第24話 テストの結果
☆☆☆テスト勉強
俺はミットを装着する。
「じゃ、テスト勉強だ。正解だと思う方を殴ってけ」
「はいっす!」
「とりあえず、歴史からやってくぞ。確か一年の範囲は……冠位十二階を制定した人物は? 右聖徳太子 左蘇我入鹿」
「うらぁっ! 左っす!」
ちなみに札森の場合家の特訓マシンを使うと怪我するので俺が出題者となっている。
「違げえよ! もう一回」
間違えると、反撃のミットパンチが飛んでくる仕様となっている(もちろん手加減はしている)
「痛いっすーーーでも! これで覚えましたっす! 聖徳太子っす!」
札森は馬鹿なため普通に教えても覚えるわけない。でも、身体に教え込ませればテスト勉強はどうにかなるのだ。
「じゃ次!」
「はいっす!」
その後もスパーリング勉強法は続いた。多分札森には問題の答えを叩きこんだので大丈夫だろう。
しかし、札森が可愛いと思うなんて、今まで一度もなかったのに……札森……札森……
「はぁ……はあ……ありがとっす先輩!」
「ああ、勉強頑張れよ」
札森と別れた後も、札森のことが頭から離れなかった……
☆☆☆天鶴は補習。
テスト期間は終わり全ての問題用紙が返却された。今回のテストは何ひとつ集中できなかった。こんなこと今までにはなかったはずだ。
そして歴史の点数が0点になっている。
今は担当の教師に呼び出されて説教を受けている最中だ。
「どうしたんだい。長田君前のテストだと90点台だったのに、今回のテストだけ0点って、しかも解答が全部『札森京都』って書いてあって」
頭から離れなかったせいで歴史上の人物全てに札森の名前を書いてしまったのだ。
なぜか、写真も全て札森に思えてきた。天下統一したのも札森だし、黒船で来航したのも札森だ。総理大臣にすらなっている。世界を支配してると言っても過言じゃない……
それくらい歴史の中にあいつが巡ってくるんだ。
最近札森のことを考えすぎている気がする。
「……すみません。完全に集中力が欠けてました。腹を切ってお詫びします」
とりあえず不甲斐ない結果を見せたことには変わりない。土下座する。
「いやいや、そんなに思い詰めなくても……長田君いつも授業だって真面目に受けてるから……」
「最近。なんか頭から離れない人がいて……普段ならそんなことないんですけど」
「(一年の札森さんのことで頭がいっぱいなんだな……青いな)」
「長田君の普段の頑張りは見ているつもりだから、補習出てくれれば成績の融通は測るけど……」
「はい。受けます……迷惑かけてすいませんでした」
ほんとに……俺は何をやっているのだろう。
〇〇〇札森の場合
テスト期間も無事に終わりを迎え、何とか赤点を回避できたっす!
「凄いね。札森さん勉強苦手って言ってたのに、赤点一つないって!」
宮藤さんは私によくくっついてくるっす。ちなみに宮藤さんの点数は私より全部高く優等生っすね。
「まぁ、今回も運が良かったんすよ」
「でも、ほんとすごいよ。札森さん。授業一切聞かないでずっと鉛筆で遊んでるのに」
見られてたっす……だって、授業は何言ってるか分からないっすから……先輩を倒す方法を考えた方がよっぽど有意義な時間っす。
ちなみに、実践しようとしても何一つ成功したためしがないんすけど。
「全部先輩が勉強を教えてくれたおかげっす」
「っげ……あの人か……もし私で良ければ勉強教えるけど? もっといい点数取れるよ?」
と言っても、私普通の勉強法は退屈すぎて無理なんすよね。宮藤さんの善意は嬉しいんすけど……
「流石にそれは先輩の方が上っす。先輩は言葉じゃなくて、身体で教え込んでくれるんで……ほんとされるがままっすよ!」
「はい? か、身体で……? さ、されるがまま!?」
「はいっす。間違えたら、怒られますけど、分かるまで身体に教え込ませるんす。『無理っす!』って言っても、せんぱい分かるまでやめてくれないんすよ。ほんと汗だくになるまでやらされるんす。でもそのおかげでテストも点数取れたから感謝してるんすけど……」
なぜか、宮藤さんの顔が再び震えだす。この人ころころ表情変わって面白いっすね。
「は、わわわわわ……私の札森さんが……私の札森さんがぁ! 許せない許せない許せない許せない……」
すると宮藤さんはどこかに走り去っていく。凄く面白いっす!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます