第5話 なんてヤワなの……
第5話 なんてヤワなの……
完勝である。
「ふうっ」と息を一つ吐くと、残心を心がけたまま周囲の気配を探る。
……、おかしい。
私たち5人以外の生命反応が、遠くにいる魔獣だけになっている。
真っ二つになった正面の10人は死んでいても仕方ないとして、たかが魔法を一発食らっただけの両サイドの敵と、素手で殴ったり蹴ったりしただけの後方の敵は生きていなければおかしい。
そう思って私は先ほど蹴ったり殴ったりした男たちの方を見る。
すると……。
最初に正拳突きした男は臓物を背中から外部へとまき散らして死んでいた。
二番目に右からの回し蹴り気味の回転キックを浴びた男は体が曲がってはいけないところで二つ折りになってしまっており、生命反応はない。
裏拳を右頬にたたき込んだ三番目の男は、そのまま頭が180度回転し、地面に倒れてヒクヒクと痙攣している。あれは死んでからもしばらくは筋肉の反射が残ることがあるときの反応だ。おそらく生きてはいないだろう。
4番目の男に至っては、かかと落としによって頭が文字通り首から落ち、地面に転がっている。絶望的だ。
最後にドロップキックを噛ました敵は、そのまま10メートルほど先にあるおおきな木の枝に体を貫かれ絶命していた。
ドロップキックで吹き飛ばした方向が悪かったようだ。
両サイドに目を向けると、3人の焼け焦げた遺体と、別の3人の見るからに致命的な鎌鼬の傷が体中に刻まれた遺体が在った。
魔力への防御力が紙過ぎる……
西の魔獣なら怪我はしても戦闘不能になどならないレベルの攻撃だったのに……
「魔法耐性も物理耐性も軟弱すぎる……」私は呆然と呟いた。
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