【KAC20247】〜パステルカラーに恋して〜

猫野 尻尾

第1話:プリンちゃん。

僕は「棚橋 初たなはし うい」歳は23才。


ある日、買い物から帰ってきたらマンションの前で一羽のインコが飛べずに

バタバタもがいていた。

どうやらどこか怪我をしてるみたいだった。


当然、そのまま放ってなんかおけないよね。


僕はインコちゃんを部屋に連れて帰った。

案の定羽の付け根に怪我を負っていたから傷口を消毒して薬を塗って手当てを

してあげた。


インコちゃんのことを調べてみたらレインボーと呼ばれイエローフェイスの

オパーリンって品種だってことで、このインコちゃんはその中でも全体に淡い

色合いのパステルカラーレインボーって言うらしいことが分かった。

珍しい「色」みたいだ。


それから僕の献身的介護によってインコちゃんの傷は癒えて日ごとに元気に

なっていった。

でも一度痛めた羽はちゃんとちゃんと治らず、羽ばたくことができなくて

インコちゃんが部屋の中をちょこちょこ歩くようになった。


僕にも慣れてくれて僕はすっかりインコちゃんが好きになった。

僕はそのインコちゃんに「プリン」って名前をつけた。

結局飼い主も見つからないまま僕はプリンちゃんと暮らすことになった。


そしてある朝のことだった。

僕が目覚めたら、そしたら僕の横に見知らぬ女性が寝ていた。

昨夜、寝るときはたしかに僕ひとりだったはず。


「な、なに?・・・誰?」

「あの・・・君誰?」


僕は横で寝ていたその女の子を起こした。


「おはようございまう・・・私、プリンです」


彼女はそう言った。


「プリン?・・・うそ・・・インコの?」


ってことで、その子はなぜか人間になったプリンちゃんだった。


そんなことある?・・・もかしてこれって傷を治してあげた恩返し?

そうなら尚、僕は嬉しかった。

だからこの状況を一も二もなく受け入れた。

人間になったインコなんてレア。


僕は僕の横にいるプリンちゃんを引きよせて、そして優しくハグして彼女の、

ほっぺにチュッてキスした。

プリンちゃんの可愛いホホはパステルカラーに染まっていた。


おしまい。

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【KAC20247】〜パステルカラーに恋して〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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