第16話: 愛ですよ、千賀子(善意10000%)

※本編に出てくる可能性が薄い、千賀子が正確に気づく可能性が限りなく低いので補足の情報


※千賀子の『うんのよさ』は無制限ではなく、限度があって及ばない場合もある。小学生の時は余裕があったが、現時点ではそのリソースのほとんどを千賀子を守る方向で消費されている


※千賀子の姉は、生きていれば千賀子より一つ年上

 家の中で姉の話は母が悲しむので厳禁であり、和弘も千賀子も名前ぐらいしか知らない。生後すぐに亡くなってしまったが、現代ならばすくすくと成長し、千賀子のお姉さんとして看板娘をやっていたかもしれません


以上、↓ 本編



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『では、ギフトとして……このルーレットを回す権利を与えます』



 その声と共に、唐突に現れる、見慣れたルーレット盤とは些か形状の異なる……なんだろう、豪華な作りのルーレット盤であった。



 ──『ジョブ・ルーレット(魅力系当選率UP中)』──



 その言葉が記されたルーレット盤には、様々な文章が書かれている。しかし、それを確認する前に、千賀子の意志を無視して回転を始めた。



(あ、なんだろう、この有無を言わさない感じ、なんか懐かしい……)



 もはや、現実逃避するしかない千賀子を尻目に、回転は緩やかに減速し……止まった。



『おめでとうございます、貴女には『巫女』のジョブが与えられます。はい、拍手~ぱちぱちぱち』


(……巫女?)



 パチパチ、と。


 頭の中に響く拍手を聞き流しつつ、千賀子は『巫女』の詳細を確認しようと──する前に、ルーレット盤に記された他のジョブを見て、ひゅうっと絶句した。



 ──『悪女:要約・同性異性問わず、魅了させてしまう魅惑的な素質(目指せ、傾国の美女by女神)』


 ──『魔性:万物に対して愛情を抱けるようになり、受け入れる素質(目指せ、魅惑のアガペーby女神)』


 ──『女王:他者を魅了するカリスマを有し、強力に心酔させる素質(目指せ、稀代の女帝by女神)』



 他にも色々と書かれているが、パッと目に留まったその三つが特に……それはもう滅茶苦茶にヤバい。


『悪女』も『女王』もヤバいが、特にヤバいのが『魔性』だ。



 なんというか、感覚的に分かる。



 もしも『魔性』を手に入れていたら、その先に待っているのは……アレだ、色狂い、サキュバスの類だ。


 しかし、ただの色狂いではない。


 求め、求められることに喜びを抱くようになる。いや、求められなくとも、そこに性別はおろか生態系の違いすら関係ない。


 ただ、そこにあるだけで愛おしさを覚える。正しく、無償の愛だ。



 そして、それのなにがヤバいのか。



 もしも、『魔性』のジョブを得ていたら、千賀子はその時点から幸福の海に溶け込むのと同じ状態になっていたからだ。


 文字通り、他者が存在しているだけで、千賀子は常に幸福を覚え続ける存在になってしまう。


 そう、寝ても覚めても、幸福が途切れない。


 言うなれば、ずーっと常人なら致死量レベルの快楽物質が流れているような状態で……なるほど、そんな状態になれば、色狂いになっても不思議ではない。



(わ、分かった……これが、神様ってやつなんだ)



 と、同時に……ここに来て、ようやく千賀子は女神様を……そう、『神様』と呼ばれる存在の本質の一端を理解した。




 ──女神様にとって、数多の命も、一つの命も、大した違いがないのだ。




 100万の命を助けるために1人の命を犠牲にすることにためらいを覚えないのと同じく、1人を幸福にするために100万人の命を犠牲にしても、なんのためらいも覚えない。


 いや、それどころか。


 一匹の蚊の命を助けるために100万人の命を犠牲にするのと、100万人の命を助けるために一匹の命を犠牲にするのと……おそらく、違うことだとは思っていない。


 たぶん、もしかしたら。


 女神様は、『人』と『虫』と『魚』、その三つの区別すらなく、身体と知性が違うだけで、同じ生き物だと……そう思っているのかもしれない。



 それと、考え方は同じことだ。



 女神様にとって、千賀子が幸せであるならば、その代償としてどれだけの他者が不利益を被ったとしても、ためらう理由にはならない。


 千賀子と他人との違いは、ほんのちょっとだけ。


 気紛れで下界に居た女神様が、不注意で人間を死亡させてしまった、ただそれだけ。



 たったそれだけの事だが、それで、女神様の中で違いが生まれた。


 その僅かな違いが、女神様にとっては重要なのだろう。



 女神様は、惜しみなく千賀子へ愛情を注ぎ続ける。神としての愛を、神としての慈しみをもって、思うがままに与え続ける。


 仮に、千賀子が『魔性』を得ていたら……おそらく、いや確実に、多くの人達の人間関係を破壊しただろう。


 でも、女神様にとって、そんなのは取るに足らない些事でしかない。



 何故なら、千賀子は幸福の中に居るから。



 千賀子が幸せならば、女神様にとって、なんの問題もないのだ。


 その前に千賀子が嫌がったとしても、女神様からすれば、『あらあら、怖がらなくていいのよ❤』といった感じで、ケーキを前にして食わず嫌いをする子供にしか見えていないのだ。



