気付けば【峰】が無くなった、もう二度と吸えない誰が為の俺の独白

 スゥ~…ハアーーーーーーーーーーーーーー


 ニコチンの重さに慣れた頃には無くなる。

 そしてこの煙草はデッドストック。もう二度と吸えない。

 だから…俺はこれを吸いながら…どこかでずっとコレを吸ってた二十歳前後の事を思い出そうとしていた。


 昨日の騒ぎのオチは結局、戦場カメラマンをベニの部下が回収した。

 アイツの事だから多分、ケンジだっけ?ケンジの家族を脅迫したり蟹工船やらに乗せたりしないだろう。普通に数年働かせて終わりだろう。


 ざまぁと言えば運ぶ時にチャイニーズマフィア風スキンヘッドが殴って気絶させてたが…まぁ抵抗したのでしょうがない。


 あれから…泣き叫んだ後、頼子は俺にくっついたまま泥のように眠った。

 あの時、頼子は自分のエ■動画がネットの海に拡散され、世界のオカズになる事を知った。

 それを本人がどう思っているか、なんて本人しかわからない。


 ただ、再構築についてはずっと考えていた。


 再構築…結局の所…物語であれば頼子はともかく主人公の俺が悲しいとか悔しいとか、許せないとか思ってないと再構築は成立しないんじゃないか…と、思い始めていた。

 だって、それを許す許さないの話が再構築の前提だろ…

 

 もし怒り狂うのが普通なら、俺はまともな人間の発想は無い…感情は…欠落しているつもりは無い…と思う。

 ただ、やはり物語を現実に当てはめるのは違うのかも知れない。

 コレで最後にする、2度としない…かも知れない。

 煙草も小説を引き合いに出すのも、いや、マジです。


 再構築のもう一つ名作、俺も音楽やっていたから何となくだけどのめり込んだ作品があった。

 歌が天才的に上手い女と、その女を支え続けてきた男。

 少女が世界に羽ばたく為に留学をし、更に世界的に有名な先生に弟子入りをする。


 今、それ読んでないから言うな馬鹿、と思った人はブラウザバックを推奨する。ネタバレだからだ。


 ネタバレも何も再構築とNTRって書いてあるから分かるけどな…とにかくその先生に弟子入りする事は肉体関係を持つ事と同義だという事だ。

 少女も少年への後ろめたさもあり肉体関係には抵抗があったが、同時に音楽の指導についてはその先生を認める所もあり、尚且つ少年は少女夢を支えると言って知らない振りをする。


 俺は…この物語を読んで昔を思い出しキレそうになった。すれ違い…勘違い…嫉妬…良い。

 本当に…素晴らしい作品は感情をむき出しにする。


 アダルト業界にいた時に、同じ様な状況なのに何でかな…あれはピアノだっけか。あったんだよなあ。


 当時はシオンに付きまとわれて、実弾入りのリボルバーでロシアンルーレットしたりとメンタルボロボロで、身体を売る女は皆狂っちまえば良いという危険思想の持ち主になっていた。

 特に芸術・芸能で身体と引き換えにチャンスを与える、手に入れる輩に容赦無かった。

 簡単だ、そういう奴らこそ俺等を馬鹿にして舐めてるからだ。同じ穴の狢のくせにな。

 今考えれば自分にはそれすらチャンスが来なかった嫉妬だ。


 あれは、シオン経由の案件だったな。

 中国の有名なピアニストがさ、講師をしていて、日本の天才ピアニストの卵の女を才能があると囲って…彼氏に内緒で肉体関係にあった。

 それを彼氏は気付いてんだよ…何となくだけど。

 んで、その女の子はどうか知らんけど…アーティストってのは、特に金持ちのやる系統の音楽をやるやつは、とにかく金に無断着で何処か浮世離れしていてな、気付けばその講師の事務所は借金まみれ。

 結果、弟子を俺等に売り飛ばそうとしたんだな。

 やったらあのイベンターに口聞いてやる、レベルの高い舞台に立たせてやるってな。


 男の友達が相談に来てなぁ…皆どうでも良さそうだったけど俺は気に入らねぇなって言ったら…やる気になっちゃって…


 俺達は…脅してゆすって恫喝して知り得た事を全部バラした。本当は1円も金にならねぇのにな。


 男が我慢して、女がその事を言わずに高い舞台に立つために肉体関係を持っていた事を、全員が良かれと思って隠している事を第三者の俺と関係者3人いる状態でバラした。

 しかも何だろうな、エロい事してる途中で男連れて現場に突っ込んでなぁ

 

 同じ様な案件がアイドルでも、バンドでもあった。

 その都度、俺は同じ事をした。

 高名な先生様はその業界じゃ王様かも知れない、俺等への態度も、人身売買の乞食、ゴミ底辺のクズ共など散々なもんだった。


 ピアニストの時は、何も分かってないゴミ共だった。

 シオンが俺が苛ついたのを察知してなのか、自分に言われたと思ったのか知らないが…講師に向かって、ピアノを弾く両腕をいきなり拳銃で撃って中国語で言った。


【因果応報って知ってるかゴミ野郎?この弾はお前が人に与えたモノが返ってきただけ、シネ】


 女の子に向かって中国語で言った。


【お前はポン中のクズと同じ、何かに魅入られて、罪を犯す奴は繰り返す。だから1人でシネ】


 出た、シオンの極論。

 ベニが『それはお前だろ』と無慈悲なツッコミを入れた。

 シオンの言ってる事は人間を、女を管理する、その争いを収める為に生まれた真理、要は裏切りかどうか、そして裏切り者は絶対に許さない、それだけ。

 白か黒だけかも知れないが俺には理解できない。


 男の子は色んな理由も、中国語も分からず女の子をかばっていたが、女の子は育ちが良くきっと中国語が分かってたんだろうな。

 ガチガチ歯が震えてた。


 ベニが咥え煙草で男に言った。途中でシオンが口を挟む。


『このおっさんも女も、お前も自分が正しいと思う事をやった、それだけ。だから俺等も正しいと思う事をやった、気に入らないからやった、それだけ』

 

【本当に才能あれば何も差し出さなくても大成する、女は身体とお前を差し出した時点で凡才だからシネ】


 何ですぐ死ぬんだ、おかしいだろう。

 女はこういう時、望まぬ不貞をすると汚れたと思うらしい。そして男は、不甲斐ないと思う事が多いそうだ。

 売買を仕切っているシンが言った。


『汚れ共に人でなし、ゴミ。力不足に後悔、大いに結構!だけど借りた金は返さないとね?金なんだよ金ぇ!身体を張ってさぁ?物語のヒロインじゃねぇんだ、女ってのは金になるんだよ?テメェのチャンスだって、それでもぎとったんじゃねぇか?今更馬鹿かよ?大切なモノは片手じゃなくてぇ…両手で掴んどけや?常に目を凝らして?疑って?頭を働かせろや?若いからとか関係ねぇから?こんな事知ってる若ぇ奴は幾らでもいるんだよ?』


 シン…それは半グレとか小卒でグレた人の考えですね、いませんよ、そんな若い子、普通は…無茶苦茶ですよ?


 結局…女はこの件がトラウマになりピアノを辞め、男は女を支えようとしたけど、それまでのストレスで病気になり生活保護…女は自分のせいだと病んで風俗、その後どっかの病院に入ったそうだ。

 考えれば昇りつめたクソ講師が原因なんだけど…


 スゥ…ハアアアア… くだらねぇ そんな事が沢山あった


 現実…現実は小説よりも凶なり…なんてなぁ…なんて無慈悲な世界だろう。


 シンは後日、エロゲのストーリーみたいなのねぇかな。

 実際はイベント起きねぇな、だからリアルは…とか言ってた。

 コイツ小説とか見る奴だけど…だから余計憧れるのかなぁ…美しい物語に。


 昨日はこの小説の事を『愛人とか言う前にっ!〜』みたいな事を言ってしまったが、仕方無い事なんだ、良いハッピーエンドだった。

 そう、それで良いと思う。

 だって現実は余りにクソだから…物語は夢みたいなハッピーエンドが良い…壊れても構築するんだよ、許すんだよ、幸せという不確かなモノの為に


 頼子を見てると思う。


 物語に出てくるような才能は無い。

 ただ一般人が騙されただけ。

 努力だけ出来るキラキラに憧れた哀れな子供。

 ヒロインの枠は埋まっていた。

 堕ちる才能すら…無かった。


 頼子は…何をやった。


 カイゼル髭…カイゼル髭がビョルンビョルーンって…また連載が遠くて…ずっと待って…


 見せてくれよ、頼子。


 俺に、小説より奇な頼子を。


 俺が願うと…頼子は…目を覚ました。


「頼子?体調はどうだ?もし望むなら…辛い時も、楽しい時も…ずっと一緒に…いてやるからな?」


 俺は言った、今一度。永遠を誓う愛の言葉を。


 頼子は目を揺らしながら…口を開く…


「わ……わ…………」


 ここでクイズ・ミリオネア。


1、【私が悪かった、ごめんねと繰り返す】

2、【私は死ぬ、もう生きてられない】

3、【Wanna be I am Porn Star】


 3は適当に言った、1でも、2でも俺は側に…


 そう、テンプレートの恋物語で結構だ。

 俺とお前は恋をした、だから愛してる。

 恋愛だ、恋愛を前に流出やらNTRは些細な事。

 

 再構築は目の前ではじま





「ワンッ!ワンワン!!」



 クマシオだ…忘れてた…俺の担当作家はクマシオ…カイゼル髭が固くなったとか理由のわからない事を言っていた。

 そして頼子は…犬のフリをする事を決めたのか?

 しかも壊れた訳では無い、自信を失っているが、それでもやらなければいけない謎の使命感、決意を感じる顔。

 

 神はお前に言ったのか?人間の体尊厳を失う事が罰だと。


「わん!わ!?ん!?んん!?んんんんんん!」


 急に青ざめて猫背になり身体を四つん這いのまま丸める頼子…犬飼っていた時に見た…犬の糞の時のポーズだ。


 頼子の顔が…まるで昔の小田急線、成城〜下北沢間で成城出た直後の満員電車で成城出たばかりなのに便意を催した奴の顔をしている。


 いやいや、トイレに行けば良いんだ、頼子。

 何で覚悟を決めた顔をする?頼子?


 俺の物語…俺の物語は…鈴蘭から始まれとか贅沢な事は言わない、しろいおはなも望まない。


「頼子…良いんだ…何を目的としているのか知らんが…しろいおはな…鈴蘭でも何でも…花を摘みに行っても良いんだ…だからっ!だからぁっ!」


 やめてくれ!言っただろう!?対魔忍とウ◯コはやめろって!

 俺の人生のプロデューサーはクマシオか!?

 アイツは無敵のアイドルを書こうとしたらシモの方に無敵のアイドルを書いてプ■デューサー肉◯器を連呼したら消されたから肉便器だけにしたら公序良俗違反じゃないとか意味わからな



 ブリッ!ブリリリ!!ムリムリムリムリムリムリムリムリ



 俺は再構築で思い出した。再構築で検索したらクマシオの作品の下に【科学文明崩壊後再構築】のリビルドワールドがあった。

 いや、好きだけども…

 


※やってしまった…後、2話!多分!

 


 

 

 


 


 

 

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