最終話:俺の愛しのベビー。

結局俺は死ななかった。


これにはベビーの特殊な能力が関係していた。

ベビーは瞬間的にモノを移動できるを超能力を持っていたからだ。

いわゆるテレポテーションってやつ。


チンチン電車が横転した時、ベビーは俺と自分を別の場所に転送してたんだ。

それで俺は助かったってわけらしい。

なんだよ、それなら最初っからチンチン電車になんか乗らないで直接会社に

転送してくれよって話だよ・・・ったく。


だけど異次元、異空間を渡り歩くベビーは、そんな芸当できたって

不思議じゃないと思った。


だけど、俺の死が今日だと決まってたとしたら一時的に命拾いしたって意味

ないだろ?・・・いずれは今日のうちに死ぬだろ?


「改めてご報告を・・・」


そう言ってハミルトン西島がまたやって来た。


「やはり私の間違いで日和又ひわまたさんは今日死なないみたいです」

「あなたの寿命はもっと先のようです」


「そうなんだ・・・じゃ〜俺は死なないんだ」


「ショーちゃん・・・よかったね、間違いで」


で、俺は、死の一歩手前を経験して自分と向き合った結果、その日から

今後の俺の身辺についていろいろ考えるようになった。


「ベビー・・・大事な話があるんだけど・・・」


「なに?大事な話って?」


「あのさ・・・俺、マンション引き払ってこのさい田舎へ帰ろうかと

思ってるんだ・・・」

「で、ベビーさえよかったら俺の田舎で一緒に暮らさないか?」


「いなか?」


「そう俺の生まれた場所・・・ふるさとだよ」


「いいよ・・・私、ショーちゃんが行く所なら世界の果てまでだってついて

っちゃうから」


「そうか・・・じゃ〜決まりだな」


俺はおやじとおふくろに連絡した。

田舎へ帰って家の家業「農家」を継ぐからって・・・。


俺はハミルトンにお礼をいって、ベビーを連れて早々に田舎へ帰る

ことにした。


そしてその夜・・・満を侍してベビーと結ばれた。

ベビーが言ったように、俺のエナジーがベビーに流れて行くときの快感は

半端なかった。

なんだこれって思った・・・この世でこんな気持ちいい感覚経験した

ことない。

身体中が震えて痙攣が止まらなかった。

ベビーの言ったとおりだった。

俺からエナジーを吸い取ったベビーは、この上なく満足そうだった。

だから、ことが終わったら、俺にしがみついてきた。


そして、あくる日田舎へ旅発つとき、ハミルトン西島君が見送って

くれた。

ハミルトンは俺が田舎で暮らすようになったら住所を教えてくれって

言った。

時々遊びに来るらしい。

ハミルトン西島って死神・・・彼とは腐れ縁って言うやつか。


で、久しぶりに実家に帰った俺は、親父とおふくろにベビーを紹介した。


「おやじ、おふくろ・・・紹介するよ・・・俺の嫁さん・・・この子ベビー

って言うんだ・・・」


ベビーはなに言ってるの?って顔をして俺を見た。


「おや、こんな田舎によくおいでくださいまして・・・なに?外人さん?」

「まあ、ふつつかなセガレですが、よろしくお願いしますね」


「あ、こちたこそよろしくお願いします」

「ショーちゃん・・・今、嫁さんって言った?」


「言ったけど・・・なにか?」

「俺が旦那じゃ不服か?」


「だ、大丈夫だよ・・・旦那さま」


ベビーはそう言って照れた。


おやじとおふくろは快くベビーを迎えてくれたけど、たぶんふたりは

ベビーがまさか悪魔だなんて知らない。

頭のツノはカチューシャみたいなファッションでやってると思ってる

みたいだ。


そして俺とベビーの田舎での生活がはじまった。


「ベビー・・・田舎もいいもんだろ?」

「あのさ・・・ベビーこんなところに連れてきていっぱい苦労かける

かもしれないけど・・・」


「大丈夫・・・ショーちゃんと一緒なら、私大丈夫」

「ショーちゃん・・・私ショーゃんと出会えてよかった」


「俺だって・・・ベビーと出会えてよかったよ」


「私、幸せ」


そう言ってベビーは俺にもたれた。


俺の愛しのベビー。

もっともっと幸せにするよ・・・。


俺の押入れの壁から現れたインフェリア、ベビー・デモアって女の子は

今は俺の田舎で畑を耕して暮らしている。

ベビーが現れた日には、これはホラーか、オカルト系か?って思ったけど、

どっちかって言うとコメディー系?に収まった。


まさか未来にサキュパスになるべき悪魔が俺のパートナーになるなんて

今でも信じられない出来事。

でも、そういうことって誰も知らないだけで実際現実で起きてること

なのかもしれない。

もしかしたら君の奥さんも、悪魔かもね。


おしまい。


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愛しのベビー。〜悪魔はお嫌いですか?〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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