5月24日(金)_席数のパラドックス《2巻1章》
「そういえば、今さらだけど……」
「会議室の席順って、本当にこの並びで良かったのか?」
広い室内を見回した俺は、ふとそんな疑問を口にした。
ここ、完全犯罪組織【
とりあえず俺が最奥の誕生日席を貰い、左手側に
「こういうのって定着しちゃうとそのままになるからな」
「希望があれば今のうちに言ってくれ」
「うにゅ……」
俺の呼び掛けに対する返事はすぐ隣……もとい、腰の辺りから。
椅子をくっ付けて膝枕のような格好で頭を預けてきている潜里
「わたしの場所は、らいとのいるところだから……どこでも、いい」
「なんなら、椅子は4つで足りる……かも?」
「いや、それで言うなら3つだね」
と――。
そこへ謎の割り込みを掛けてきたのは元天才子役・音無
「何しろ僕は『カグヤちゃん様の椅子になりたい』って前々から思っていたからね」
「僕の分の椅子は必要ないよ。ねえ、ライト?」
「…………」
「だったら天咲の分も
「
音無のドM発言をスルーした俺に対し、くすくすと軽やかな笑みを浮かべながら眩い銀糸を揺らすお姫様。
可憐な仕草でぴっと人差し指を頬に添えた彼女は、改めて小さく首を傾げる。
「音無さんの申し出は嬉しいですが……椅子になりたいということなら、私よりも適した方がいるかもしれません」
「
「な、なな、なんでウチ!?」
天咲のキラーパスを受けて、目を丸くした深見が勢いよく立ち上がる。ピンクレッドの毛先と共に白いカーディガンの裾がふわりと揺れた。
「ふ、普通に椅子に座った方が
「ユーギなんて、せいぜい足置きくらいにしかならないから! ばーかばーか!」
「おぉ……
「ルルちゃんから足蹴にされるのも案外悪くないかもしれない」
「シンプルにキモくてウザいんだけど!?」
頬をひくひくと動かしながらド直球に文句を叩き付ける深見。
「…………」
どうやら、それもまた音無のドMツボに刺さるらしい――というのを、最近になって知った俺だった。
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