6月25日(火)_名探偵登場!の巻《2巻3章》
「【シークレットマーダー】事件の犯人さん――次は、絶対逃がしませんから☆」
……定期試験《星集め》2日目、間もなく外出禁止時間に差し掛かる頃。
俺の前で茶色の
そして〝【シークレットマーダー】事件の犯人さん〟とは――細かい経緯や事情を抜きにすれば――他でもない、俺たち【
(おいおいおいおい……マジかよ、これ)
予想を遥かに超える最悪の展開に思わず頬を引き
「ふっふーん!」
対する物延の方はと言えば、自身の《
「七海ちゃんの可愛い決め台詞、完璧に成功しちゃいました! 既に七海ちゃんファンの
「や、ちょ、くすぐらな……わにゃにゅっ」
「も、もう~! ハム太さんもみんなもダメですよ! 七海ちゃんはとびっきり可愛い世界のアイドルなんですから、取り合わないでください~!」
「…………」
「積木さん、ヘルプです! 今なら七海ちゃんの手を握っても怒らないですよ!」
「ぷぷぷ! 積木さんの下心くらいお見通しですから☆」
「…………、はぁ」
「つ、冷たい目で見られましたっっ!?」
相棒のハムスターに頬を舐められながら大きく目を見開く物延。
冷たい目で見た、つもりはない。……ないのだけれど、もしかしたら動揺が顔に出てしまっていたのかもしれない。何しろ、物延の参戦というのは【
――と。
「落ち着いてください、積木さん?」
「!」
ふわりと近付くフローラルな甘い香りと、そよ風みたいな囁き声――。
いつの間にか俺のすぐ隣に回り込み、片手を添えるような格好でそっと耳打ちしてきたのは
「っ……」
「動揺が顔に出てしまっています。焦る気持ちは分かりますが、まずはアジトまで持ち帰りましょう」
「こういう時は、とびっきり好きなモノのことだけ考えるといいですよ?」
「たとえば、大好きな女の子の顔とか」
「大好きな、女の子……」
Sランク
やっぱり一条さんって凄い。
「……あ! 積木さん、もしかして七海ちゃんを助けてくれるんですか?」
「よっ、救世主! 可愛い七海ちゃんからの好感度がちょっとだけ上乗せされちゃいますよ☆ 喜んでください、積木さん!」
「いや……まあ、好感度はどうだっていいんだけどさ」
せめて俺たちへの疑いを少しは軽減してくれよな――と。
そんな下心を懸命に隠しながら、俺は無数の小動物に埋もれた物延の手を掴むのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます