俺たちの朝
翌朝、俺たちはこどもたちだけで朝食をとった。
叔父は朝早く仕事に出たらしい。今日は港区にある病院に行くようだ。
俺の右隣の
「眠そうだな」
「昨日遅くまでお喋りに付き合ったからね」
「楓胡と寝るからだ」
「その前に真咲ちゃんが部屋に来て話をしていったから」
それが俺の部屋に真咲が来た後のことらしい。楓胡が真咲を自分達の部屋に連れていったようだ。
「いろいろ訊かれたんだろうな」
「叔母さまとは話の内容が違ったけれどね」
「将来の話と趣味の話の違いか?」
「私は過去の男について訊かれたわよ」楓胡が割り込んでくる。
「それは俺も訊きたいな」一応な。
「
俺と桂羅は揃ってジト目を向けた。
「おともだちのこともうかがいましたわ」真咲も話に加わる。円卓に六人しかいないから小声でも筒抜けだ。
「お前――ともだち――いたのか?」俺が
「私だって仲間くらいいたわよ!」
「なるほど仲間ね」ともだちじゃないんだ――。
「
「それってあの
「ああ……、いたわね、そういう奴」何だ? その嫌そうな言い方。しかし――、
「――サインもらってくれ」俺は手を合わせていた。
「
「高く売れるだろ」俺は
「クソヤロウだな!」
「
「ROCAとともだちなのか?」
「ともだちじゃないわ。私の仲間の仲間って感じ」
「仲良くないんだな」
俺は笑ったが、桂羅は
まあ女の園だ。いろいろあるのだろう。
「私、コンサート、行ってみたいですわ」
「でもチケット手に入りにくいのでしょう?」いつの間にか
静かに食べているのは
「僕も行ってみたい」光輝は乗り気だ。
「ともだち枠で手に入らないのか?」いや、ともだちじゃなかったか。
「そんな枠ないわよ」
「――だろうな」
俺が笑ったら桂羅はムッとして「手に入らないこともないわよ」と言った。
「「え!?」」俺と光輝は桂羅を見た。
「いくつかそういうルートがあると言ったのよ」
こいつは
「お姉さま、お願いしますわ」
真咲は遠慮もなくお願いができる。しかもあざとさは一切感じられない。可愛さは正義――そういうキャラなのだ。
「まあ私も一度は行ってみたいと思っていたんだ。コンサートなんて行ったことがないからね」
何だか桂羅の態度がでかいぞ。女王様にでもなったつもりか。
「――問題は何枚手に入れることができるかだね」
「二枚とかなら抽選かしら」
「それなら
「何だよ?」
「ありがとう」楓胡はすっかりその気になっている。
「私は都合の良い女か!?」
「そんなことないよ、頼りにしている」俺は桂羅のご機嫌をとった。
一夜にして俺たちはこの邸で大きい顔をするようになった。
その日は平日――授業があったので俺たちは自宅マンションまで送ってもらい着替えて順次登校した。
泉月が真っ先に出たのは言うまでもない。
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