4月18日(木)_美少女が狙い目?《1巻2章冒頭》
「というわけで」
「今日の議題は、次のスカウト対象についてです」
――天下の大怪盗との
普段通り、俺のベッドには水色の髪の少女がちょこんと腰掛けている。
彼女が差し出してきたのは個人用のデバイスだ。
画面に写っているのは一人の少女。ダウナーでローテンションな雰囲気、幼くて可愛らしい顔立ち。さらさらの黒髪とお餅みたいな頬との対比が眩しい。
「伝説的な
協力者の少女がそっと顔を持ち上げた。
「黒幕さんは、例の〝未来〟を見ているので何とも言えないと思いますけど」
「彼女もまた――……とんでもなく、可愛いです」
「……まあ、うん」
注目すべきことは他にある気もするけれど、それについては異論ない。
「全くもう……」
ベッドの上の少女は何故か不服そうに頬を膨らませている。
「前回の怪盗さんもそうでしたけど」
「どうして、黒幕さんのスカウト候補は絶世の美少女ばかりなのですか?」
「これでは不純と言われても文句は言えません」
「どうしてって言われても……」
「別に、顔で選んでるわけじゃないんだけどな」
「なるほど、顔以外の部分で選んでいると」
「そういえば、暗殺者さんは小柄な割にとても胸が大きかったですね」
「…………」
「……あの。どこ見てるんですか、黒幕さん?」
さっと身体を隠すような仕草。……いや、そんなつもりはなかったのだけど。
とにもかくにも、少女は露骨なジト目を俺に向けつつ口を開く。
「ちなみに、どちらが好みなんですか?」
「……え?」
「怪盗さんと暗殺者さんです」
「片や
「黒幕さんの
「そ、そんなこと言われても……」
困惑気味に腕を組む。
「考えたことないって。俺、ずっと一条さんに憧れてるんだから」
「好みって言われたら一条さんしかいない」
「……じぃ……」
「……あ」
「いや、えっと」
無言の抗議で思い出す。
そういえば、少し前にも似たようなことで怒られたような。
「あー、その……どっちかっていうと、お前の方がタイプかな」
「だってほら、優しいし。手伝ってくれるし。意外と面倒見いいし……」
「何より、一条さんの親友だし」
「…………」
「相変わらずお世辞が下手ですね、黒幕さん」
はぁ、とこれ見よがしな溜め息。
ただ――ベッドの脇に下ろされた素足がぱたぱた揺れているところを見るに、少なくとも〝不正解〟ではなかったみたいだ。
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