5月3日(金)_ネーミングは超重要?《1巻3章冒頭》
「じゃあ、完全犯罪組織の名前についてだけど――」
「案があればとりあえず出してみてほしい」
5月上旬、
集まっているのは俺と怪盗、暗殺者の3人。
「はい、そうですね」
お
「では、
「!」
「か、かっけぇ……」
思わず打ち震えるくらい最高の案だ。
「……いやでも、別に俺の趣味ってわけじゃないぞ?」
「ふふっ、本当にそうでしょうか?」
「それにしては嬉しそうに見えますが」
「んむ」
「くろまくさんの趣味は、そっちじゃない……」
――と。
そこに割り込んできたのは他でもない暗殺者の少女だ。ダウナーでローテンションなマスコット系少女。俺のすぐ隣に椅子をくっ付けて右腕にむぎゅうと抱き着いてきている彼女は、いつも通り淡々とした口調で続ける。
「【絶対☆滅殺ブラッドバスターズ】の方がいい」
「! おぉ……」
「さては2人とも、めちゃくちゃセンスいいな?」
「……これはこれは。驚きのちょろさです」
ぴと、っと片手を頬に添えつつ微笑む怪盗。
純度の高いサファイアの瞳を暗殺者の少女に向けた彼女は、どこか挑発するような声音と表情で〝評価〟を告げる。
「センスで言えば0点付近なのですが」
「む」
「それは、こっちのせりふ……わたしのほうが、100倍とくい」
「ほかの案は……【
「秘密結社というより暴走族です、それ」
「では、これならどうでしょう?【
「おしゃれすぎて、よめない」
「ここは、あえてのひらがな……【はんざいくらぶ】」
「えっちな匂いがするのでダメです」
「やはり、格好良さと愛着を兼ね備えた名前が良いと思うのですが……」
人差し指を顎に添えてしばし思考を巡らせていた怪盗少女が、そこで銀色の髪をふわりと揺らした。そうして彼女は、器用に足を使って椅子をずらし、上目遣いの体勢で俺の方へと身を乗り出してくる。
「
「何か、良い案はありますか?」
「……そうだな」
至近距離でワクワクと見つめられ、改めて記憶を辿る俺。……怪盗と暗殺者の案は理想に近いけれど、俺だって大量に候補は出してきた。
中でも、お気に入りなのは――……
「――完全犯罪組織【■■■■■】、かな」
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