父の作る料理は有難い[KAC20246]

@tablegood0212

第1話

 僕は父と母、三人で暮らしている。母は左足の大腿骨を骨折して歩行器がないと歩けない。日常生活はベッドの上で暮らしている事が多く、毎日TVを見ている。今月は奇数月なので大好きな大相撲がある。十両の取り組みからかじりついて観ている。僕と父は家事を分担している、父が五日おきにサンリブに買い物に出掛けて、毎晩の料理を作る。僕が母の身の回りの世話をみている。僕もトイレットペーパーや洗剤などの日用品をドラッグストアで購入する。母がいつも心配しているのは、食べ物の事である。


 今日も母が、「夕ご飯にお父さんは何を作ってくれるのだろう」と僕に尋ねる。


 僕は、「焼肉らしいよ」と答える。


 母は、「私は、あの人の焼肉だけは食べれんのよ」と話す。


 母は僕に、父がいつも同じカルビの味付け肉を買ってくる事、そしていつも同じ焼肉のタレで味付けする事が無理なんだと訴えた。


 母は「父に焼肉のタレ、無理だからと言ってきて」と僕に話す。


 僕も「分かったよ」と答える。


 母が父の料理を食べ出して三年目になる、父の料理が進歩しない事に気づいて、最近では自分から何を作ってと言う様になった。


 母は「今日は僕に任せるから父に伝えて」と話した。


 僕は「母が焼肉料理は無理だから」と父に伝える。


 父は「何を作れば良いの」と答える。


 「トリの足を焼いてくれる」と僕は言う。


 母は、牛肉よりトリ肉の方が好きなのである。母が健康な時は毎週、トリの足を焼いてくれたし、クリスマスには毎年、テーブルの上を飾ってくれた。母の好みの味付けは塩コショウである。


 「トリの足になりそうだけど良い」と僕が確認すると、


 「それで良いよ」と納得してくれた。


 食卓の上に並んだ三人分のトリの足は、母の食欲をトリあえず満足させてくれたので良かった。父も母のわがままには付き合えないと怒る時もあるけど、今日は素直に言う事を承諾してくれて嬉しい。僕は父の作ってくれる料理にいつもありがとうと感謝している。

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