第18話 札森の友達
〇〇〇食材で釣られたっす!
私の名は、札森京都っす! 今日も今日とてセンパイの面白い行動を見ていたいっす!
いつも何言ってるかさっぱり分からない退屈な授業が終わり、せんぱいのクラスへ向かおうとすると……
「札森さ~ん」
クラスの女子に呼び止められたっす。
「なんっすか? 宮藤さん」
彼女は宮藤ハナ。何かと私に話しかけてくるっす。髪も長く、凄く可愛らしい女子っす。私とは程遠い。そもそも私可愛いで売ってないんすよ!
「今日ご飯一緒に食べない? どう?」
「え~私先輩とご飯食べたいんすよ。でも、どうして宮藤さん私とご飯食べたいんすか?」
そして何かと私をご飯に誘って来てくれるっす。
「えっと、その……私のハンバーグ一個上げるよ?」
――ごめんなさいっす先輩。今日は先輩と飯は食わないっす!
「わーーー! いいんすか! 宮藤さんのハンバーグ美味しいんっすよね! わーい!」
机に座り宮藤さんと一緒に昼食を取っているっす。
「札森さんって、運動神経抜群なのにどうして、運動部入らないの?」
「部活入ったら先輩と一緒に居られないからっすね!」
サッカー部に入ったのは先輩と居るためっすからね。他の部活からの誘いはすべて断ってきたっす。
「その先輩さんと付き合ってるの?」
「いやいや、恋愛的な感情は一切ないっすよ? ほんとに、見てて面白いんすよ。この前もアルバイト初出勤でコンビニ強盗と対面してて、それも! 悪質なクレーマーと勘違いしていたみたいで……丁寧な対応してて……お笑いのコント見てるみたいで笑い堪えるの必死だったんすよ……今思い返すだけでも笑えてくるっす」
「え、強盗ってその先輩さん大丈夫だったの?」
「あ、せんぱい最強なんで大丈夫っす。包丁で切られたんすけど刃が弾け飛んだんすよ! せんぱいにダメージ与えるなら日本刀じゃないと無理っすね!」
「先輩さん本当に人間!? (多分札森さん盛ってるんだろうなぁ……)」
「とにかく! せんぱいを見てるとほんと面白いんっすよ! あ、ハンバーグほんと美味しいっす~! はむはむ……」
先輩と会えないけど、ハンバーグは美味しかったっす。
「いっぱい食べてる札森さん……尊い……」
「あ、なんか言ったすか?」
「なんでもないよ?」
△△△宮藤ハナの嫉妬
昼休みが終わり授業が始まると宮藤ハナはノートに書き綴る。
『札森さんはデミより和風が好き。笑顔が飛び切り可愛い。マジ天使』
宮藤ハナは毎回札森の行動をノートに書いていた。
『札森京都。スポーツテストで全種目学年一位。圧倒的フィジカルと持ち前の陽気さで、運動部に勧誘されるもすべて断っている。その理由はただ一つ。先輩と遊びたいからと言う理由である……理由である……』
宮藤ハナは苛立っていた。と言うのも、宮藤ハナは札森京都に対して、少し重めの感情を抱いている。
だからこそ、札森京都を独り占めしている。長田天鶴に対して怒りと嫉妬を感じていた。
もう我慢の限界を迎えたので天鶴を呼び出す決心をした。怒りを伝えよう。もう許せないと。
宮藤ハナは天鶴の下駄箱に手紙を入れ、『放課後校舎裏で待つ』とだけ書き残す。
☆☆☆ラブレター
放課後になり俺は下駄箱を見る。すると一通の手紙が……何々……
……何!? なんだと……
うわ……これは……俺宛の手紙……文字からして多分女子だろう。校舎裏か……うわぁ……まぁ、俺かっこいいからモテるよな。
「あーせんぱいどうしたんすか? あ! 手紙! もしかして果たし状っすか?」
「んなわけねえだろ。なんで俺に喧嘩売るやつがいるんだよ。ラブレターだよラブレター。漸く俺の魅力に気付いた可愛い女の子が現れたんだよ」
「先輩強いっすから、名を上げるにはちょうどいいんだと思うんすよ。ラブレターなわけないじゃないっすか~ただでさえ先輩モテないんすから! がはは! 痛い! 痛いっす! 耳たぶ高速で弾かないでくださいっす!」
「とにかく、お前は付いてくんなよ。まじで、これふりとかじゃないから、今度こそ邪魔すんなマジで、今度来たら一週間……いや、二日間はお前無視するぞ。これはマジだ」
「……うーーー酷いっすよ! 私は先輩が勝手に思いあがってフラれて落ち込む顔が見たいんすよー」
それだけ言うと俺は校舎裏へ向かった。
すると一人の女子が待っていた。どこにでもいそうな普通の女子。リボンの色を見るに札森と同じ学年。つまり俺の一個下の後輩と言うことになるな。
「あなたが長田天鶴さんで間違いありませんか?」
頷く。
「そ、そういう君がこの手紙の差出人で間違いないんだね……」
うん。普通に可愛いし付き合える。まぁ、こういう子の方が見る目があるんだよな。俺がそんなにかっこいいのか……うわあ……
この子と俺は……リア充ライフを迎えるのか……
「はい。そうです。私があなたをここに呼び出しました。一年の宮藤ハナです」
宮藤ハナさん。凄く可愛い名前だな。
「うん。よろしく。宮藤さん」
「その、今日呼び出したのはですね……」
もじもじとしている。まぁ告白は緊張するよね。
「大丈夫。勇気が必要だと思うから、その落ち着いて話してよ」
「はい……?」
「その……これ以上。札森さんと仲良くするのやめてほしいです……」
……あぁ~なるほどなるほど。恋人になって別の異性といたら嫉妬するのは当然のことだ。そういうとこ凄く可愛いな……
札森には悪いけど、これで付き合えるなら仕方がないだろう。
「うん。宮藤さんがそう思ってるなら俺は君の意見に従うよ。札森とは一緒に居るのやめる」
「いいんですか? ありがとうございます。話の分かる人だったんですね……少し怖いかと思ってたのに……」
「……えっと、宮藤さんは……」
「あの、話はこれだけなので、呼び出してすいませんでした……」
それだけ言うと宮藤さんは帰ろうとする。
「え?」
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