第27話

 轟々と音のする大荒れの海で、武は刀を抜いていた。神鉄という特別な鉄を鍛えた刀身だった。


(大きいな……)


 ここは存在しないはずの神社から二日後の南西へ約300キロの地点。

 もうすでに、太陽が厚い雨雲に覆われ。大泣きの雨が激しく降りかかる海であった。武の目の前には龍がいた。


 こちらに気が付き、咆哮を上げている。

 湯築が船から飛び降り、海の上で助走して海面下へと潜った。

 龍もすぐさま海面下へ潜って大口を開けて迎え撃とうとしたが、その時、雷が一本龍の頭上を直撃した。

 雷を降らしたのは高取である。


 もんどりうった龍の脇腹を湯築の槍が海面下で見事数回穿った。


(今、一撃で!)


 武が甲板から飛翔し、たまらず浮上してきた龍の頭を一刀両断にした。


「武様……凄い!」

「上手い! みんな、よくやったわ! 」

 鬼姫と蓮姫はただそう言うしかなかった。

 それだけ武たちのコンビネーションと腕前は、もう申し分ないのであろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る