15 着物の章
小説投稿サイト提供お題・着物に沿って制作。
15【蝉と少女】夜の着物の章
主人公(私)
佐藤 章良(さとう あきら 45歳 無職 あだ名[さっちゃん])
私は着物を探していた……何故かと言うと私は最近、暇なのでの小説を書いては小説投稿サイトへ投稿をしている。その所属しているメンタルサイトいや間違えた(汗)小説投稿サイトが週に1回小説のお題を出してくる、それが今回は[着物]なのだ。まずは現品を安く仕入れ隅々まで調べて見ようと思ったのだ……
話しは少し前の夜に遡る……
ある夜、嫁にも娘にもバイキン扱いされて家に居にくい私は寂しく繁華街の居酒屋で呑んでいた、この店は翁が1人で経営している、寂しい感じの居酒屋で他の客は殆ど見た事がなく、いつも私の貸切の様であった、気が荒れてる私には喧嘩相手がいないので好都合である、そこで私はシャケおにぎりと鰤の味噌煮込みをイラつきながら食らい、日本酒を2合飲み、その帰り、酔い覚ましの為にコンビニでコーヒーミルクを買い、飲みながら駅に向かって繁華街の雑居ビルが乱立する暗い裏通りを歩いていた、心の中で妻の若い頃の姿を思い出しては「は~」と溜息をついた。
私は目頭が熱くなった、若い時の妻は鬱の私を引っ張っり人生の列車に乗せてくれた、
『君ならできると』
よく励ましてもくれた、その効果なのか私の鬱も一時はだいぶ良くなった。
その妻も今は韓国ドラマ狂いである。
私の事など、どうでも良いようだ。
その事が関係してるのか、私の鬱を最近再発し、日によっては異常に無気力感に襲われる、そんな感じなので仕事はしてない、やはり仕事してない人間はクズである、
(※あくまで働けない理由は人それぞれだと思います。気にしないで下さい)
妻と娘の顔がそう言っている……息子の一馬さえも最近は目をあまり合わせてくれなくなった……
妻の事を考えたついでに去年死んだペットの白猫を思い出した25年も生きた、猫として長生きである、あの猫は私が心配で中々死ぬ事ができなかったのであろうとか考えてしまったりする、ただ時命で死んだ、だけだろう……
このまま家に帰るのは気が重かった。
明日は職安に行こうと心に決めた。
明日になると気持ちがどうなるかは、分からんが、もう限界だ家にいるより具合悪くても働いてる方がマシな気がした。
私は裏路地をゆく……自治会の提示板らしき物に貼り付けられたビラに『切り裂き魔注意!』と書いてあった、日付は最近である、私はヤナ予感がし緊張した、私は自分の獲物の小刀(柿乃守)を取り出そうと胸の内ポケットに手を入れた……今日に限って家に置いてきてしまった、その時、武術に長けた若い時の妻が横にいればなと思った、妻と下った島の山道を思い出した……
直ぐに予感は現実になった、何やら先に佇む人影が見える!私は動揺したが直ぐに諦めるように平常心を取り戻した此処で死ぬのも運命かな、とも思った、自暴自棄である、私は自分の運命を試すように人影に向かって歩いて行った、怪しい人影の横を通過する時「もし」と人影は声をかけてきた! 私は人影の正体を確認するため声がした方向に顔を向けた、雑居ビルの狭い隙の暗闇にたたずむショート七三で簡素な木面を付け、紺シャツに黒スーツのノーネクタイ姿の暗殺者の様な細っそりした小柄な男であった、怪しい面男が私を見てこう言った
「もしもし旦那着物探してます?」
なっ! なぜこの面男は私が着物を探してるのを知ってる?どこから情報が漏れた?(汗)面男は言った
「いい着物入りましたよ旦那」
私は試しに聞いてみた
「いくらだ」と私は面男に聞いた。
「6万でどうでしょう? 旦那」
良い着物が6万、高くない、手持ちは10万有る、使ってしまって自分を追い込んだ方が働きに行ける気がした、中途半端に金を持ってるからいけないのである、私は自分を追い込む必要があった、騙されたと思って男に付いて行った……私はある雑居ビルの部屋のドア前まで案内された、私は面男に聞いた
「何故面をしている?」
「過去に酷い火傷を負いまして、そんな事より、旦那この部屋に着物ありますんでご自由にしてください、ではお代を」
「前金で一万は払う、後は着物を見てからだ」
「旦那は疑り深いな~わかりました、お代は後でエエですよ、此処で待ってますよ」
「そうかでは見てくる」
