【KAC20247】新時代のピンクの話
XX
ピンクに相応しいキャラ付けとは?
ここはジャリ番「戦隊もの」の次回作打ち合わせ現場。
戦隊における色の問題というものがある。
赤はリーダー。
青は参謀。
緑は若輩者。
黄色はムードメーカー。
そしてピンクがヒロイン。
ピンクだけ、女であるということだけがキャラクター性になっている。
これは令和の世の中ではよろしくない。
「というわけで、令和のピンクについて考えようと思う」
俺が会議の場でそう言うと
「課長は最近の戦隊を知らないんですか?」
いきなり雑音が聞こえて来たので、俺は用意していたバットでそいつを殴り倒して会議室から叩き出した。
「話を進めようか」
気を取り直して議論を再開する。
部下たちは少しだけざわついたが、すぐに調子を取り戻し
発言する。
「ヒロインはヒロインでしょう。最近はギャーギャー言い過ぎなんですよ」
部下その1の発言。
なるほど
「ヒロインと言っても、色々あるね。ツンデレもあるし、強気ッ娘もある。素直クール、ヤンデレ……」
部下その1に対する俺のそんな言葉に
部下その2が
「ならば、他の4色と被らないヒロイン属性を選ぶ、ということですか?」
実にいいことを言ってくれた。
うん。そうだよ。
それだよ部下その2。
「ドS」
「和み」
「お嬢様」
「ギャル」
「エロ」
「ドライ」
「ボーイッシュ」
……部下たちのあげた性格をホワイトボードに書き上げていく。
そして、出尽くした中からヒーローに相応しくないもの、他の4人と被る属性を弾いた。
そうして最終的に残ったのは……
姫騎士。
これだった。
他の4人の4つの特徴で、戦隊として必要な要素。
そりゃあ……武人じゃないの?
そう思ったので。
「じゃあ次の戦隊はピンクは姫騎士にしよう」
……誰も反対しなかった。
決まりだな。
ピンクは姫騎士。
だったらもう、くっ殺は言わさないといけないな。
けれど、くっ殺展開は朝からやれないから……
せめて、敵の編成でそれを表現しよう。
そうすれば、もうくっ殺を言ったも同然だ。
そこからまあ、敵組織のキャラクターは逆算的に決めていったよ。
まず戦闘員はゴブリン。
幹部はオークとスライムと触手。
そして最終ボスはエロガキだ。
そんな敵組織の名前はクッコロヘイム。
「どうだろう?」
「どうって……」
俺の提案に、部下たちは困惑している。
「エロガキはまずいですよ」
「エロガキじゃなくて
でないとPTAに文句を言われますよ。
そう言われてしまう。
むう……PTAはまずいな。
「分かった。そうしよう」
俺は部下の提案を受け入れた。
出来る上司は、部下の頑張りは評価し、取り入れるものだ。
そして令和に相応しい戦隊が撮影され、放送された。
突如地球に攻めて来たクッコロヘイムを迎え撃つ、年号戦隊ゲンゴウジャー。
ピンク枠である、レイワピンクの性格は姫騎士ということで。
窮地に陥ると「くっ殺せ」と言ってしまう設定にされた。
番組は大好評。
特に大きな視聴者の反応は上々だった。
……問題がひとつあるとすれば。
最終ボスの
……いやあ、子役の子が番組放送されるとさ、学校で
持たないんだな。
念のため、設定上成長すると顔が変化するという設定にし、12人子役を用意しておいてよかったよ。
【KAC20247】新時代のピンクの話 XX @yamakawauminosuke
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