第38話: 女神様「ナニアレ……?????????」
さて、ちょっと遅めの晩御飯である。
『双の葉牧場』には、大勢が一堂に会する事が出来る部屋がある。今夜の食事は、そこで取る事となった。
で、この日の晩に出された食事は、前世の基準で考えても豪勢と称するに十分なモノであった。
食肉の販売をしているからなのか、それとも、急いで買って来たからなのか。
この時代では誕生日でも早々見られないぐらいのメニューに、千賀子は夢中で箸を進ませていた。
もちろん、箸が進んでいるのは千賀子だけではない。
以前から関係者を悩ませていた『ポンポコダッシュ』の不調の原因が分かった、その小さなお祝いを兼ねているのだろう。
さすがに量をセーブしているが、飲める者は嬉しそうに酒を飲み、良かった良かったと互いの肩を叩いて喜んでいた。
それは御相伴に預かる運転手の爺も例外ではなく、道子の目がある場所なので気を使っているようではあったが、それでも注がれる酒を拒む様子はなかった。
……ちなみに、道子は素知らぬ顔で行儀よく千賀子と同じペースで箸を進めていた……さて、そんな食事の最中。
「そうですか、それならば、私は構いませんよ」
あのですね……そんな出だしから始まった、ポンポコロウシの事を改めてオジサンに話したわけだが。
「え、軽くない? そんなんでいいの?」
結論から言えば、二つ返事でOKが出た。
これには、どうせ断られるだろうなと高を括っていた千賀子も思わずツッコミを入れた。
いや、だって、普通は断るところだろう。
厩務員が言っていたことだが、ロウシは『双の葉牧場』においてはとても思い入れのある馬である。
競走馬としての戦績こそパッとしないが、ここではボス的な役割を果たし、今でもなおボス的な立場にあると聞く。
確かに儲けこそないだろうが、何でもかんでもそれだけというわけではないだろうし……そんな思いで、オジサンを見つめると。
「いいんですよ、だってロウシが自分から行きたいと言っているのでしょう? ロウシがそう望むなら、私はその背中を押してやりますよ」
ちょっとばかり寂しそうにしながらも、朗らかにオジサンはそう言った。
オジサン曰く、『賢いロウシがそうしたいならば、そうさせてやりたい』とのことらしい。
なんでも、ロウシは若い頃からどこか一歩引いた馬であり、仲間に入れない子がいたら率先して迎え入れ、暴れる家畜などを嘶いて黙らせるなど、本当に賢い馬なのだと言う。
そんなロウシが、初めてワガママを見せたのだ。
年齢的にもあと数年でも生きたら大往生。この牧場で余生を送らせようと思っていたが、ロウシが誰かの下へ向かいたいと願うならば……とのことだった。
「でも、これは悪口ではないのですが……千賀子ちゃんのお家で、馬を飼う場所とかありますか?」
しかし、それはそれ、これはこれ。
馬を飼うというのは、犬や猫を飼うのとはワケが違う。
馬の食糧や住む場所を用意するのもそうだが、何よりも大変なのは、馬は歩かせないと病気になるという事と、体重が400kgにも達する巨体であるという事だ。
そう、馬はその肉体構造上、歩かせないと重大な病気を発症してしまう生き物。
人間もまた歩くことで末端に血液を回すが、馬の場合は人間よりも割合が多く、歩くことで
つまり、馬にとって歩くという行為は呼吸の一種であり、心臓の拍動だけでは届かない部位にまで血液を回す大事な行為なのである。
もちろん、四六時中歩かせ続けないと死ぬ……というほどではない。
だが、少なくともグルグルと室内で動き回れる程度には広い場所に住ませるのが理想であり、出来るならば広々とした庭があれば……いや、というか、だ。
「そもそも飼いたいとは思っていないのですが……」
あまりにも自然な流れで『飼う方向』に話が進んでいることに、千賀子は待ったを入れた。
そう、千賀子の内心は別として、そもそも始めからロウシを飼いたいなんて一言も言っていない。
何故かもう既に、今生の別れだなと言わんばかりに涙ぐんでいる厩務員たちのせいで誤解されそうになっているが、そうなのだ。
「オジサンの仰る不安の通り、私の家には馬を飼う場所もなければ、餌を用意する伝手も余裕もありま──」
そこまで話したあたりで、ヒヒン……と、悲しそうな嘶きが千賀子の背後から聞こえてきた。
……見なくても、分かる。
何度も言うが、『双の葉牧場』には、めでたい時に全員が集まって宴会が出来る部屋がある。
まあ、部屋とはいっても、そういう時ぐらいにしか使い道がない部屋だが……とにかく、その部屋で千賀子たちは食事を取っている。
そして、家の構造上、すぐ外へ出られるようになっていて、窓から牧場を見渡せる作りになっている……ので、だ。
「ちょ、
「誰だ、ちゃんと
馬が馬房や厩舎から脱走するというとんでもない事態なので、気付いた者はブフッと酒を吹いてから、大慌てで動き出した。
そりゃあ、そうだ。いくら老齢とはいえ、馬の蹴りは人を容易く殺す。
いくら大人しく賢い馬とはいえ、絶対ではない。万が一それで馬自身が怪我なんてしたら、それこそ命に係わる事態になりかねないからこそ、皆が慌てたわけだった。
──ヒヒン。
でも、何時もならば声を掛ければ素直に言う事を聞くロウシが、今回ばかりは梃子でも動かないぞと言わんばかりにその場から離れず……これには、誰もが困ってしまった。
……馬が、己の4分の1以下の体重しかない人間の言う事を聞くのは、ひとえに信頼し、身を預けているからだ。
言い換えれば、嫌がって本気で抵抗すれば、大人が2,3人掛かりで踏ん張っても引きずり倒されてしまうぐらいの力を馬は持っているというわけだ。
そして、そんな馬を力づくで抑え付けようとすれば、馬だけでなく押さえる側も怪我を負ってしまう危険性がある……だからこそ、困ってしまったわけだ。
──ヒヒン。
そんな中で、再び悲しそうに鳴かれてしまえば……罪悪感というか、実はちょっとばかり情が湧いてしまっている千賀子には辛いわけだ。
……突然な話だが、千賀子は動物が嫌いではない。
ただ、情が湧いてしまうことを自覚しているから。
別れを想像してしまうと切なくなってしまうので、前世では飼いたいと思っても、あえて周囲から遠ざけていた。
……なんで、唐突にそんな言い訳を並べるのかって?
だって、いちおう……うん、住まわせる場所というか、可能な場所や、毎日の餌の確保にも心当たりがあるから。
ただ、その場所は山の上で、千賀子が連れ出さない限り自力で下山は難しく、下手すればここよりもず~っと一人ぼっちになってしまうような場所だ。
(あと、女神様が許してくれるか分からないし……境内とかに糞尿されたら怒るだろうし……)
加えて、そこは今のところ、千賀子以外に誰も足を踏み入れてはいない(危険性が分からないので)場所だから、余計に判断しきれなかった。
──ヒヒン。
「いや、そんな鳴かれても、そもそも家に連れていけないし……」
だから、もっともらしい理由を付けて、断ろうと思ったのだが。
「馬を飼いたいなら、車とか費用はこっち持ちで手配してあげるよ~」
まさかの、友人からのインターセプトである。
「いや、道子さあ……」
「だって、千賀子が本当に嫌だったり無理だったり思っているなら、四の五の言わずに拒否するでしょ~?」
「そりゃあ、そうだけど……」
「望んでいるのなら引き取ってもいいかなって思いつつも~、それでロウシに負担を強いたり不本意な結果になったりするのが嫌だから拒否しているんでしょ~」
「……世話とか、その、したことないし、私は私で色々と忙しいから、面倒を見れそうにないし……」