私は部屋の中に入ったそ、そこで、み、見た物はな、なんと! ベットに座り、アイドル風の制服を着た少女であった、少女は怪しい笑みを浮かべた私は固まった! 部屋の照明も赤かった、こ、これは私が過去で若い頃ある島で体験した異空間に似てるヤバいあの面男にハメられた刺客だったか……1時間程して私はスッキリして部屋を出、面男に金を渡した、面男は缶コーヒーを2つ私に差し出した、
「冷たいのと暖いのお好きな方をどうぞ」
「お前気が効くな」私は冷たい方を手に取って開けた。
「へへへ」面男は暖かい方のコーヒーの蓋を開けた。
「タバコもどうぞ」と抜きやすく一本のタバコが飛び出た箱を差し出して進めてきた、私は一本抜いて口に咥えた、面男の右の人差し指には金蛇の指輪の赤目が光っていた。
「ハイ火」とライターで火を着けてくれた。{ふ~}と一口吸った、その煙草の味わいは高級なタバコだった、その事からこの男は小物では無いと思った、缶コーヒーも口を付ける蓋の所をわざわざアルコールのウエットテッシュで拭いて渡してきた。
「どうでした? いい生娘でしたでしょ、旦那ラッキーですよ、また帝都のお偉いさんのキャンセルが入ったらお知らせしますよ、ワシの名は切鎌と言います、旦那は私の話をイヤな顔せず聞いてくれた……ワシは旦那の事が気入りましたよ、良ければまた電話ください旦那には優先的に生娘を回しますよ」
妙だ面男がつけてるメンズコロンの香水の匂いの裏に微妙だが女性のフェロモン臭を感じた、もしや……
「ちなみに旦那の好みの女性のタイプなど教えてもらえると……」
面男は手帳とペンを取り出した左利きのようだ。
「かすみちゃん」
「あ、あの女優の」
「そうだ」
「はい、かしこまりした、お任せください、瓜二つの生娘を用意します、旦那も良い趣味でイヒヒ、今後は旦那は特別に帝都の役人並の待遇にしますわ、他に間引き(暗殺)と渡し(賭場)の案内もできますのでそちらも合わせて宜しくお願いします、以後お見知り置きを、ハイ名刺、オットこの名刺は汚れていますな、少々お待ちを」
面男は十字架が描かれた黒い名刺入れから新しい名刺を取り出し私に差し出した「ではこれを、捨てないでくださいよ、ヒヒヒでは今夜の所はこれで、お時間取らせました」
「あ、忘れてるところでした、旦那少しお待ちを最近この辺りでワシらの島(縄張り)を荒らす切り裂き魔が出るんで帰りに注意してくだされ、だんな見たところ少しできるように見えますが武器はお持ちで?」
「今日に限って小刀を忘れきた」
「小刀? ちなみに流儀はどこで?」
「知らん、師(嫁)には特に聞かなかった。体術と小刀を組み合わせた実戦的な物だ」
「なるほど、アーミー式ですかね、それはお困りで丁度良い物を持ってますわ」
と鎌切は腰バックから折りたたみのナイフらしき物を取り出し私に差し出した。
「バタフライナイフですわ、お貸しします、また会える時の約束の縁繋ぎとして、どうぞお持ち下さい。ワシが駅まで付いて行ってあげたいのですが、この後、ちょっと仕事が有りまして」
「ありがとう、また必ず会おう切鎌君」と
私は男の手を握った。
「へへ、照れるな旦那、では」と男は頭を下げた。
私は面男を後にした、途中で振り向いたら、私が見えなくなるまで、その面男は頭を上げずに下げていた。
あの面男、腰に手のひらサイズの小鎌2個をぶら下げていた、あれは、おそらく仙身一族も恐れる暗殺技の使い手だ、大陸の南方で広まった、その技は鎌を媒体にし、カマイタチを人工的に発生させ、敵を大根みたいに切り裂くと噂されている。面男は足音一つさせてなかった、おそらくかなりの使い手だろう、味方に付けといて損は無い、まさかこんなとこで達人に出会うとは、名刺には『切鎌 寂』(キリカマ ジャック)と名が記載されていた、あの面男、女だ!声も変えてる、面をしてるのはそのためだ、面から見える瞳は女の物そのものだった、首の当たりの白い皮膚感からして、まだいっても歳は30位に思われる、身長は160ギリ位。
よく当たる私の感がそんな気がした……何か禁断の恋が始まる気もした……
私は帰りに思った、やはり男は女を抱かなければいけないのである、抱けば元気になる、嫁が相手してくれないなら、働いた金で女を買うのだ、そのために働くのだ、私の第二の青春が始まった、空を見上げてたら満月が綺麗だった、私は目を閉じ月の光を全身で受けた私の心を月の光に浄化された気がした。
再び目を開いた私の瞳にもう迷いは無い!
我が頼るのは我のみである。
雑居ビルの踊り場に居る黒い猫がこちらを見て微笑んでるように感じた。
私は前向きな心で駅に向かって歩いて行った、その時「ニャガォー」と猫の警戒音みたいな鳴き声が聞こえた! その時、左太腿(ひだりふともも)に鋭い痛みが走った! 切られた、後ろを振り向いたら黒いパーカーを羽織った目が完全にイッてっしまってる形相の大男が立っていた……不覚、カミナリが鳴り出した{ゴロゴロ⚡️}あれは切裂き魔だ、まさかこんなとこで油断した、切られた所は見る見るうちに濡れてきた傷は深い! ウソだろー、{ザー}雨が降ってきて私はバタフライナイフを構えた、敵も同じ武器みたいだ、しかしも二刀流だ、勝てないかもしれない……
最初に足を切られて、スピードを失った私たしには勝ち目はなかった雨に打たれながら散々に身体中を切られギリギリで致命傷にならないように避けるのがやっとであった……びしょ濡れで身体が冷えてきた血が流れ過ぎたようだ寒気とフラフラがする、目が霞んできた、だんだん疲れてきた、そのうち私は地面に躓き(つまずき)尻餅をついた、{バッシャッと}泥を撒き散らした、もうダメだ、切裂き魔がトドメを刺そうと私に突っ込んで来た、何かスローモションに感じる、頭に嫁と子供達の顔が浮かんだと同時にこの後、相手に抱きついて腹に刃を突き刺し相打ちに持ってく覚悟を決めた!
観念したその時「旦那ー」と声がし、
切り裂き魔と私の間に黒い人影が横から割って飛び込んで来た!
{ドーン⚡️⚡️}バッカン! とカミナリが落ちた音と鈍い音が響いた! 切鎌である、切り裂き魔の攻撃を顔の面で受けた様である、面は半分に割れ落ちた、やはり切鎌は女性であった、それも結構な水が滴る美形な顔であった見惚れてしまった、切り裂き魔は切鎌の攻撃を同時に受けたみたいで腹と膝の辺りから血を吹いて跪く(ひざずく)様に倒れた、そのまま切鎌に続け様、首を飛ばされた!切り裂き魔は絶命した。
「いやー旦那、申し訳ない、やはり追って来てよかったですわ、ハハハ、あぁ旦那にバレちゃった、私の正体、まぁいいですけど旦那なら」と切鎌は笑った。
「傷、見せてください、あちゃーこれはいけない腿の辺りバッサリ切られてますわ、ウチに寄って下さい手当てしますわ、私こう見えても元外科医なんですよ」と彼女は自分が着ている紺シャツを脱ぎ破りその布切れで私の太腿の切り口の心臓に近い上の方の当たりを縛り止血した。
彼女の胸元のブラは雨で濡れ、まだ汚れ(けがれ)を知らないピンク色の乳首が透けて見えた、私の様な物が見てはいけない物を見てしまった気がした、彼女は真顔である、気にしてないようである。
「死体はこのままにするのか?」
「後で仲間に引き取らせますわ、これは前にウチを規律違反で首になった奴ですわ、馬鹿な奴ですよ、細かい事は言えないですけど、個人的には生かしておく訳にはイケナイ男だど思ってたんで、丁度良かったですわ、さっさ私の肩に掴まって(つかまって)」と私は彼女の肩を借りて歩き出した、彼女の綺麗な横顔を見て心の中で彼女のこの顔を快楽に溺れたヤラシイ顔にしてみたいとこんな状況で考えてしまったやはり私は根っからダメな人間である。
その後、鎌切の家で私は麻酔を打たれて腿の手術を受け、1週間程泊まった……その時、鎌切との間に何かあったかどうかは想像にお任せする、一つ言えるのは恋は40過ぎても諦めてはいけないのである。
後で知った事だが、この業界では生娘を着物と隠語で呼んでるらしい。
生娘=生者=着物[終]
※内容に女性を軽視差別したと取られてもおかしくないと思われる表現がありますがあくまでも物語の世界観を伝える為の手段でしか無く。作者にはその意図は無い事を記しておきます。
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