(め、女神様にとって、私の魅力がアップしていくのは……)



 そう、言ってしまえば、だ。


 可愛がっているペットの毛の艶が良くなったり、可愛い仕草をするようになったり、洗って綺麗にしたり……その程度の感覚でしかなくて。


 千賀子にとっては身の毛がよだつような問題で、リスクを承知のうえで『ガチャ』に縋っているような状況でも。


 女神様からすれば、愛情を込めている人間がわちゃわちゃ騒いでいて可愛い……みたいな感覚なのかもしれない。



 それこそ千賀子が『魔性』を得て、毎年のように父親不明の子供を産んだとしても。



 女神様からすれば、『まあまあ、愛しい子から、可愛い子供が増えているわ~』という程度の感覚なのだろう。


 でも、人間が動物にやるようなペット扱いとは、少し違う。


 あくまでも、全ては女神様の善意であり、女神様なりのお詫びであり、愛情でもあるのだ。


 人間の感覚では非情に分かり難いが、女神様は、あくまでも千賀子自身の自主性を尊重している。


 しかし、同時に、千賀子の起こす行動を監視……いや、違う、観察して、楽しんでいる可能性が高い。


 そう、『ガチャ』に限らず、こうやって『シークレットミッション』を用意してあるのも、結局は女神様なりの愛情なのだ。


 千賀子がどんな境遇に陥っても、女神様にとっては、『それはそれで、とても愛らしい』という結論しか出ないのだ。



 そうでなければ、『悪女』と『女王』、相反するジョブを用意するはずがない。



 言うなれば、『悪女』は今の状況の正当な発展形。


 可愛がっている人間が、より可愛くなるように……そういう想いが込められたジョブだ。


 反対に、『女王』は可愛くなりつつも……人間という群れの中でボスになれるようにする、そういうジョブだ。



 どちらを選んでも、だ。



 女神様にとっては『どっちも可愛いよ』という程度の感覚なのだろう……千賀子には、そんな女神様の内心が透けて見えるジョブに思えてならなかった。



(しゃ、尺度の桁が違う……こ、これが神様という存在なのか……)



 千賀子もまた転生と『ガチャ』の影響からか、祖父などからは一般人とは尺度が違うと思われているが……女神様は、文字通り桁が違う。


 だからこそ……千賀子は、己が手にした『巫女』の要約を改めて確認して。



『巫女:要約・神秘的パワーによって、様々な神通力を行使できるようになる素質(目指せ、現人神by女神)』



 思わず、涙ぐむぐらいに安堵した。



(よ、良かった……ギリギリ、本当にギリギリだけど……危なかった……終わったかと思ったよ……)



 神秘的パワーだとか神通力だとか、書かれているだけの内容からは、どんな能力なのかはいまいちハッキリしない。


 しかし、巫女だとか現人神だとか、ある程度想像する事は出来る。伊達に、前世の記憶があるわけではない。


 だから、少なくとも、『女王』・『悪女』・『魔性』の三つよりはマシであり、むしろ、使い方によっては今後の助けになるのでは……そう、千賀子は思ったのであった。



『それじゃあ、ジョブを与えるからね……えいや!』



 そんな、千賀子の安堵を他所に、女神様は相変わらずマイペースに……千賀子へと加護を与える。


 なんとも、気の抜けるような掛け声で、変化も傍目には分からなかったが──受け取った千賀子にとっては、劇的であった。


 なんというか……例えるなら、間欠泉だ。


 身体の、いや、これは、魂の、もっと奥底とも言うべきか。


 生きとし生けるモノの奥底に存在する、『核』。そこにポツンと、『小さな穴』が空いた。


 だが、それは外傷の類ではない。その穴から魂が噴き出すわけでも、『核』が壊れるわけでもない。


 穴の先に繋がっているのは……女神様だ。


 女神様より、『力』が流れてくるのが分かる。


 それは目に見えない類なので目視することは出来ないが、繋がっている千賀子には、それがよく分かった。



 ──と、同時に……千賀子は、改めて理解した。



 繋がった先に存在する、女神様のあまりの強大さを。己の『核』と繋がったからこそ、その一端を真の意味で思い知る。


 月並みな言い方だが、どこまでも広がる大海だ。


 千賀子という小さな桶に、大海からちょろちょろと『力』が流し込まれている……そんな感覚だ。



(か、格が違う……文字通り、存在の桁が違い過ぎる……!)



