分冊⑤【分記・先祖伝来の章】

分冊⑤【分記・先祖伝来の章】


 彼女と宿を朝、出発しその後15分程バスに揺られ、バスを降り山道を20分程登り、山の裾野にある彼女の家に着いた。

L字の平家である。

庭には柿の木が生えていた。

去年、病気で亡くなった祖父の家を借りて、ここで彼女は1人で住んでるらしい、実家の家は駅の方にあるみたいで 彼女はここからもう少し登った廃教会の墓地の管理を臨時だが仕事としてるらしく、ただ教会の中は親戚にあたる地主兼島長よって立ち入り禁止になっているという。

その警備も彼女は兼ねている。

彼女が一回だけ教会にコッソリ侵入し中を探検した時、隠されたような屋根裏の部屋をたまたま発見し中には西洋タイプの棺桶らしき物があったという……この仕事も元は祖父の仕事だったと言う、彼女は親から任されてるとの事。

とりあえずお邪魔して寝る事にした昨日からロクに睡眠を取ってなかったからである。

玄関を入ったら直ぐ台所で右が書斎兼客間、玄関から入って真向かいの方向の壁左側に脱衣所のドア、右側は柿の木が生える庭を右に観ながらの奥の寝屋への廊下、脱衣所に入って手前左がトイレ、奥左が浴室、突き当たりのドアから奥の部屋にも行ける、その奥の部屋が彼女が普段生活している部屋みたいである。

彼女の部屋は脱衣所と廊下、両方から台所に出てこられる間取りだ。

ちなみに洗濯機は庭の小屋に設置してあるみたいだ。

ベットで彼女は寝て私はその下でお客様用の布団を引いて寝た……

起きたら午前の11時だった。起きたら彼女は先に起きていた。

部屋着きに着替えたみたいで肩に[量産型]とプリントされた白いシャツに下はホテルでも見た、前に花の刺繍が施されている黒いショーツ姿で、ラフな感じに紙たばこを吸っていた。

少し彼女の部屋に興味が湧き彼女の許可を取って観察してみた、本棚には何やら色々な本があった、歴史 占い 参考書 キャンプ 登山、BL……

中には[気持ちいいSEXの仕方]とか[SM入門]などもあった、彼女は見られても特に気になってはいないみたいだ多分私でこのヤラシイ本の内容を試そうとしてるみたいだ。(汗)

部屋の中に干してある下着は黒や青や赤が多い。

小さい木の机の上には何か色々な部品が転がっている小さいモーターが多い、何を作っているかは不明だ。

小さい化粧台もあったがこれは私は興味が湧かないからノータッチだ。

気になったのは古そうな皮造りのガッチリな4冊の古い本である。

一冊手に取って開いて見たら、ページの最初と最後では紙質も字体も違いが明らかにあり、歴史的に違う物に感じた。

後から何世代にあたり継ぎ足し継ぎ足し内容を複数の人が追加している本だと思った。

また、お菓子を食べながら読んだみたいで本の隙間にお菓子のカスらしき物が沢山、挟まっていた、この本はあまり大切にはされてないようだ。

彼女は後ろから言った

「それはおじいちゃんから引き継いだの先祖伝来の物のよ、

前はもう一冊、[人造人間&復活]の書があったんだけど、おじいちゃんが

『これは今の人類には扱えきれない。

ご先祖さま、不甲斐ない私を、お許しください』

とか言って

泣きながら燃やして泣きながらその火で焚き火して、薩摩芋を焼いて焼けた芋を全部1人で食べちゃってさ

その後スッキリしたとか言って笑ってた。

だから本は燃えて、無くなっちゃたんだ~。

燃やす前に少し読んだけど、印象に残ってるところは『人間の魂は骨に宿ってる』んだってさ」


「……」


種類には

「薬の調合法」

「護身術」

「武器の製造法」

「仙身一族の歴史」

と筆で後から書いた紙が本に貼ってあった。

彼女が言うには彼女の一族は仙身(せみ)一族といい、古からこの地、城塞都市を築いたサッカーリ王に使える一族で、彼女の先祖は側近で隠密の仕事を請け負う部隊の管理的な仕事をしていたと言う。

祖父の話では先祖は地元の薬草や貿易で入ってきた薬草などを調合して一時的に脳に作用し超人的能力を発揮させる、精神薬を作っていたそうだ、しかし先祖の本に載っている薬の材料になる薬草はほとんどは絶滅してしまっているみたいで製造はほとんどの物が今は出来ないそうだ。

今でも取れる薬草は2品のみで、この辺の土地でのみ取れる、

[サカリ茸]

[サカリ草]だそうだ。

サカリ茸の効能は一時的に少し潜在的な能力を引き出すと言う、副作用は潜在的欲望が高まってしまうそうだ。

依存性は無いと言う、彼女の祖父は自分の身体で試したみたいだ……

サカリ草は気付程度の効能らしい。

彼女は言う

「祖父は茸も草も干して湯煎し出汁は別々に服用してたみたい、私は二つを合わせてコーヒの豆みたいに煎ってドリップして市販の炭酸の栄養ドリンクで割って飲むのよ、君が山道で座り込んだ時に飲んだジュースがそれよ。

おじいちゃんの茸や草の出汁より効くのよ、サカリ草は湯煎して出汁を飲む以外にタバコと同じ様に紙に巻いて吸えるのサカリ草も依存性は無いみたい、たぶんね」

私は茸の副作用の潜在的欲望が気になった、彼女に聞いてみた、

「おじいさんはこの二つの薬草を混ぜてはダメと言ってた?」

彼女は答える。

「うーん、あー言ってたような気はするでも本に記載されてた内容は

茸のみ服用が一般的で

茸と草合わせたのか兵士の気付用で

茸と草と蜂蜜は病人と王様用で

あ! 思い出した王様用は月1が服用量だった、で王様の血が入ってる王族だと薬の作用で


人を金縛りにできたり


一瞬だけ次元をずらし爆風などから身を守ることができたり


手から出した波動の様な物で病を治したり


できる能力が稀に期限的だけど使える様になるんだってサカリ茸自体が王様の血を使って菌を培養して王様の体と相性の良いように特別に開発した茸みたいだよ。

ちなみに現在は蜂蜜入り栄養剤があるから便利ね。

私の体調は大丈夫よ、性欲も食欲もバッチリだもん」


いかん、この人、結構アバウトだと思った。私は月1回の薬を短時間で2杯飲んじまった!

道理で一日歩いた後、彼女と徹夜でエッチしてそれも何回もイッケたわけだその分大変だったけど……


ひょっとしてだが彼女はこのサカリ茸の中毒になってしまっているのではないかと思った。


彼女に見つめられて、よろず屋の前で動けなくなったのは、彼女がこの薬を常用しているためにおきた薬の効果だったのかもしれない。

先祖が王様の側近だったのなら彼女には王様の血が何かしらの理由で入ってるのかもしれない。

あと気になったのは彼女はそれを更にドリップして純度を高め更にそれを市販の蜂蜜より薬的な栄養ドリンクと混ぜてる事である、すなわちオリジナルより強化された3つの薬を混ぜてる事になる。

そう思った時、頭の中で今までの出来事が繋がった、


彼女のたまに現れる女王様的暴走性格、これは副作用の可能性が高い。


私みたいな、人見知りが彼女に告白した事、普通に考え山道で貰って飲んだこのサカリ茸ジュースが精神に影響を及ぼした結果ではないのか?


大石の前で柿乃守から空に向かって放出された光線である、普通に考えてあれは幻覚作用である。


その後、私の鬱が治ってしまったのも、やはりこの薬の効果と考えられると同時に白拍子の神社の御利益かなとも思える?


……まぁ私のことは置いといて。


どちらにしても、彼女には現在の様なオリジナルより強化された薬の服用はやめさせた方が良いみたいだ、もう他人では無い、読者と私の彼女である、心配である。

これらの話を彼女にしてみたら、あっさり止める事を了解してくれた、中毒は自分で気付かず、人に言われると気づく事はあるらしい、彼女も思い当たる節はあるのだろう。


その他の本の内容も読んでみたが、記載されている奇妙な形をした武器も護身術も超人的になれる薬を服薬することが前提での話みたいで今は伝説的な物で本当の話なのか?と感じを受ける。

少し大袈裟に書いた可能性も感じられる。

目に止まった記載は二つあった。

一つは、猫は現実世界と異世界(あるの?)を自由に行き来できる特殊能力を持つ猫が低い確率で稀に生まれるそうだ、言葉も理解できるため大体は霊能者の式神にされるらしい。(はいはい)

もう一つは私の趣に合ってるので特に目に止まった記載がある、

内容は虫を無限の可能性が有ると書かれている。

脳の潜在能力を引き出す強化薬の効果を使い、

精神だけを軍事用に品種改良した虫の身体に移し、空から偵察などできるようになる薬や、その応用で虫の体を借りて

異世界、過去、未来を超えて暗殺を実行したり、するような話も書いてある(本当かよ?)

またタイムリープ的な薬は精神疾患になる兵士が続出した、ため服用中止になったとも記載されている。

私は思った、過去の事をいつまでも悔やんだりしてると精神を壊す、また先の心配し過ぎても精神を壊す、考えるだけでも良くないのにそれを実際に過去や未来に行ったら普通に考えて頭がおかしくなるはずである、タイムリープはできても、やっては、いけないのである。

ようは今に生きるという事である。

ただ薬を使うと、いうことは少しだが、漫画や映画の中みたいに修行して体得する超能力よりかは現実的な気はする。

薬があればの話だが。

人類はもしかしたら、過去に開発した素晴らしい薬を歴史の闇に葬って無くしてしまったのかもしれない。

ある古の皇帝が部下に、不老不死の薬を探せる話があるが探せば何処かに作り方が書かれてる本があるかもしれない。

確かに一般の兵士がこの本にも載ってる様な超人的な強さだったら島国の小国でも大陸の大国と渡り合えたかもしれない。

また

この島国の防衛を担う仙身一族は脳に作用する強化薬を使える様になる精神鍛錬1番に考えていたらしい

筋力や体力は2の次であるみたいだ。

悪く言えば薬に頼った人達である。

擁護して例えれば現在の人に似てる要領の良い人達なのかもしれない。

資格なども存在しており。

『精神鍛錬術』 初段から四段まであり当然、上の階級に上がるのは大変らしい。

合格率も記録されているので紹介しておこう。


※絶対的権力者「ルキマスター」又はナイトの推薦状が有る場合は初段の試験のみ免除される。


初段が5割 審査協会から渡された禁書を読む 論文提出

二段が3割 秘密

三段が2割 秘密

四段が1割 秘密

格段に称号が与えられる。

初段 準剣士

二段 剣士

三段 準ナイト

四段 サカリナイト


彼女の祖父も少し内容が大袈裟なのは認めていたらしい。

彼女が祖父に習った護身術や小刀の使い方や技も強化薬を服用しない基本的な物に留まっていると彼女も言う。


先祖の本の巻末に記載されているのは国の最後の事である。

『王が病で亡くなった後は妃の暴政により国は弱体化し、その時期、平和同盟関係にあった帝国(今の本州)でも革命が起き、新しく発足した新政府により同盟は一方的に破棄された。

その後は妃は女王になった。

数年後何かしらの政治的理由で帝国との関係は悪化し両国の間で戦争になり激戦の末、女王の国は帝国に滅ぼされ王朝の幕は閉じたと記載されている』

戦争の内容についても一部記載がされているので紹介しておきます。

女王の国を攻める時に全軍の指揮をとった大将が源氏の末裔の

源乃義次。

大将補佐が平家の末裔の

平乃清次である。

この2人は剣術と兵の統率力に高い評価があり、また神に守られているような不思議な能力があり、何度、攻めても多大な戦死者を出すだけで落とすことができない、この妖国を攻略するために大久保利通卿は箱館戦争の時の戦功の評判が良い、この2人を新政府軍の指揮官として異例の採用抜擢したのである。両者が平家と源氏の末裔だったのは偶然だったらしい、更に念の為、女王の妖術に対抗するため

歴史的有名な陰陽師の末裔

安倍乃太郎も参謀長に採用し彼らに備えさせた。2人は安部乃太郎の力も借り、妖国各所に張り巡らせた凶悪な結界や罠を破り、突破し、妖術を操る女王をあと少しのところまで追い詰めたが、銃弾の弾も気合で跳ね返すほどの人間離れした親衛隊長と思われるナイトに阻止され逃してしまったという。

多大な犠牲者を出し

(この時、源乃義次はナイトと相討ちで戦死している。)

何とかナイトを討ち取る事には成功し戦争には勝ったが、その後、女王を発見する事ができなかったことから、後にその振る舞いから女王は冥界の吸血鬼だったと言う伝説も残ったと記載されている。


仙身一族は安倍乃太郎の暗殺に失敗したため、女王の怒りを買い、本島近くの小島に左遷され、戦場から離脱している。結果として生き残る事ができたと記載されている。


先祖の本を本棚に戻そうとしたら、栞みたいな物が落ちたので、彼女が拾って確認したら、目が丸くなって固まっていた、それは栞ではなく、な、なんと!ソープランドリバースの美波ちゃんの名刺だった、祖父のお気に入りの子かな?名刺の裏にはメッセージが書かれていた


『今日は来てくれてありがとう、孫に似て可愛いいと褒めてくれてありがとうね♡またきてね♡』


彼女は「は~」と溜息をついて何もなかったように、名刺を折りゴミ箱に投げた。

爺ちゃんは2回目死んだと思った。

もう会えないが彼女の祖父と会ってみたい気がした。

「さてと、あーあそうだ!、お1つ吸ってみない?」と彼女は後輩にタバコ勧める悪い先輩みたいなイカツイ顔で平たいアルミ缶に入ったサカリ草のタバコを私の前に差し出した、単体で摂取する分には問題無いみたいなので、1つ貰って吸ってみた……

まぁ普通のタバコである少し味と匂いは薬っぽい感じはする、しばらくすると頭がスッキリし眠気が飛んだ気はした。「効くでしょ、これで私と1晩中エッチできるね、たっぷり可愛がってあげる」と言ってきた私は苦笑いした。

タバコを吸いながら私が更に先祖の本を手にし読みふけていると。

彼女は後から

「本読んでると疲れるでしょ、少し休憩しなさいよ」と言ってインスタントのコーヒーを作って出してくれた。


「本を沢山読む方の人?」と彼女に聞いてみた


「前はよく読んだけど……最近思うのは読書より、好きな人とHできて美味しい物を食べれれば人間それでいいのよ、私にはそれが答えよ、本ばっかり読み耽てると自分も老けて浦島太郎になちゃうよ、でも男の人はいいのかな一生子供で青春だもんね、女の子は二十歳過ぎたらお尻に火が着き出すのよ」と言った。

彼女は私が相手をしないでしばらく本を読んでいたのが気いらないようだった。本を読むと周りをシャットアウトしてしまうのが私の悪い癖である。


分冊⑥【分記・釣りの章】へ続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る