アタイとアイツは……。〜色とりどりの絆〜
ほしのしずく
第1話 アタイとアイツは……。
アタイは、チワワのテン子。
今年で二歳になる成長真っ盛りのレディで。
咲野家のアイドルというのは、アタイのこと。
毛色は、ロイヤルミルクティーのような気品あふれる色をしているし、毛並みも月一のシャンプーカットで綺麗に整えられているの。
つまり、アタイが一番可愛い。
そこは、パパもママもわかってくれているとは思う。
アタイを抱き上げて顔を擦り寄せながら「世界一可愛い」って言うからね。
だけど……この家、咲野家にはもう一匹の犬がいる。
いわゆる先住犬ってやつね。
ソイツの毛色はレッドで、名前はポン太。
なんというか間の抜けた名前よね……昔っぽいというかなんていうか。
まぁ、いつものんびりしているアイツにはお似合いだけど。
それに、ポン太は犬だっていうのに、ご飯を食べるのが遅くて、アタイに横取りされても文句も言わない。
生きる力がないっていうか、色々ダメなのよね。
あと、毛並みはアタイと同じ美容室に行っているだけあってそこそこ良い。
悔しいけど。
ただ、犬種はアタイとは違ってトイプードルっていう犬種ね。
世間では、子熊のようで可愛いとか、もてはやされているけど、あれはカットのおかげだから!
いつも大人しいだけのアイツより、普通にアタイの方が可愛いし!
ごめん。アタイとしたことが取り乱した。
ともかく、アタイは犬種も色も違うアイツを認めないって、あの出来事が起こるまで、考えていたのだけれど、今は……少しだけ見直している。
ほんの少しだけね。
🐶🐶🐶
あれは寒い日。
普段はユカダンっていうものと、エアコンっていうもののおかげで、お家の中はあたたかくて過ごしやすい。
だけど、こういう日に限ってパパとママが、エアコンとユカダンなるものをつけ忘れてしまったみたいで、アタイは震えていた。
でも、その事実を知らないアタイは、いつものようにお気に入りの机の下で、あたたかいはずの床にお腹をくっつける。
「くぅーん」
でも、やっぱり寒くて震えが止まらない。
すると、背中にあたたかい何かが触れる感触があった。
何だかいい匂いがするし、肌触りもフワフワしていていい。
「くぅーん」
アタイが振り返ると、そこにはあののんびり屋のポン太がいるじゃないか。
ポン太は、背中をアタイにくっつけたまま何も言わない。
「……」
見向きもしない。
だけど、震えているアタイから離れそうとしなくて、アタイ少し動くとそれに合わせてゆっくりと動く。
🐶🐶🐶
その後。
エアコンとユカダンをつけ忘れたことに、気付いたパパたちが戻ってきて、事なきを得たのだけれど。
アタイから見たアイツの印象は変わった。
色が違っても、犬種が違っても、先住犬でも、そうじゃなくても。
なんていうか……家族なのかな?
なんて……思ったりして。
と、とにかく!
少しくらいは見どころのあるやつなのかも……。
これからも、近くでのんびり屋で、よくわからないアイツを観察しようと思う。
おしまい🐾✨
―――――――――――――――――――――――
作者のほしのしずくです🐶
最後まで読んで頂きありがとうございます✨
今回はゴリラさんではなく、わんこ目線でお話を綴ってみました🖊✨( *´艸`)
だ、大丈夫だったでしょうか?💦
読んで少しでもほっこりして頂けたら、嬉しいです✨
引き続き磨いていきます(🔥口🔥)و*
アタイとアイツは……。〜色とりどりの絆〜 ほしのしずく @hosinosizuku0723
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます