潜里羽依花
危険だらけの学園生活
学校生活には危険がいっぱいだ。
それは、俺――
でも、それだけじゃない。
「すぅ……くぅ…………むにゃ」
「…………」
とある休日、遅めのアラームで目覚めた直後。
ベッドの〝中〟から聞こえる穏やかな寝息と、左半身に押し付けられる柔らかな感触。甘いミルクのような香りに、俺は思わず顔を引き
ただ、ひたすらに……懐かれている。
「らいと、らいとぉ……」
寝言と共に潜里が体勢を変え、俺の腕をむぎゅうと抱え込む。……身体こそ小柄な彼女だが、胸元だけはその限りではない。沈み込んでいくような感触がアラームよりも強烈に俺の意識を覚醒させる。
(……多分、だけど)
ここで俺が何かをやったとしても、ほんの少しの下心で指先を動かしたとしても、熟睡している潜里は何も気付かないだろう。というか、何ならこの体勢が既にアウトだ。同じベッドで寝ている恋人同士にしか見えない。
(でも……俺には、一条さんが!)
部屋中に貼られたポスターを見て正気を保つ。
そう、俺には心に決めた人がいる。潜里は可愛いけれど、とんでもなく可愛いのだけれど、だからと言って揺らぐわけにはいかない。
――と。
「……ね、らいと」
甘い声音が、いっそ
「わたし、らいとになら……いいよ?」
「!?」
「いいよって、何が……」
「なんでも、好きなことして……らんぼうに、されてもいい」
「らいと、らいとぉ……」
「っ……」
「って…………ん?」
「…………くぅ」
「いや、寝てるのかよ……」
冷や汗を拭いながら、止めていた息を思いきり吐き出す俺。
生殺しの時間は、まだまだ続きそうだった。
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