第20話 学校の怪談

☆☆☆不気味な警備員


宮藤さんから聞いた話は、思った以上に解決できるのか分からない相談事だった。


今通っている学校の怪談についてだ。


どうやら、女子生徒は学校に課題を忘れて侵入した時に話らしい。


自分の教室で課題を回収した女子生徒は安心して帰ろうとした。しかし、そんな時。見回りの警備員が来たらしく。女子生徒は教室のロッカーに隠れたらしい。


足音が聞こえてくる。ゆっくりとこちらに近づいて、見つかったら停学になるかもしれない。そんな恐怖が女子生徒にはあった。


だけど、よく耳をすませてみれば、その足音。ぴちゃぴちゃと、何か濡れたような音だったと言う。


警備員はこちらに気付かず去っていった。あれはなんだったのだろうか……


どうして警備員が濡れているのか、それを考えているだけで朝と昼は眠れないと悩んでいるらしいのだ。


「じゃ、夜は眠れてるんだね良かったよ。その警備員を直接見たとかそういうのじゃないんだね」


「はい。そうみたいです……先輩可能ですか? 幽霊苦手だったりとか」


「学校に忍び込むのはやろうと思えばできるし、お化けなんかより、野生の獣の方が怖いよ。とりあえず今日調べてみる。結果は宮藤さんに知らせればいいのかな」


「はい。でも、言っちゃなんですけど、かなりリスクあると思いますよ」


「警備員に見つかるようなヘマはしない。だから、もしその悩み解決出来たら。お願いだからその子紹介してください……ほんっと頼みます。俺はチャンスを活かしたいんです。宮藤さんお願いします」


土下座する。


「ま、まぁ、本人に聞いてみて良ければですけど……」


「それでもいいです。ありがとうございます……あなたは恩人です……」


「(この先輩そこまで女子に飢えてるんだ……)」


「あ、このことは札森に相談しても意味ないと思う。あいつ幽霊大の苦手だから」


☆☆☆夜の学校。


っで!


「なんでお前ついてきたんだよ。お前ホラー系駄目だろ」


校門前。俺一人で学校に潜入するつもりの予定であるが、普段とは違い青ざめた顔の札森が隣にいる。


「え、え? べっつに~そんなことないっすよ。お化けが苦手なのなんて小学生の頃の話でとっくに克服してるっすよ!!!」


元気な札森がこんな目が泳いでるのはなかなか見れない。正直普段散々酷い目にあってるので、少しぐらいこういう反応楽しんでも悪くないのではないだろうか?


……


「分かった。じゃあ、二手に別れてその警備員探すか」


「え、一緒じゃないんすか……?」


「なんで見つかる可能性あるのに、一緒に行動するんだよ。幽霊平気なんだろ? だったら、俺の傍に居なくても平気なはずだ」


「は、はい。そうっすね~~~全然。ほんと幽霊全然怖くないっすから!」


と言いつつ足が生まれたての小鹿の様になっていた。


「そういえばさ、この学校で夜の噂が他にも」


「そーいえば! あの覆面レスラーの正体って……!」


高速で誤魔化される。なんでプロレストークしてんだよ。


「静かにしろよ。もう、学校に入るぞ」


すると、札森が腕を掴んでくる。


「ほ、ほんとに入るんすか?」


「……怖いならついてこなければいいだけだろ」


「それは~~いや、全然怖くないっすからほんとっすよ。ほんとうっす!」


こいつ、めっちゃ力強い。普通に腕固めみたいになってるぞ。


「なんで関節技掛けてくんだよ放せよ」


「ふんっす! 札森式大外刈りっす! うらぁぁ!」


そのまま札森は俺に大外刈りの態勢を取った。


だが、札森の力で俺を押し倒すことはできない。


「ふんっす! ふんっす! あれ全然動かないっす……え、これ普通に人を叩きつける技っすよね!」


札森の細い足で技をかけても動かせないものは動かせない。何の経験もない人にやってたら普通に決まっているが……


「甘いな。本当の大外刈りってのはこうやるんだよ」


思いっきり、札森の足をかけてそのまま……


「うひゃぁ!?」


もちろん。地面にたたきつけることはせず、札森が地面に落ちる寸前で持ち上げる。すげえ軽いなこいつ。


「し、死ぬかと思ったっす……先輩何するんすか! 酷いっすよ!」


「いや、先に技かけて来たのはお前だろ。それに、寸止めしたろ」


「うぅ……そうっすけど……」


てかこいつ、学校が怖いから俺を戦闘不能にしようとしたのか?


「んなことより、学校に入るぞ」


「う~~~はいっすぅ……」


そのまま俺達は夜の学校へ足を踏み入れる。

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