 そして、繋がったからこそ、女神の……言葉ではなく、あくまでも感覚としてだが、女神の想いが伝わってくる。





 愛おしい、とっても、愛おしい


 愛おしい、愛おしいの、愛おしいわね、あああ、愛おしい


 喜んでいるところ、愛おしい


 泣いているところ、愛おしい


 怒っているところ、愛おしい


 悲しんでいるところ、愛おしい


 寝ているところ、愛おしい


 起きているところ、愛おしい


 つれないところも、愛おしい


 怯えているところも、愛おしい


 愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい


 愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい


 愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい


 愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい、愛おしい


 愛おしい、愛おしい、愛おし──っ! 





(──危ない、呑まれてしまうところだった)



 無意識に同調しかけていた意識が、我に返る。


 反射的に、傍で寝ている祖父母を見やり……変わらず、寝息を立てたままなのを見て、千賀子はホッと溜息を零した。



 ……恐ろしいことに。



 たった今しがた……意識が女神様の中へ溶け込もうとしたのに、千賀子は何一つ恐れを抱いていなかった。


 むしろ、逆だ。


 名残惜しさを、千賀子は感じていた。


 危なかったと思う反面、あのまま女神様の一部に成れたら。


 そうなったら、どれほど幸福だっただろうか……そんな未練を、千賀子は覚えずにはいられなかった。



『はい、正常にギフトが定着しました。『ジョブ』はガチャで上げるのが一番手っ取り早いけど、それ以外の方法でも上げる事が出来たりしますよ』



 そんな千賀子の内心を他所に、だ。



『それでは、シークレットミッション達成記念として、『SR以上確定ガチャ』を贈呈しちゃう……ところなんだけど~』



 哀れなことに未練すらも女神には筒抜けで、葛藤する感情すらも愛おしく眺めているのが、千賀子には分かってしまった。


 だとしても、千賀子に出来る事は何もない。


 人が自然を前に耐え凌ぐしかないように、降り注ぐ神の愛情もまた、受け入れるほかないのだから。



『シークレットミッション達成数が既定の累計に届いたのも合わせて……え~い、サービスだ、『SSR以上確定ガチャ』を3回分にしちゃうね』


(えっ、いや、あの、待って、ちょっと心の準備を──ん?)



 堪らず内心にて狼狽える千賀子だが、すぐに違和感に気付いた。



 ──今しがた、女神様はなんと言った? 


(SSR以上確定……あれっ? SSR以上……以上!?)


 ──女神様、嘘でしょ!? まだ上があったの!? 



 信じ難い情報が飛び出した事に、千賀子は傍に祖父母が寝ている事も忘れて、制止の声を出そうと──したが、遅かった。



『じゃあ、ルーレット回しちゃおう、頑張れ頑張れ、君の良いとこ見ってみったい~』



 これまでと同じく回転を始めたルーレットは、無慈悲にも千賀子に与える恩恵を示してゆく。



『SSR: 遊びに行こう!』


 ──要約:ワープ移動能力。発動するたび、精神力を消耗します。その際、鏡などに女神の翼が一瞬見える(私の羽の一部だよ! by女神より)



 これは、セーフ。


 いや、もう本当に、セーフもセーフ。


 もしかしたら、初めて本当に魅了が関わらない能力なのではないだろうか……あまりの衝撃に、千賀子はふぇぇっと変な声が漏れた。



『SSR: 天使の残りエターナルメモリー


 ──要約:見た者の心の片隅に、貴女が残り続ける。別れる際に、+方向に印象がちょい補正(by女神より)



 だが、直後に落とされた。


 それはもう、垂直落下である。



 だって、この能力……何ともポエムっぽい書き方なので分かり難いが、どう考えてもヤベーやつを量産する能力である。


 心配のし過ぎと言われたらそれまでだが、千賀子は率直にそうなると思った。


 平和的に考えるなら、初恋の甘い記憶として残るとか、そういう感じに思えるだろう。


 だが、残念なことに、千賀子は前世の記憶もあって、そこまで無垢ではない。



 間違いなく、ストーカーを量産する。それも、生半可なストーカーじゃない。



 妄想を特大に膨らませ続けた挙句、顔すらまともに合わせたことがないのに『お~い、彼氏が迎えに来てやったぞ~』と笑顔で家に入ってくるような……そういうレベル。


 なにせ、挨拶をして別れた程度のことでも、ず~っと頭の片隅に千賀子の姿が残り続けるようなものだ。


 幸いなのは『天使の微笑』のような超補正でないことぐらいだが、凶悪性はこちらの方がはるかに高いのでは……そう思わざるを得ない能力であった。



(これ、『遊びに行こう』の能力が無かったら、とんでもないことになっていたんじゃ……いや、有ってもヤバいけど)



 総合的にみたら、状況が悪化したのでは……そんな事を考えているうちに、ルーレットが3回目の回転を始め……止まった。



『UR: 女神の囁き』



 ルーレットの針が、ソレを指し示した途端──鳴り響く、ファンファーレの音。SSRが当たった時に鳴り響くそれよりも、なんだか豪奢な感じであった。


 その、豪奢な当たりのBGMを聞きながら、千賀子は……怖れていた事が早くも起こったのだと理解させられた。



(う、Ultra Rare、だと……!)



 ……SSRですら持て余しているというのに、その上の『UR』だなんて。


 気が遠くなる感覚を覚えつつも、せめて、少しでも平穏な恩恵でありますようにと千賀子は祈りながら……そっと、要約を確認する。



『UR: 女神の囁き』


 ──要約:愛おしい巫女よ、特別に私が3回だけ手を貸してあげます。ああ、可愛らしい、愛おしい、貴女を見ておりますよ



 確認した直後、千賀子は……ゾクッと、背筋に怖気が走るのを抑えられなかった。


 『R』ですら、超常的な現象を引き起こすというのに。


 それよりも3段階も上の『UR』ともなれば、いったいどれほどの……しかも、女神様が直接手を貸すと明言するほどの……! 



(もしかして、ジョブの巫女って女神様が……いや、それならガチャなんかしなくても……もしかして、選び難いから私の運に全てを任せた?)



 考え出すと、怖くてたまらなくなる。今の今まで、女神に抱いていた感情が……恐怖に変わりそうになる。



(……いや、違う、そうじゃない)



 けれども、その恐怖は、そこまで長くは続かなかった。



(女神様は、あくまでも私を想ってのこと。結局は、私に覚悟が……それらを使いこなそうとする熱意、気力が無いせいだ)



 思い返せば、これまでずーっと受け身な人生だったと、千賀子は気付く。


 父に仕入れる商品の提案などをしたのも、店を盛り立てたいとか、そういう考えではない。


 ただ、前世の記憶を頼りに、売れる可能性が高いから提案しただけ。


 学校では良い成績を維持しているが、それも良い学校に行きたいからではなく、勉強ぐらいしかやる事がないから、勉強をするだけ。


『ガチャ』で問題を解決しようとしていたのも、他に方法が思いつかなかったから……という以前に、そもそも、考えすらしていなかったから。



(コントロールするしかない……出来るか出来ないかじゃない。やらなければ、ならないんだ……私は、選んでしまったのだから)



 ──そうだ、受け身では駄目なのだ。



 ここで仮に『ガチャ』を止めたとしても、千賀子の身体は成長期。これからますます肉体は成熟し、より魅力的に成ってしまうだろう。


 その時、己が無事なままでいられるのか……場合によっては周りを巻き込むかも……それは、千賀子自身にも断言出来ることではない。



 ──ならば、どうするか? 



(決まっている……これまでと同じだ。リスクを承知で『ガチャ』の力で……そして、『巫女』のジョブや、新たに得るだろう能力を使って、悔いのない自分の道を歩いて行くしかない)



 ──そう、それしかない。



 それ以外となれば、文字通り社会への関わりを断ち、無人の場所でひっそりと独り静かに生きていくしかない。


 だが、それは逃げだ。祖父に咎められた、良くない逃げだ。それを選ぶのは駄目だと、千賀子は心に誓う。



『──あっ、ぴこーん。またもやシークレットミッション達成です。『道なき道を行く覚悟』を達成致しました。およよ、愛おしい限りですね』



 その、証拠に。


 初めて、魅力や性とは方向性の異なるミッションを達成したことを教えられ……だからこそ、千賀子は理解した。



 ──自ら動いて、関わっていかなければならないということを。



 そう、改めて己に言い聞かせた千賀子は……胸中より湧き出る不安を感じつつも、しっかりと……前を見据えるのであった。



『今回の達成のお祝いは、『SR確定ガチャ』を3回分です。それでは、張り切って回して行きましょう!』



 しっかりと、前を見据えるのであった。



『SR: やわらかさ+1』


『SR: うつくしさ+1』



 しっかりと、前を……。



『SR: こえ+1』



 ……あの、女神様? 


(なんだろう、出足を挫こうとするの、止めてもらっていいですか、女神様……)



 思わず、女神様に向かって批難の念を飛ばしてしまうのを、責められる者がどれだけいるだろうか。



(せめて、魅力系以外のピックアップに変えて……あ、駄目、そうですか……)



 少なくとも、一言ぐらい思っても構わないのではないだろうか。


 そう、千賀子は祖父母の寝息と、シトシトと振り続ける雨の中で、思わずにはいられなかった。



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