第43話 ヒーローショーでハプニング!?
△△△悪の幹部たち
ネガロスの基地では、レッド役の人物が変わったとの情報が入っていた。
「ふざけるな! これではヒーローショーが開催されてしまうではないか!」
「落ち着け落ち着け、いや、むしろヒーローショーは開催した方が計画は上手くいくと思われる」
「どういうことだ?」
「ふふ、ヒーローショーが開催しなければ、『残念だった』で済まされてしまうだろう。しかし、本当の絶望が何かまだ気付かないのか? それは、応援しているヒーローが負けることだ。今私の部下をヒーローショーの怪人役と入れ替えた。これで偽物のヒーローたちはネガロスの前にひれ伏すのだ。くくく……」
「なるほど、ヒーローショーの中の人は、本物のヒーローの様に強くはない。あくまでアクションをしている素人というわけだ。それを、子供達に知ら占めること……今から楽しみだ……ついでにマスクでも剝いでやれば確実に、偽物だとバレるだろう」
「我々の戦闘員は一般男性の三倍以上の身体能力を誇っている。例え中の人間がヘビー級プロボクサーであっても勝つのは難しいはずだ」
「「「「ははははははは!」」」」
☆☆☆予想外の出来事
台本は頭に叩き込んだ。流れる音声通りに動けばいいだけだ。と言ってもレッドは主役なだけあってやることは多い。あとは司会のお姉さんが何かあってもフォローしてくれるらしい。
正直スーツというモノは蒸れて暑かった。だけど、まぁ、このぐらいなら平気だ。問題は視界がかなり悪い。これで身体を動かすとなれば……
いや、目隠しされて時の修行に比べればマシだ。
「大丈夫ですか。長田さん。体型はカンペキですね。いや、むしろ完璧すぎる……本家より引き締まってますし……どうやったらこんな肉体がショッピングモールにあるかってぐらいで」
「はい。一応俺にやれるだけのことはやります。打撃は寸止めなんですよね」
「はい。それは徹底してください。怪我したら元も子もないですので。音は全部SEでどうにかなりますから。頑張ってください長田さん」
それだけ言うと、恐らく番組のメインテーマが流れ、視界のお姉さんが挨拶を始める。
「みんなーこんにちはー! 聞こえないなー! もっと大きな声であいさつをー!」
「「「「こんにちはーーーーー」」」」っす!」
って、京都も挨拶してるし……凄く可愛いなぁ……
すると悪役の人達が現れた。
「げへへへ! ヒーローショーを楽しみにしていたお前ら! 残念だったな! 今日は我が秘密結社ネガロスがこの場所を支配する」
「……え」「あれ?」
あれ? こんなセリフあったっけ?
「え、なんかあの怪人役の人いきなりアドリブ入れて来てるんですけど大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫じゃないと思います。でもある程度は役者のアドリブに任されてるんですが、でもそれは子供を人質に取ってからの展開であって、最初からアドリブなんて聞いたことないです」
だよなぁ……
「ど、どうしたらいいですか?」
「と、とりあえず音声流れますからその通りにやってくれれば、最悪アドリブで乗り越えてください! もう出番ですから!」
「え、ちょっと! 俺素人ですからなんでアドリブで!」
『待てーい!』
「ほら、もう登場ですから! 長田さんならどうにかなります! 早く出ないと!」
音声が流れれば後はもう舞台に出るしかない。このヒーローショーは京都も楽しみにしているんだ。
だったら、どんなアドリブだってやってやる。
俺は舞台に飛び出すと悪の怪人と戦闘員が予定の数より十人くらいいる。え、三人くらいって聞いていたぞ。
「現れたなレッド。まずお前から血祭りにあげてやる! 泣き喚け餓鬼ども!」
子供抜けの番組で血祭りとかいうのか!?
『正義の名のもとに! 僕達は負けたりはしない! とう!』
しかし、台本を無視して戦闘員は俺にフルストレート……って! 寸止めじゃないのか!?
「っぐ!」
何とか腕で防いだ。え、え? 普通に痛いぞ……え、どう見ても素人のパンチじゃない。
「おおっと! どうした。レッド! こんな戦闘員の一撃で倒されて……え? お前なんで倒れていないんだ……?」
『正義は負けない! 喰らえ! レッドチョップ!』
まぁ、何とかなる。とりあえず、ヒーローショーを成立されないといけない……。技を寸止めした。
しかし反撃が飛んで――かなり本気の攻撃だ。殺気がこもっている。
だがいなすことはできる。すぐに腕を掴んで転がした。
「え?」
敵怪人役が驚いた声を漏らしているが……てか普通に殴ってきてるんだけど。
『どうだ! 効いてるか! 喰らえ!』
と、とりあえずどうにか攻撃する。寸止め寸止め……
「死ねぇ! レッド!」
子供番組で死ねはダメだろ!?
割とヘビー級ボクサー並みのパンチをしてくるんだけどなんなのこいつ……
「っぐ!!!」
結構入った。だが、親父の打撃の方が痛い。あれはマジで死ぬ打撃だ。
それに比べれば、こいつの打撃など大したことはないが……
「レッドがピンチだ! 皆もレッドを応援して!」
「「「「がんばれーーーーー! レッドーーーーー!」」」」
『うん! 君達の応援が力になってる!』
全然力になんねえよ!!! 痛いだけだわ! ちょっとどうなってんの!?
裏を見るとカンペが見えた。何々……?
『さっき怪人役の人達がみんなトイレで眠っている所が確認されました。だからそこの怪人役の人達は何らかの手段で勝手に舞台に上がっている不審者です!』
……はい? え?
更にカンペが捲られる。
『もうこの際寸止めじゃなくて倒しちゃって大丈夫です! 何とかヒーローショーを成立させましょう! アドリブでお願いします!』
え、ちょっと! それでいいのかヒーローショー!
「相手は一人だ! こうなったら全員で一気に無力化するぞ! かかれぇい!」
「「「「エイッーーー」」」」
「「「「「がんばれーーーーー!」」」」」
すると、戦闘員らしきよくわかんない奴らが一斉に殴りかかってきた。
割と殺す気で殴ってくるので……こればかりは仕方ないか。
まず軽いジャブ。あまり手ごたえはない。意外と鍛えられているな……ならば!
思い切り裏拳を放つと戦闘員は吹っ飛ぶ。
「イイイーー……」
更にもう一体! もう一体! もう一体!
「「「「イイーーーッ」」」」
戦闘員は全員。消滅した……え、消滅した!? なんで消滅してんの!?
「……え? なんでやられてるんだ……? 一撃で……? 強化戦闘員だぞ……? え……?」
すると、ボスらしい怪人役の人は硬直した。
『正義は必ず勝つ!』
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