第12話 政治経済の大物も瞬殺
第12話 政治経済の大物も瞬殺
さすがに深夜だけあって政治家の立派なお家も寝静まっている。
ワルインダー組壊滅の騒動もこちらまでは伝わっていないようだ。
私たちは問題の政治家シインズー氏の邸宅を訪ね、玄関の扉を叩く。
「こんばんはー
夜分に恐れ入りますが開けてください。
侯爵家の者です」
ドアをドンドンと叩いていると眠そうな男がドアを開けた。
迷惑そうだ。まあ、時間帯的に迷惑なのは承知の上だが。
「はあ、侯爵家の方がこんな非常識な時間帯に何用で」
嫌みを言ってきた。
「はい、病院に嫌がらせをしていた連中を締め上げたところ、シインズー氏の指示だと申しますのでお話を伺いに参りました。
これが証拠です」
私が縛り上げた血ぬれの男を突き出すと、対応した男は息をのみ、
「旦那様ー、大変です」と叫びながら二階へ続く階段を駆け上がった。
もちろんこのままおとなしく待つ私ではない。下手(へた)にエントランスで待って裏から逃げられたら元も子もない。
私は玄関に出てきた男の後を追い、シインズー氏の寝室へと乗り込んだ。
「ひっ、何だ貴様は。私はこの町の支配者、シインズーだぞ。出て行け」
寝間着姿のシインズー氏がベットの横に立ってわめく。
ベッドには奥方らしき女性が上半身を起こして震えている。
「たかが町の政治を委託されているだけで支配者ですか。これはどうしようもありませんね。私はこのたび侯爵家の嫁となりましたジーナ・マコゴレイと申します。
病院施設に慰問に来ましたところ悪質な嫌がらせ、いえ、犯罪被害に遭っているという申し出がありまして、調査の結果あなたが黒幕と分かりましたのでお話を伺いに参りました。これが証拠です」
と、血ぬれの縛り上げた男を突き出す。
「しらん、ワシは何も知らんぞ。もちろんこんな男も知らん。
それより、いくら侯爵家の嫁といえ、こんな非常識で無礼なまねが許されると思うのか」
「病院に対してあんな非常識で無礼なまねをしたあなたには言われたくありませんね」
「ええい、やかましい。この町ではワシが法だ。憲兵に突き出してやる」
シインズー氏がつかみかかってきた。
私が細身の女性だから自身で捕まえるつもりのようだ。
「仕方ありませんね……」
私は物理で殴ると命を奪いかねないと思い、無詠唱で魔法を発動する。ワルインダー組での反省も生かし、火炎系の魔法は使わない。
氷結魔法冷霜集結、眼前の狭い範囲を氷結させる上位魔法だ。この魔法に合えば例え上位のデーモンキングでも瞬間で拘束できる。
当然、シインズー氏も氷結し、完全に氷のオブジェとなった。
静まりかえるシインズー邸。
「あの、奥様、これ生きているんですか?」
タムがおそるおそる聞いてくる。
「そうなのよ、そこが疑問なのよ。動きを拘束するだけのはずが、たかが氷結魔法一発で生命反応が消えちゃったのよ。
まさか、魔法耐性がゴブリンなみとか言わないわよね」
「またですか……」
タムはあきれたようにため息をつく。
「まあ、奥方は無事のようんなので、シインズー氏の悪行と関連団体は奥方から聞きましょう」
私が言うと、それまでベッドで固まっていた奥方が叫んだ。
「いやーーーー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます