第3話 気ままな5人旅 いきなり襲撃とかテンプレですか?

第3話 気ままな5人旅 いきなり襲撃とかテンプレですか?


 そういうわけで、結婚一週間にして私はお供を4人連れて領地へ向けて出発した。

 メイドのアンと護衛のトム、タム、御者のシゲジイの4人だ。

 私とアンが馬車に乗り、護衛の二人は騎乗して馬で先導する。

 はっきり言って、私一人で騎乗用の魔獣を操った方が早いのだが、アンは馬に乗れないらしく、次期侯爵夫人としても騎乗はダメらしい。

 実家の母様は普通に騎乗していたので伯爵家との違いが悲しい。


 しかしそんな私の憂鬱を吹き飛ばすような楽しい事案が発生した。

 王都を出て周りに人気がなくなったところで馬車が急停車した。


「シゲジイ、どうしたのですか?休憩ですか」

「奥様大変です。盗賊らしきものたちが現れました。ここは比較的安全な街道なので護衛をトムとタムの二人しか連れてこなかったのが徒(あだ)になりました。敵は前方で道を塞いでいるものだけで10人です。

 おそらく横や後ろにも人がいます。

 方向転換して突破を試みますので決して窓やドアを開けないでください」

「待ちなさい。そんなことをしたらトムとタムはどうなるのです」

「二人には命をかけて足止めしてもらいます」

「なりません」

 私は即座に否定した。

「でもそれでは奥様が……」

「大丈夫です。ここは私が出ます」

「「はっ?」」

 シゲジイとアンの声が重なったが、私は無視して、座席の下に隠していた愛用のロングソードを握りしめると馬車のドアを蹴り開け外に飛び出した。


 すぐに気配察知の魔法を全方位に展開する。


 なるほど、前に10人、後ろに5人、左右に3人ずつの総勢21人に少し離れたところにやや大きな魔力反応が1つ。

 どうやら盗賊たちも気がついていないようだが魔獣も1匹いるようだ。

「これはラッキー。久しぶりに暴れられそうね」

 私は呟くと、身体強化の魔法を展開し、前方の10人突っ込んだ。






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