第27話 友達との買い物

〇〇〇悩み


夏休み前。終業式の日。


「先輩と一緒に遊園地に行くことになったっす!」


宮藤さんに先輩と遊園地へ行くことを話したっす。


「ええ……そんな急に発展したの二人」


「いや、それが先輩がペアチケット当ててくれたんすよ。流れで一緒に行くことが決定したっす」


「……ね、宮藤さん。少し気になってるんだけど……確認していい?」


「なんすか?」


「その、それって先輩さんとのデートってことだよね」


……デート?


「……はい? いや、遊びに行くだけっすよ。デートなんてそんな大人な関係なわけないっすって~……デートって何すか」


「……男女で遊びに出かけることだよ」


「そうなんすか? 確かにその言い方だとデートかもしれませんっすけど……」


でも何かもやもやする。この気持ちはそんなものじゃないはずっすのに……


「じゃあ札森さん。もし、先輩さんに彼女が出来たらどうするの?」


「先輩に彼女っすか……」


先輩は確かにかっこいい。モテないのが不思議なくらい……いや、先輩だからモテないんすよね。


だけど、せんぱいの隣に別の女性がいる。そう考えると……少しだけ、いやな気持になった。


「でも、せんぱいは彼女が出来たとしても私と遊んでくれるはずっす……」


「もし、先輩さんに彼女が出来れば、今までと同じわけにはいかないんだよ。先輩さんの隣にいるのは彼女になっちゃうんだから。きっと、今まで以上に先輩は構ってくれなくなるよ」


宮藤さんの言う通りっす。私は馬鹿だから難しいことは良く分からないけど、先輩に彼女が出来れば、今まで通りにはいかなくなってしまうっす。


「……そんな、じゃ、じゃあどうすればいいんすか……私は……」


「『どうすればいい』じゃないよ、結局札森さんが『どうしたい』か、だから、そこは自分の心に従わないとね」


それなら答えは決まってるっす。


「そんなの……これからも、せんぱいと一緒に居たいっす。せんぱいの傍に居たいっすよ……」


「だったら、札森さん。先輩と一緒に居るにはどうすればいいか分かるかな」


「それは……先輩を倒して……先輩強すぎて倒せないんすけど……どうすれば……」


「違う違う違う! ……あ~もうもどかしいなぁ! 放課後! 私に付き合って! 服見に行こうよ服!」


服なんていつも着れて動きやすい奴が好きっす。


「え、服なんていつものやつでいいっす! なんで見に行く必要があるんすか?」


「そんなの、先輩さんに攻撃するためだよ。先輩さんにダメージを与えるにはイメチェンするのが一番だから!」


「こ、こうげきっすか? 分かったっす……怖いっすけど!」


「じゃあ、札森さん。一度帰宅して、先輩さんと遊園地の時に着ていく格好で、ショッピングモールに集合ね」


「はいっす」


〇〇〇ショッピングモール


宮藤さんに言われた通り私は帰宅してから、私服に着替えましたっす。


私服は普段通りにしたっす。スポーツブランドのTシャツにユニセックスのハーフパンツ。やっぱこれが一番動きやすいっす!


チャリでショッピングモールに向かうと、とても


宮藤さんはとてもオシャレな格好をしていて、私とは無縁の格好っす。


「どうもっす! 宮藤さんっす!」


「え、札森さんこの格好で遊園地行くの?」


「そうっすけど……」


「その恰好男子がしていてもおかしくないって感じだよ。もっと女子っぽくしないと……」


「え、でも、私が女子っぽい恰好したら、先輩に笑われると思うんすよ」


多分ひらひらのスカートとかはいたら死ぬほど笑われるっす。小さい頃に私がスカート履いて出てきたとき『お前女装趣味合ったのか』って言われたの未だに覚えてるっすから……


「笑わないよーちょっと、札森さん! そんなんじゃ! 先輩さんをぎゃふんと言わせられないよ!」


……確かに先輩をぎゃふんと言わせたいっす。


「わ、分かったす……」


その後。価格の安めな女子の服屋へ入っていく。ひらひらした服がたくさん合って、私とは無縁の服ばっかっす。


「札森さん! この服どうかな?」


宮藤さんは短めのスカートと可愛らしいタンクトップを出してきた。


「え、そんなスカート無理っす!」


「普段制服でスカート履いてるじゃん!」


「それは制服だからセーフなんす……うぅぅ……こんな女の子らしい恰好恥ずかしいっすよ!」


着てる姿を想像しても、一切似合わない自信があるっす!


「札森さん可愛いから似合うよ!」


「はい!? 私全然かわいくないっすよ! 宮藤さんの方が百倍可愛いっすよ!」


「え……私が可愛いって/// じゃなくて、札森さんは可愛いよ。今凄く顔真っ赤にしてるところだって凄い女の子らしいって! 自信もってよ!」


「か、かわわっわわわ……!?」


駄目っす。なんか変な気分になるっす……


その後も私は宮藤さんに言われるがまま着替えさせられたっす。



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