第6話 行動開始
会社の前の階段に座り出入口の左右に植えられた、サルビアの花を見ながら、エナジードリンクを飲んでいた。
サルビアの花を1本抜き、根元を吸ってみる。
薄く、甘い味がしないでもない。
エナジードリンクを飲んでいるからそう感じるのだろう。
子供のころは、友達とこの花を吸ったものだ。
あのころは、とても美味しく感じた。
子供の時期は不思議だ。
今では触りたくないような虫でも、平気で捕まえていたし、駄菓子屋で売っているお菓子も、極上の美味しさに感じた。
「あらッ、森ちゃん。凄いイメージチェンジねぇ」
経理部の年輩の女性、楠木さんに声をかけられた。
丸く膨らんだ体に、会社のTシャツが、ピチピチで横に伸びたシャツが体のラインをひろっている。
楠木さんは、そう声をかけてくれると、私の隣りに座り、カバンから持参した水筒を取り出し、飲んでいる。
「今日は、晴れてよかったですね」
「そうね。町のゴミ拾い活動も午前中だけとはいえ、晴れているほうがましよね」
楠木さんは、カバンからミックスクッキーの入った袋を出して開封すると私に勧めた。
「あ、ありがとうございます」いちごクリームと書いてあるクッキーを選ぶ。
「森ちゃん、どうしたの?髪の毛バッサリ切って、20センチは切った?髪色も黒くしちゃって。それになんだか、痩せちゃったみたいよ。でも、なんだかそのヘアスタイルって懐かしい感じもするね」
私は、アハハと笑った。
「そうですよね。自分でも、この会社に入社したころの自分の姿に戻った気分です」
クッキーは、口の中の水分を奪うばかりで、美味しいと思えない。
「なにがあったのよ」
「そんなに、訳ありそうな様子に見えますか?」
「見えるわよ。だって、森ちゃん、今日はすっぴんじゃない。いつもは、キラキラで可愛いメイクしていたのに。黒髪、オカッパ、ノーメイクなんて180度の変身じゃない。まるで違う人みたい」
両親にしか話していないけど、ここまで聞かれたら、楠木さんには話そうと思った。
どうせ、書類上の変更などで事務員には知られることだ。
「私、最近、離婚したんです」
楠木さんは、お菓子を食べている口を動かしながら私の顔をみて、コクンと頷いた。
「旦那の浮気が原因です」
「そうだったの」
お菓子をまた勧められたけど、右手を動かして断った。
「名字も昔に戻ってしまったけど、愛称としてしばらくは森ちゃんと呼ばれたいです」
呼び名が変わり、理由を聞かれたりしたら、今はまだ傷口に塩を塗るようなものだ。
「森ちゃんは、さっぱりしている性格の人だけど、気質は女だったのね」
楠木さんはクッキーをしまうと、チーズが乗せてある煎餅の袋を開けた。
どれだけ楠木さんのカバンには、お菓子が入っているのだろう。
きっと、今日のゴミ拾いイベントの最中に、従業員にお配りするためでもあるのだろう。どちらのお菓子も個包装だし。
「気質が女ってなんですか?」
「うん。伴侶が浮気した場合に、気質が女だと、浮気相手を攻めるとか、つまり許せないのよ」
「気質が男だったら?」
「男だったらね、浮気相手の女を攻めるのではなくて、伴侶の旦那を攻めるわけ。結果、あまり離婚には至らなかったりするのよ。奥さんの浮気が原因で、旦那が離婚を決めるのは、あんまりないんじゃないかな。旦那は奥さんを攻めて、それで終わりとか、許すとか」
もらったチーズの乗った煎餅は、美味しかった。
「そういうものですかね」
私は旦那に対しての愛情が深かったぶん、不貞行為が許せなかった。
旦那の前では可愛い女でいたかったから、ヘアーからメイク、ファッションまで日々気合を入れていたが、もうそんな張り合いもないし、やりたくもない。