「そんなの、ロウシだって分かっているよね~、ね~ロウシ~」
そう、道子がニコニコと笑いながら問い掛ければ、ロウシはヒヒンと嬉しそうに嘶いた。
……なんだろうか。
人の言葉なんて分かっていないはずなのに、ロウシがまるで分かって返事をしているかのように見える。
そして、そこまで覚悟して付いて行こうと思っているのなら……そんな考えが脳裏を過り……いや、イカンイカンと我に返った千賀子は、ふと……テーブルの端っこで俯いてご飯を食べている辰二少年に目を向ける。
「いや、でも、ロウシって辰二くんとも仲が良いんでしょ? 仲良しの二人を離れ離れにさせるのは……」
──ごめん、言い訳に使ってしまって。
心の中で謝罪をする千賀子を他所に、全員の視線が辰二に向けられ……ハッと、辰二は驚いた様子で顔を上げると……静かに首を横に振った。
「ロウシがそうしたいなら僕は反対しないよ」
「え?」
「そりゃあ、悲しいし寂しいけど、ロウシが最後にそうしたいなら……僕は、そうして欲しいと思う」
「……(止めて、そんな綺麗な目でこっちを見ないで!)」
──なんだろう、めたくそに胸が痛い。
特に、誇らしげに息子の頭に手を置くオジサンが合わさった相乗効果がヤバヤバのヤバババ……これ以上は、うん。
「そうは言っても、私は私で忙しいから、牧場に居る時みたいに毎日世話が出来るわけでも……」
「人を雇えばいいじゃないの、それだけ稼げているでしょ~」
「え?」
「え?」
サラッと『人を雇えばいい』と言われて千賀子は面食らう。対して、面食らう千賀子に、道子もまた不思議そうに首を傾げた。
……。
……。
…………これはもう、この場の空気を含めて、もはや……そうして、だ。
──ヒヒン、と。
まるで、駄目押しするかのようなロウシの嘶きに……千賀子は、ようやく覚悟を決めたのであった。
それを聞いて、最後のお別れだと言わんばかりに、『双の葉牧場』の人達が思い思いにロウシの身体を撫でて行く
その中には、ちょっと涙ぐみつつも笑顔でロウシの首筋を摩る辰二の姿もあって。
(……落ち着いたら写真でも送ろう)
なんだか流れでそうなったけど、それはそれとして、まだ小学生でしかない辰二に辛い経験をさせてしまった事が、心残りであった。
……。
……。
…………まあ、そんな千賀子の一方的な罪悪感も。
「──道子ちゃん、お風呂沸かしたから、千賀子ちゃんと一緒に入ってちょうだいな」
「え~? 私たちからで良いのですか?」
「良いのよ。男連中は追加で呑んじゃっているし、あたしたちも後片付けとかでまだ入れそうにないから」
「それなら、お言葉に甘えて頂戴致します~」
「ありがとうございます、お先にいただきます」
「それでね、勝手で申し訳ないのだけど、辰二も一緒に入れてくれないかしら? あの子、1人で入らせると『のぼせるから!』って頭とか適当に洗っちゃうから……」
「私はいいですよ~、千賀子は~?」
「まあ、子供だし……でも、辰二くんが嫌がるんじゃないの?」
「嫌がってもあたしらの命令だって言っちゃってくださいな。そもそも、1人で入った時にふざけて転んで病院のお世話になった、あのバカが悪いのですから」
「まあまあ~、とってもお元気なんですね、辰二くんって~」
「……まあ、まだ小学生だしね(ギリセーフってところかな?)」
言葉に出さなければ伝わらず、それは反対も同じ事で。また、どちらも的外れな場合も多く。
「──わあ、けっこう広いね。お湯もいっぱい湧いているし、ゆっくりと浸か──あちっ!?」
「ちょ、何をやっているのよ。まだ掻き混ぜてないでしょ」
「あ~ん、そうだったね~。何時もお手伝いさんがやってくれているから……辰二くん、混ぜる棒って、これ?」
「う、うん……(ゆ、ゆれ、おっぱ、ゆれ、毛が、黒い毛が、おっきなお尻が、ゆれ、ゆれて……)」
「うんしょ、こらしょ、うんしょ、こらしょ」
「……道子、すんごいへっぴり腰よ」
「え~? そう言われても、初めてなんだもの~」
「それじゃあお湯がグルグルゆっくり回るだけで、上下に混ざらないじゃない……ほら、辰二くんも居るんだし、貸しなさいな」
「うん……わぁ、千賀子ってばお上手ね~」
「道子が下手過ぎなのよ……いや、下手なのは単純に経験が無いからだけど」
「……っ!?!?!? (こっちもゆれ、おっぱ、ツルツル、毛が無い、何も、なんか割れて……)」
「混ざったけど、誰から入る~?」
「その前に、身体を洗ってからよ。汚いまま入るとお湯が汚れちゃうでしょ?」
「あ、そうだね~、おば様たちも入るし、綺麗な方が良いよね~」
「子供は特にのぼせやすいから、先に洗おう。何時もより夜更かし気味らしいし、この子が眠くなっちゃう前にね」
「それもそうだね~、それじゃあ辰二くん、この椅子に座ってね~、私は頭を洗うから、両手で目を塞がないと目が浸みちゃうよ~」
「…………っ!?!?!?!?? (ゆれ、でか、デッカイ! ち、ちく、ゆれ、わああ、ゆれ、ゆれて!!!)」
「ちょ、動くな、上手く洗えないでしょうが、ちょっとの間ぐらい我慢しなさいな」
「…………っ!!??!? (やわら、え、抱きつか、え、やわら、背中、動けな、すべすべ、ぷにぷに!!!)」
「わあ、辰二くんの頭、とっても小っちゃいね~。こうしてみると、やっぱり辰二くんも小学生なんだね~」
「そうね、それに、お風呂嫌いって本当なのね……まあ、この年ぐらいの男の子ってお風呂を面倒臭がったりするから、珍しくはないけどさ」
「そうなんだ~、男の子ってそういうところあるよね~……ほら、流すよ~」
「あ、ちょっと待って(股は……まあ、子供だしね)。ほら、足を開いて……ここもちゃんと洗わないと病気になるから、気を付けるのよ」
「え、そうなの?」
「そうよ、無理やりは危ないけど、ちょっとずつでも自分で洗えるようになった方が良いのよ、ここはね」
「!!?!?!??!?! (!!!??!?!?!?!)」
実際のところは、だ。
当の辰二少年は、あまりの衝撃的な一時によって粗方吹っ飛んでしまったのだが……まあ、知る由もないことであった。
ちなみに、この時の記憶は何十年にも渡って辰二の頭に残り続けるのだが……その中でも、特に印象に残ったのは。
──大きなおっぱいは、浮くモノ。
という、言葉にしなくとも想像が出来てしまう光景だった事を、ここに書き記しておく。
──そうして、翌日。
なんだかんだ雰囲気に呑まれずにセーブしていた運転手の爺は、二日酔いに陥ることもなく、車の前で待っていた。
少しして道子が先に向かい、その少し後から千賀子がやって来て、それに合わせてオジサンたちが見送りに出てきた……わけなのだが。
「……あの、本当に乗って帰るのですか?」
そう、不安そうに話すのは、オジサン。
しかし、同じことを誰もが思っているようで、例外は千賀子と道子と、後は千賀子に手綱を引かれて大人しくしているロウシだけであった。
……『双の葉牧場』の人達が不安に思うのも、当然である。
なにせ、牧場から千賀子の自宅まで、ロウシに乗って帰るというのだ。途中で休憩を挟むとは言うが、そんな問題ではない。
この近場を移動するならともかく、車や電車や走り、人の往来が激しい場所を通らざるをえない道を行くしかない以上……オジサンたちが難色を示すのは当たり前である。
なにせ、運賃は道子が払うと言っているし、馬運車(馬用の車、この頃はバスではなく、改造したトラック)に乗せた方が安全であるからだ。
「大丈夫だから、心配しなくていいよ。ねえ、ロウシ」
──ヒヒン!
けれども、当の千賀子もそうだが、肝心のロウシが一切不安を抱えることなく安心しきっている姿を見てしまえば……オジサンたちは、それ以上強くは言えなかった。
「大丈夫ですよ~。千賀子なら、むしろ他の人の手が入らない方が安全ですから~」
なにせ、道子からも大丈夫だと念押しされたから……そうまで言われたなら、恩人である千賀子たちの意志を無下にも出来ず。
「なにかあったら、すぐに何時でも電話をください! あと、必要なモノがありましたら何時でも連絡をください! すっとんで行きますから!」
そう、言うしかないのであった。
その際、千賀子と道子との間で。
(ありがとう、千賀子。これは貸し一個ね。千賀子が困った時、何時でも連絡してね、助けられる事なら、パパを説得して力を貸すから)
(そんなの気にしなくていいよ……まあでも、道子がそう思うなら、それでいいよ)
そんな、秘密のこっしょりな内緒話が行われていたが……気付いている人は、この場にはいなかった。
……。
……。
…………で、だ。
この頃の車は低速で走り続ける(だからといって、高速も駄目だが)と最悪エンジンが焼けてしまうので、牧場を出てからすぐに道子とお別れとなった。
それは、傍から見れば奇妙な光景に映ったことだろう。
けれども、千賀子と道子は一切気にすることなく互いに手を振り、運転手である爺の心配そうな視線に頭を下げてから……そうして、千賀子とロウシだけが残された。
昭和とはいえ、時間帯や場所によって誰も居ないタイミングは訪れる。
「ロウシ、驚くかもしれないけど、私を信じてね、大丈夫だから」
──ヒヒン。
そのタイミングを待っていた千賀子は、一声ロウシに掛けてから『遊びに行こう!』を発動させ──瞬時に、例の神社へとワープしたのであった。
……で、だ。
昨夜、眠る前にずっと心の中で『女神様、馬を神社に置かせてください!』と念じ続けたおかげか、ロウシに異変が起こることはなかった。
相変わらず、静けさと何とも表現し難い荘厳さが漂う神社、神の気配とも言うべきナニカを千賀子は感じ取り……っと。
「──っ! なんか小屋が増えてる!」
どうやら、女神様は千賀子の願いを聞き届けてくれたようだ。
前回神社を訪れた時には無かった小屋が、境内の端っこにポツンと出来ている。
駆け寄って中を見やれば、おそらくは馬が生活に必要なモノの全てがセットされていた。
「やった、良かった、これならロウシも安心して──」
──暮らせる。
そう言い掛けた言葉は、背後より聞こえた『ズドン!』という重い音によって途切れた。
ハッと振り返れば、何時の間にかロウシはワープしてきた地点から移動し、この神社の御神木の傍に居た。
「どうしたの、何かあったの?」
──ヒヒン!
急いで駆け寄れば、『どうしたの?』と逆に聞き返されたように嘶かれた千賀子は……はて、と首を傾げた。
……気のせい、だったのだろうか?
なにせ、千賀子が辺りを見回した限り、異変らしい異変は何も起こっていない。
何かの空耳だったのか……それすら調べようがない以上は、もはや考えるだけ無駄であり。
(……ロウシのお水と、餌を用意しなくちゃ)
とりあえず、千賀子は……そんな感じで疑問を切り上げたのであった。
────────────────―
千賀子の知らない神社の秘密・その1(ヤキ入れ済み)
境内にある御神木を左回りでグルグル回り続けると、あるタイミングで男性(女神様チョイス)が右回りで出現する……のは、昔の話。
ロウシのヤキ入れキックにより男性が出現しなくなった。
その代わり、回った分だけ御神木には立派な桃が実る。
この桃は特別な桃であり、食べると若々しさが保たれ、年老いた肌などが若々しくなる。(不老不死になるわけではない)
また桃は千賀子以外では採取する事はおろか、目視する事が出来ず、枝からもぎ取って初めて他者も確認出来るようになる。
ちなみに、この桃は大変に美味であり、現代の果物の味を知っている千賀子ですら『これ、現代なら一個で一万円取れるかもしれない』と驚いたほど。
下手に市場に流すとヤバいと思った千賀子は後々、極一部の人達にだけ千賀子が融通する形を取るようにした。
……。
……。
…………なお、異変に気付いた女神様は。
女神様「ナンデ!? ドウイウコト?????」
始めて接触する意味不明な現象を前に、怒るよりも前に困惑しっぱなしであったとか。
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