生徒会長は楽しげに笑う
その後、
そのタイミングを見計らっていたように
「今、学園裏サイトをチラッと見ていたのですが――」彼の前にはノートパソコンが開かれていた。「――これは副会長ではないですよね?」
「ん、何だ?」舞子会長は立ち上がった。
眠そうにしていたかと思えば、気になることがあると俄然フットワークが良くなるようだ。
「見つけてしまったのかい、蜷川くん」
知らなかったのはここでは女子三人だ。どうも情報収集に難があるようだ。
会長が立ち上がって蜷川書記のノートパソコンを覗き込んだので、
俺は仕方なくぽつねんと座っていた。モブ男になるのも面倒なものだ。
「またこの手の記事か。とんだパパラッチだな。
何故か俺も呼ばれた。
スマホに比べて画面が大きくて見やすい。それが
泉月に瓜二つの楓胡と茶髪の俺が仲睦まじく写っている。泉月と謎の男と見られてもおかしくはない。
「なかなかの美少女じゃないか」舞子会長は楽しげに笑う。「やることやってる、と言われてるぞ、
舞子会長に振り返られて泉月は表情も崩さず、冷たく言い放った。「――私ではありません」
「だろうな。こんな愛嬌があればファンも倍増だ」
俺は可笑しくて顔に出さないようかなりの努力をした。
「いつどこで撮った写真だろう」
舞子会長が手がかりがないかと覗き込む。
セミロングの髪がわずかに当たり、蜷川書記はドギマギしていた。
俺もそういうことされたいな。
「これは××駅のデッキですね」星川が答えた。「昨日の夕方でしょうか」
「何故わかる?」
「こちらの写真には時計が写っています。六時十五分。黄昏時ですがライトアップでこれだけ明るく人の顔もわかります。そしてここに写っている映画館が『本日レディースデイ』となっているので昨日もしくは先週の同じ曜日なのではないかと」
「なるほどな」と言う舞子会長の顔は、それくらい気づいているぞと言っているように見えた。
「私は昨日も生徒会室に来ておりました。中等部の入学式があり、それに参加した後も雑務をしておりまして、帰ったのは六時半を過ぎていたかと」泉月が言った。
「東矢の最寄駅はどこだったか?」
「駅はその写真の駅です」
「え?」と驚いたのは一年生の二人だった。
「春休みに引っ越したのよ」泉月は答えた。「ごめんなさい、言ってなかったわね」
「そうだったんですか……」三井寺会計の顔は、教えて欲しかったと主張していた。どうも彼女は泉月の信奉者のようだ。
「学校帰りなら制服姿だな」画像の女はピンクのゆるふわワンピ姿だ。
「そもそも、私ではないと言っているのです」
「まあ、そう怒るな。私もお前ではないと言っているではないか」
「怒ってなどいません」
いや、ムッとしているだろ。お前。
「まあまあ、落ち着きたまえ」星川の
「何か声明を出しますか? これは新聞部が飛びつきそうな話題です。パパラッチ
「必要ありません。何もしなくて結構です。これは私ではありませんから」言いたい奴には勝手に言わせておけ、という態度だ。
「にしてもこっちの男、なかなかのイケメンだな」
それは俺だが。
俺は
「そう思わないか?」舞子会長は俺と泉月を交互に見た。
間違いなく知っている。知っていて冷やかして遊んでいるのだ。とんでもない女だ。可愛いけど。
俺は眼鏡の奥の目を流し目にして舞子会長を見た。
「ボクとはまたタイプが異なるイケメンですね」星川がさらりと髪をかき上げた。
さりげなく、いやハッキリと自分がイケメンであると主張する。なんて奴だ。
何にせよ生徒会がおかしな奴らの
「しかし、このレスは気に入りません」三井寺は憤慨している。「伊沢さんが来る前に何らかの対処をすべきだと私は思います」
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