「結婚っていう制度が期間雇用のように期間年数があったら、更新を続けて欲しくて、相手を大切にしていくかもしれないよね。漠然と長い年月が先に続いていると思うから、浮気なんかも発生するのよ」
いわれてみてば、離婚届の保証人に、名前を書いてほしいと親元へ行ったときに、父親は考え直せないのかいと私に聞いていた。
お母さんは、黙っていたけど。
市役所の窓口にいた男性職員の表情も、目に焼き付いている。
私が離婚届を下さいって言ったとき、気まずそうな罰の悪い表情で離婚届を1枚差し出してくれた。
まあ 、にこやかに対応出来る内容でもないけども。
でも、対応者が、もし女性だったら、どんな表情をしてくれたのだろう。
旦那は自分の実家へ戻ってしまったから、今住んでいるマンションは、私の1人暮しとなった。
マンションのローンはもう支払い済みで、権利書も私となっている。
いたたまれなくなったら、売却して、私も実家に出戻ってもいい。でも、そんなパワーもない。
旦那は数回に分けて、自分の荷物を車で運んでいた。
必要であれば、車も私にくれるといった。
マンションも車も、慰謝料のつもりなのだろうか。
旦那に最後にあった日に、何故浮気をしたのか聞いてみた。
『君は、ブランド品のカバンが好きだろう?それに似せて作られた紛い物のブランド品では納得できるかい。偽物でも、長く愛用する人も世の中には、たくさんいるだろうけど、俺は本物が欲しくなった』
旦那の言っている意味が、全然わからない。そしてその話しの後、私に土下座して侘びた。
『金銭的に慰謝料が必要ならば言ってくれ。君を傷つけた詫びが、お金で済むのなら、俺も心が休まる』そうとも言った。
旦那の言った、心が休まるって言葉にも、引っかかるものがあった。
慰謝料を要求しなければ、旦那の心は休まらずに、私のことを考え続けてくれるのだろうか。
旦那の言っていることは解らない。
でも理解しようとも、もう思わない。
この結婚生活は、終わったのだから。
あざーす。
ぼちぼち従業員たちが会社の前に集まってきた。
「おはよー」
楠木さんが、塩分の入っている飴を、それぞれの社員に、お配りしている。
「塩、入っているのかい?オラァやめとくかなぁ。血圧が高いからよ」
職人の陣内さんの声だ。
私は陣内さんのそばに走り寄った。
「陣内さんも、ゴミ拾いに参加してくれるんですね」
思わず笑顔になる。
本意で出た笑顔なのか、条件反射なのか、もはやわからない。
「おう、森ちゃん。髪切ったんかい。若くみえるぞ。今日は、参加させてもらうよ。このイベントに出れるっちゅうことは、請けおっている仕事が、順調で余裕があるってことだろう?誉れなことだぜ」
陣内さんにヘアスタイルを褒められて、自分の頭を触った。
短くなった自分の髪の毛の手触りに、まだ馴れていない。
でも、ずっと落ち込んでいたから、陣内さんに褒められたのは、単純に嬉しかったと思うと同時に、仕事を持つ人間でいてよかったとも思う。
「確かにその通りですね。参加出来ない従業員は、今日も現場ですもんね」
社屋から、社長が出てきた。
これから朝礼が始まるのだ。
社長も黄緑に、社名がオレンジ色に書かれている派手なTシャツをきている。
普段から筋トレをしているのか、引き締まった体が、年齢より若くみえる。
ゴミ拾い活動の朝礼に長い話しはなかったが、衛生管理センターへのゴミの搬入は、自分が行うと社員の前で言うと、皆から拍手がおこった。
会社の敷地外から出ると、軍手を嵌めた手にトングとゴミ袋を持ち、およそ30人が思い思いの場所へ向う。
朝の8時から11時半までの、ゴミ拾いの作業の開始だ。
私は陣内さんの側を歩いた。
親子程、年が離れてはいるが、この人といると何故か安心感がある。
地面に、灰色のマスクが落ちていた。
それをトングで拾い、ゴミ袋へいれる。
歩道の植え込みの茂みをかき分けると、5円玉が土の上に落ちていた。
「あ、お金みっけ」
私のその声で、前を歩く陣内さんが振り返る。
「おう、森ちゃん。ご縁をみつけたな。いい事ありそうだなぁ。なんでまた、そんな所に落ちてるんだか」
ぶあっと涙が滲んだ。
拾った5円に着いた土を、軍手で拭いながら、元旦那の顔が頭の中に浮かぶ。
もう一度、ご縁を結べたら。
離婚の選択は、間違っていたのだろうか。
浮気が許せない気持ちは、変わらない。
他の女性を抱いた元旦那に、自分が抱かれることも、納得がいかないだろう。
でも、まだ私は、元旦那を愛している。
結婚生活を、終わらせてしまったのは、私の判断だ。
考えは、堂々巡りだ。
立ち止まっていた私に陣内さんが「森ちゃん、どうした。もう疲れた訳じゃあるまい」
進んでいた道を、引き返して私の側に来てくれた。
「この5円どうしよう」
「そうだなぁ、ご縁だから、コンビニの募金箱に入れてやるのもいいかもな」
陣内さんは、私の顔を見て「5円が悲しいのか?元気に振る舞っているが、森ちゃんの容姿の変身ぶりからすると、やはり何かあったのかい」
私が黙っていると、陣内さんは、軍手を取り節くれだった大きな手で、私の肩をぽんぽんと叩いてくれた。
優しい言葉をかけられて、嗚咽混じりの涙声を出してしまった。
「ご縁も、人の心も、お金で買えたらいいのにな」
陣内さんは、短くなった髪の毛を見てから、私の頭を優しく撫でた。
「目に見えない物は、買えないぞ。ビニール袋に空気を貯めても、いずれは、袋は萎んでいくからな。萎んだらまた空気を入れればいいが、袋自体に穴が開いてしまったら、穴を補修するか、袋を捨てて新しい物にするしかない。補修しても、元の袋の形には、なれないな。人の心なんて、そんな物に似ている。薄い袋は捨てて、頑丈な袋に取り替えて行くのが、心の成長ってやつかもしれない。心情的なことは、深く追求しないでいることも、自分の袋を破けないようにする方法でもあるかもしれん。ちょっとくらい針で刺されても破けないくらいの袋という心があれば、余裕がある生活が送れる。オレはもう歳だから、そんな感じだよ」
そんな話しを聞かされて、聞いてみたくなった。
「陣内さんの奥さんが、浮気しても、陣内さんはそう思えるの?」
「浮気か」そういうと、またじっと陣内さんに見つめられた。
私は涙を流すまいと、口元に力をいれた。
「年齢の問題もあるが、オレの家の場合だったら、お前よくやったなぁって言うかもしれんな」
自分の奥さんを想像してか、陣内さんは最後の言葉は、笑いそうになっていた。
年代もあるけど、経験や夫婦の歴史的なもので、私と陣内さんとでは雲泥の差がある。
「森ちゃんは、まだまだ若い。悩む気持ちも分かるが、こんなに可愛い森ちゃんだから、これからいくらでも機会はあるさ。怖れずに前を進めよ、森ちゃん」
私の今の心境では、前進が出来ない。
でも陣内さんに励まされたことは、大雨の中で大木の木の下で雨宿りさせてもらった気持ちだ。
家に帰り、洗面所で左手首につけていた、腕時計を外して、手を洗った。
タオルで手を拭いていたら、時計を取った部分の肌が白い。
今日の屋外作業で、かなり日に焼けたんだな。
手を拭いて濡れたタオルで、腕から取った時計を拭いた。
この時計は、元旦那からの贈り物だ。
習慣でつけてはいたが、この時計をプレゼントしてもらった日のことをつい思い出す。
洗面所の三面鏡裏の収容棚に、時計を閉まった。
新しい腕時計でも買おうかな。
そんな小さな事でも、きっと前進に繫がると思いたい。
ダイニングへ行き、最近テーブルに置きっぱなしにしているワイン。
隣りに置いたままのコップへ注いだ。
アルコールは、飲める口ではなかったけど、甘口のワインは美味しいと思えた。
酒は百薬の長。
こんな気持ちのときには、その効果を発揮してもらえたら。
コップを持ったまま寝室へ行く。
ワインをちびちび呑みながら、部屋着に着替えるとベッドへ寝そべった。
サイドテーブルには、元旦那と旅行へ行った時の写真が飾ったままで置いてある。
旦那だった人が恋しい。
自分のなにが悪くて、浮気されちゃったのだろうか。
どんな女に、元旦那は心が惹かれてしまったのか。
新しい腕時計を検索するつもりでスマホを見ていたけど、探偵事務所の検索も同時におこなった。
知りたい。
相手の女性のことが。相手の女性の顔を見たら、私の気持ちのもやもやが晴れるのかも、しれない。
めぼしい探偵事務所を決めると、電話をかけてみることにした。
砂利の間から、枯れかけたシロツメクサが所々に生えていた。
台所の窓ガラスの下には、プロパンガスが置いてある。
その直ぐ隣りがアパートのドアだ。
元の色がどれだったのか分からないような、斑模様になっているドアを開けると、こもった空気と一緒に、カビ臭い匂いがする。
狭い玄関だったけど、そこに私のスクーターを押し入れた。
古い畳に、少しスクーターの前タイヤが乗り上がった。
薄汚れた台所。
トイレも風呂場も同じように、古い。
排水口からも、古い嫌な匂いがする。
でも走ってきたスクーターの排気ガスの匂いが部屋に満ち、他の匂いを薄らいだ。
敷いたままの布団に座って、コンビニで買ってきたパンを食べて、メンタルクリニックから処方された薬を飲んだ。
飲み始めの2日間は、この薬による頭痛に悩まされたけど、体に馴染んだのか、酷い頭痛はおきなくなっていた。
その変わり、なんだか眠くなってくる。
カバンからスマホを出すと、1時40分に目覚ましのアラームをセットして、そのまま布団へ横になった。
エアコンの無い部屋は蒸し暑い。
平屋、2部屋続きのこのアパートは、台所の窓と掃き出しの窓しか開けられる窓はなかった。
換気扇を回せば、少しは涼しくなるのだろうか。
布団から起き上がると、黄ばんだプロペラの換気扇の下に付いている紐を下に引っ張った。
深夜に出かけるための道具の類は、もうカバンに締まってあるが、もう一度中身を点検した。
ついでにカバンの前ポケットからライターと煙草を出すと、換気扇の下で吸った。
事前に調べた天気予報では、行動する時間帯の天気は曇りだ。
初日から雨ではないのは、ありがたい。
携帯会社も携帯電話番号も、スマホの種類も変え、誰の連絡先も登録していない。
前のスマホは、初期設定にして、中古取り扱い店へ売った。
新たなスマホは、まだ操作が不慣れだ。
設定をあれこれ操作して見ているうちに、眠りについた。
90度に近い崖の斜面を登っている夢をみた。落下するとおもいながらも、必死で崖の上を目指している。左足を滑らせたところで、目が覚めた。
何を意味する夢だったのだろうか。
喉がカラカラに乾いていた。
台所の水道から、昨日コンビニで購入してカラになっていたペットボトルに水を入れて飲んだ。
スマホで時間を確認すると1時半だ。
セットしていたアラームをoffにして、カバンから化粧品が入ったポーチを出し、白粉の蓋を開けて自分の顔を凝視した。
眉、目、鼻、口、最後に髪の毛。
自分の脳裏に、自分の顔を焼きつけるように時間をかけてみつめる。
それから、鏡を見るのは止めて、白粉を顔面に塗りたくった。
赤い口紅をつける。
白いTシャツに着替えて、白いスカートを履いた。
紺色のジャージを羽織ると2way式の、いつものカバンをリュック仕様にして背負い、マスクをつけて、玄関からスクーターを出した。静かにアパートの鍵を閉め、砂利道も静かに移動する。
アパートから離れた道に出ると、スクーターのエンジンをかけ、目的地の神社へ向かった。
冷えた空気が心地良い。
所々にある信号機は点滅してて、この時間帯に歩いている人もいない。
ただ、数台の車とは、すれ違った。
パトカーではないのは、安心だ。
少し走行して、すぐに住宅街に左折した。
この先に、神社がある。
もう少しで神社へ着くという場所で、1軒の家の人感感知ライトが点灯して、酷く驚いた。そして自分がビクついているのを認識した。しょうがないよ。
初日だもの。
自分自身に問いかける。
神社の駐車場へ入る前に、スクーターのエンジンを切った。
手で押しながら、目立たないように、神社の奥の駐車場へ駐める。
カバンの中から折りたたみ式のナイフを出し手に持つと、鳥居をくぐり抜けた。
魔の時間。
この時刻には、魔物しかいない。
私も、今日から仲間入りだ。
さっきの人感感知ライトの前で、驚きの心を置いてきたためか、暗闇の神社は、少しも怖さを感じなかった。
よく知っている神社だからか。
神社のご神木に近寄ると、浮いたジグソーパズルの様な、木の表面の皮を選びナイフでこそいだ。
こんな目立つ場所にあるご神木に、藁人形を打ちつけては、満願成就にはならないのは、火を見るよりも明らかだ。
とにかく静かに神社内をひたひたと歩く。
ひと目につきにくい、奥にある、杉の木の裏側へ回った。
背負っていたリュックから白装束を出すと、白いTシャツと白いスカートの上から着た。
胸元には、紐をつけた丸い鏡を首から下げ、マスクを取り、櫛を口にくわえると、五徳に白いロウソクを3本差し込み、ライターで火をつけた。
五徳を静かに頭上に持ち上げ、頭に乗せた。スニーカーから高下駄へ履き替えると、金槌と五寸釘、藁人形、さっき剥がした、ご神木の木の皮を杉の木の根元に置く。
剥がした木の皮を2つにわり、これから打ち付ける杉の木の根元付近にあて、その上に藁人形を押し付け五寸釘を胸に刺した。
金槌をうつ釘の頭に、もう一枚の木の皮を当て、数十分前に見た、自分の素顔を思いながら「高橋裕子、死ね」と念じながら釘を木に打ち込んだ。
念と憎しみを込めて。五寸釘は藁人形の中に徐々に埋もれていった。
1本の釘を、完全にめり込ませるのは、そんなに時間はかからなかった。
地面に膝をついた姿勢が金槌を振りやすくてよかったせいかもしれない。
自分の頭から被せた五徳を外すとロウソクを消す。
杉の木の表に出る時には、ここへ来た服装に戻した。
木の周りの落ち葉や、生えている雑草で藁人形を隠した。
暫く辺りの気配を伺ったが、来たとき同様に静まりかえっていることに安堵した。
スクーターのエンジンがかけられる道まで出ると、元来た道でアパートへ向う。
不意にヘルメットの後ろ部分から、コツンと音がした。
飛んでいる虫でも当たったのか。
スクーターを止めて背後を見る。
この時間、暗闇ではあるが、前方にバイクのライトが点灯しているから、周囲はそれなりに見えた。
一瞬だったけど、どす黒い大きな靄が、バイクのすぐ後ろで渦巻いていた。
なんとも言えない嫌な匂いを発しながらも、徐々に空気中に粉砕して消えていった。
獣臭か。
獣臭なんて嗅いだこともない。
でも私にはそう感じ、そう見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます