった頃…と言っても私は高校行ってないから知らないが、大老に呼ばれた。

 

 どうやら大老の目に叶ったらしい。

 ボディガードも兼ねて、周囲に侍る女の1人になった。

 顔やらスタイルが良いから優遇された、だけど夜の行為は吐き気がした。

 このクソ爺、大老は60過ぎのジジイだから本番は出来ないくせに、それ以外は全部しやがるし、させやがる。


 いつか殺すと決めた。


 私はボディガードじゃない、殺すチャンスが来たら、このジジイを一番最初に殺すのは私だと自分言い聞かせながらジジイの性欲の様な何かを解消していた。


 ジジイは偉い、だから社交の場に出る事も多い。

 そこでファッションモデルの話が来た。

 ジジイの夜の相手をしたくないから、仕事としてやるようになった。

 そこで取り巻きが出来る、女のコネクション。

 やれ脱ぐのが嫌だ、セクハラが嫌だと言ってる女を尻目に、私はモデル人脈からキャバクラやらソープやらの夜の女の世界でものし上がった。


 更に、私は殺しをしていた経験から調子に乗った女を脅して回った、上昇志向と外見だけが取り柄の女達を脅すのは簡単だった。


 カズちんと会ってからアダルト業界に関わった。

 カズちんには最初、悪態をついてたな。

 中国語だったけども。


『性欲で生きるクソ共、去死ロ巴(死ねよ)』


『ユウチュウバー?何?』


『杀?(殺すか?)』


『シャー?赤い3倍のシャーか?俺はジオングが好きだな』


 会話は成り立たないが、とにかく金が無い女がいたら教えて欲しいと。

 暫くはビジネスライクな付き合いが多かった。

 

 同時期にジジイは有名人になった私を侍らしてご満悦だ、とうとうたたねぇアレがたちやがった。

 時間を見つけて小さぇチンでハッスルしようとしてきやがる。

 更には今更子孫でも増やそうとしてるのか、行為が激しくなった。

 ジジイは直径の血族がいねぇ、だから必死だ。

 

 ある日妊娠したと思った。まぁ思った程度だったが病院に行ったらビンゴ。

 ジジイが知ったら泣いて喜ぶだろうが、私は自分の感情のまま、中絶した。

 あのクソジジイの子なんてこの世から消滅すれば良い。


 私もこの事に後悔は全く無い…が、後から知ったが世間的には駄目なんだろう。

 

 まともな奴が言う『子に罪はない』…という意味と、私達が相手にしている馬鹿の子供が出来た馬鹿の子に罪はない、は同一ではない。


 何故なら尊敬も出来ない、責任も取らない馬鹿との子供を産むとか言い出す馬鹿が多い事。

 何故だろうと思ったが、それで幸せになりましたという物語は腐る程あり、その幸せを掴めなそうな女ほどそれを好む。


 ベニはいつもシオンは極論だなんだ言うけど、カズちんがある日、女に言った言葉の受け売り何だな、実は。


「お前のその環境で、心入れ替えて子供を幸せにしました?自分の子供の様に愛してくれる相手が出来ました?それ、6発中5発実弾入ったロシアンルーレットの生存確率よりも確率低いから(と、いう台詞を小説で見た)。良いから中絶して二度とこの街にくるな、バイバイ」


 と、片親でろくでなしの未成年の女がホストにハマりパパ活で妊娠した馬鹿に、50万渡して病院に行かせていた。

 そこまでしてあげなくて良いんじゃない?とは思ったけど言ってる事は納得いった。


 そして、シンという地元ヤクザの次男が長男に煙たがられて悲しいみたいな話をしていた時も言った。 


『相手がクソ野郎であればある程、血の繋がりなんて悲しいものはねぇんだよな(と、いう台詞を漫画で見た)』


 彼は何か壮絶な人生かと思えばそうでもない。 

 田舎のそれなりに普通の親に愛された長男だと言っていた。

 幸せを知るから分かるこの味、ネスカ◯ェとか意味分からない事を言っていたが…

 桐山和樹…私はこの男に何処か惹かれている、そう、思い始めた時に聞いてみた。


『私も昔、下ろしたんだよ』

『へぇ、そう。若いのにね。生みたかったの?』

『全然、嫌いな奴の種だから。和樹はそういう気にする?』

『いや、全然。』

『じゃあさ?私を侍らしたいと思う?孕ましたいと思う?』

『孕ます!?いや、全然』

『何で?何しても良いんだよ?私ってほら、色々出来るし、ま、まぁ有名だし?』


 あらゆる業界に力がある、マフィアにも影響力のある、自分では思わないが美貌を買われている。


『いや、全然、何もしなくても良いし、しないし。今、目の前にいるシオンで良い(これ以上シオンに深入りしたくないし怖いし)』

 

 目の前いる私だけで良い、和樹という存在の前ではシオンという存在だけで良い?

 どういう意味?


