第4話 襲撃には奇襲で応じて見せましょう

第4話 襲撃には奇襲で応じて見せましょう


「「奥様、ダメです」」トムとタムの静止の声を後ろに置きさり、私は疾走する。

 盗賊たちは、長距離移動中のため簡易なブラウスとスカート姿の私が剣をひっさげて突撃してくる姿にしばし呆然として立ちすくむ。

 想定外の事態だったのだろうが、これは一気に制圧のチャンスだ。

 私は諸刃の剣をチャキッと回転させ、盗賊たちの間をすり抜けざまに一人一閃していった。


「安心しなさい、峰打ちよ」

 私が10人の盗賊を通り過ぎると、それまで突っ立っていた男たちの体がゆっくりと二つに分かれ、大量の血を吹き出しながら地面に倒れ伏した。


「しまった。諸刃の剣に峰はなかった……」

 後悔先に立たず。

 悪しき魂が10霊ほど天に召された。


「まあ、後悔は後でするとして残りは何人か生かさないと尋問も出来ないわね」

 そう呟いた私に向けて左右から矢が降り注ぐ。

 左右に伏せていた盗賊だ。


「チッ、飛び道具とはこざかしい」

 私は即座に右手に集積した魔力で火炎魔法を放ち右側から来る矢を焼き払い、左手に集積した魔力で旋風魔法の鎌鼬(かまいたち)を出し左側から来る矢を切り刻む。、


「そぉれもう一発」

 矢が飛んできた方向に火炎魔法と旋風魔法を放つと 両サイドの敵は沈黙した。後は後方の敵だけだ。

 馬車の後ろに目をやると、一目散に逃げようとする5人の男が目に入る。

 しかし、誰一人として通常の速度しか出ておらず、身体強化魔法を使えている様子はない。


「逃がさない!」

 私は魔力での強化を足に集中すると男たちを追う。


 見る見る彼我の距離が縮まる。


 逃げていた男たちの一人が振り返り私と目があう。


「まずいぞ、このままでは追いつかれる」

 私と目が合った男が叫ぶ。


「こうなったら一斉に斬りかかれ」

 後方組のリーダーらしき男が叫ぶと、男たちは立ち止まり、私に対して迎撃態勢を取った。


 接敵した私に対して、最初の男が上から剣を振り下ろそうとする。

 だが遅い。

 正面グループを惨殺してしまった反省から剣は使わずに拳で勝負に出る私。

 敵の剣が将に振り下ろされようとする直前で、私の右正拳突きが男のみぞおちに炸裂する。

 次の男が私の右側から真横に剣を振り抜いてくる。

 私はとっさに姿勢を低くして剣をやり過ごし、体勢が崩れた男の左脇腹に右足のキックをたたき込む。

 三番目の男は半ば背を見せる格好となった私に突きを放ってくるが、最小限の動きでこれをかわし、回転する勢いを利用して左の裏拳を男の右頬にたたき込む。

 四番目の男は姿勢を低くした私に対して低い位置から横薙ぎの一撃を繰り出してくる。

 私はジャンプ一番これをかわし、男の頭上からかかと落としをお見舞いする。

 そして最後の男は……、リーダーの声が聞こえなかったのか、絶賛そのまま逃走中である。

 私は身体強化を最大にすると全力で走って五番目の男に追いつき、後ろからドロップキックを食らわせた。






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