 目の前にいるシオン良い


 ああ…あぁ…そういう事か♥

 何だか頭がフワぁッとなった。あぁ…私は…


 きっとこの男に惚れたんだ

 

『分かった、今日から呂伯シオンは和樹と契約する♥決まったから♥和樹の女だから!♥』


『え?何が!?ちょ、待てよ、おーい!』


 和樹とデート…と言っても仕事の延長でランチ行ったりしただけ。

 だけどその日の夜、開けて貰って速攻ホテルに連れ込んだ。


『ハアアアアアアアアアアオオオオオオオオ♥♥♥(好!♥)』


 ジジイのと全然違う♥まさに天国♥

 こんなに心が弾けるのは初めてだった。

 

『誰も呼んでない呼び方で呼ぶ!♥カズちんは!?♥カズのチ○コでカズちんは!?♥』


『いや、その呼び方は誰もしてないけど理由が…』


 私はそれから、所構わずキスをした。それ以上の事をしようとして止められた。

 誰に見られても構わない♥マーキングするようにハオする♥ 


 後日、大老に呼ばれた。

 いつもの事だけど、何だかやたらイライラしたので腕に仕込み銃を付けて行った。


『何やら男に熱を上げておる様だが…分かっておるな?』

『はい、大老。分かっています』


 この感情は何だろうと思い、ジジイが私の胸を掴んだ瞬間、撃っていた。

 

『ほ?【パスッ】お?【パスッ】おご【パス】ご【パス】…』


 心臓、頭、首、致命傷になる所は全部、弾が無くなるまで撃ちまくった。

 自分でも驚く程の嫌悪感、心が殺される、カズちんが殺されると思ったから撃った。


 勿論、私は名目上親殺しで拘束され、殺される前提で拉致された。

 会議に使われる中華料理屋で簀巻きにされ猿轡、喋る事も許されない。

 それぞれ派閥の代表が集まるまでの命だった。


 死ぬのは怖くない…と思う。散々殺してきたから。

 今度は私の番。それほどジジイに触られたくなかった。

 だけど和樹の顔を思い出すと、死にたくなくなるのが辛い。


 参ったなぁ…死にたくなくなっちゃったよ…


 なんて思ってたら、最も次の大老に近いと言われていた代表と一緒に、何故かカズちんと変な爺さんが入ってきた。


 良く聞こえなかったけど私の名前を出すカズちん。

 迷惑をかけてしまったかも知れない。

 もしカズちんが命を取られる様な事があったらどうしよう…


 多分、人生で初めて泣いた。

 始めて『やめて』『その人を殺さないで』と、懇願した。

 私のせいで愛するカズちんに何かあれば…悲しくて泣いた。

 人生で始めてごめんなさいと思った。

 どうしようどうしようと…悲しみ、困惑、今までに無い感情が渦巻いていたが…


『良くわからないけど、シオンは敢えてやった。そういうのを三国志で見た』


 私の髪を掴んで自分に引き寄せた。身体が熱くなって、生きている事を実感する。

 死にたくないけど…


『今は俺のモノだから、俺の女だから俺が管理する。それで手打ちでどうだろう?』


 俺の女って言った…嬉しいけど言ったら駄目だよ…親殺しは重罪…極刑とマフィアでは決まって…


 しかし突然、私は開放されて、次の大老と言われる男と握手するカズちん。

 そして、次期大老が私の耳元で言った。

 

―桐山をいつでも殺せる場所にいろ、桐山になれシオン、いつでも殺せる様に―


 カズちんを殺すとか?先にお前を殺すけどと思うぐらい何言ってるか分からなかったが『桐山になれ』と言われた…カズちんの苗字、桐山。

 

『分かった、一生付いて行く。ハオ♥カズちん♥ハオ♥』


 それから私は天下のカズちんを一品にする。

 もうそれはドロドロドロにするぐらい愛す。

 

 カズちんはいつもクール、だけど知っている。

 この人といると死なないんだよ、凄いよ、死なないって。


 一度に、中華系のピアニストの債権者の取り立てで他のマフィアと揉めた事がある。

 何かゴチャゴチャやってたけど最終的に関係者の小僧と、嵌められた女とカズちんが拉致られた。


 車で追っかけている時に思った。

 カズちんは死なない、絶対に、そして私も。


 私は拉致ってたバンを、高速道路でオープンカーを走らせながら立ち上がり44マグナム弾を撃ちまくった。

 衝撃が強いのは知っていたからゴムチューブ腕にグルグル巻にして。


 ガォオンッ!!ガォオンッ!!ガアアアアアアン!!!


『ハオ♥ハオ♥ハアアアアアアアアアアアアアアオ♥』

 

 昔の私だったら絶対しない、死ぬから。

 だけどカズちんがいるなら死なない♥

 この不文律は覆せない、絶対に死なない。


『ハオ♥ハオッ♥ハアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオ♥♥♥♥♥』


 車は事故って運転手は死んだけど3人は無事だった。


 やっぱりね♥


 愛してる、カズちん♥だから…



 


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