第19話 舞台ゴーレム
「ふぅー・・・」
ウィズの
これによりサイリウムミサイルの攻撃力も止まり、さっきまでいた観客達の気配も消え、4人は息を整える。
しかし全員気づいている。
これはまだ単なる前座、虚界の崩壊の様子もない。
これからが本番だと。
そして崩れた中央ステージの瓦礫の上をドローンご一台光照らす。
そこにはキラキラなアイドル衣装を着た碧がマイクを持っていた。
「初めてのソロライブ・・・やっと、このステージに立てたの・・・・・・なのに・・・なのに・・・なのに!!」
マイクからの反響音が響き渡り4人は耳を押さえる。
「はぁはぁはぁ……」
「これが、本当にあなたが夢見た、理想の世界なのですか」
フードを外し素顔を見せるウィズ、その顔見たとき、碧は驚いた。
「新君…あなたが……ううん、今は君が何者かはどうでもいい。それよりどうして私の邪魔をするの」
碧は冷静を装いながらも拳に力を入れマイクを震わせる。
「あなたの世界を壊すため。そのために僕は今ここにいます」
「どうして?あんなにたくさん私の至らないところやその改善策をしめしてくれて、私を育ててくれたのに…どうして君が私の夢を壊すの?」
「これが、あなたのライブじゃないから」
「私のライブじゃ…ない?なに変なこと言ってるの?よく見てよ、みんな私を見に来てくれてるんだよ?これは私のライブよ!!」
碧がそう言うとたくさんの碧を応援する声がスタジアム中に響き渡る。
「ねぇ?」
碧はウィズに自信満々の笑みを向ける。
しかしウィズは首を左右に振り、その自信を否定する。
「これは君のライブじゃない」
「またそう言う。なにを根拠にそんなことを」
「アイドルになれてない君に、どうしてみんなが君を見に来るんだ?」
「また何を言って…!」
「君は常に誰かをまねていた!自分が理想とする人物をもとに!自分を押しつぶし自分の個性を消し、そのコピーしたものを表に立ててきた!!」
「冗談を……!!」
「冗談でも戯言でもない!!」
「…!!」
ウィズは大きな声でそう言った。
「短い間だったけど、僕はその中でも君たちをよく見てきたと思ってる!だからこそこれは僕のエゴだ。僕は君自身のライブを見たい!石上碧の作り上げる最高のライブを!だから僕はこのライブを壊しにきた。君自身の最高のステージをプロヂュースするために、さぁ、フィナーレの時間だよ!」
ウィズはそう宣言して両腕を碧に向ける。
「これは……私のライブなの…私が積み上げてきたの…私の生きがいなの……それを否定させない…」
「ウィズ、後ろだ!」
「……!!」
テラーの声を聴いて後ろを振り向くと二つの光が集約していきウィズに向けていた。
危険を悟ったウィズはすぐにステージから飛び降りた。
そして次の瞬間、その光はビームとなりウィズのいたところに放たれた。
「これが、彼女を守る最後の防衛システム!!」
そこには足は巨大スピーカー、腕は大量のケーブルの束、胴体は無く、それらを繋げる頭は先ほどウィズが日々を入れた巨大スクリーンで出来たゴーレムがいた。
「私のライブは誰にも壊させはしない!!」
「&#&$%&#!!」
巨大ゴーレムが電子音の叫びを放つ。
それと同時に碧の足元にあった瓦礫の山が浮かび、鉄格子を碧を中心に四方に形成し碧を守る堅牢となる。
「
跳び上がったイヨが薙刀を碧に向けて投擲する。
しかし四方を囲む鉄格子は形を変え、盾となりイヨの投擲を防いだ。
「さすがに予想外」
「一点突破が無理なら全体攻撃よ!乱舞!」
次にアルテが両手にサブマシンガンを抱えてスタジアムの至る所に乱射する。
だが撃たれた弾は柱や壁に弾かれスタジアムの四方八方から碧に向けて銃弾の群れが襲いかかる。
しかしそれでも、今度は盾が鞭の様に紐状に変化し弾を捌く。
「なによ!ただの鉄の癖に!」
「アルテ、イヨ、そっちはお前らに任せる。俺は」
テラーは二人を置いてゴーレムに向けて刀を突く。
ゴーレムは腕でそれを防ぎ振り払う。
振り払われたテラーはウィズの横に。
「ウィズのサポートだ」
「「「了解」」」
様々な形に変化可能な防衛システム。イヨやアルテの攻撃に対応するだけで反撃しないことを見るに完全防御型か。
「ウィズ、このスタジアムのメインシステムは
「うん、それは間違いない」
「$¥%%$%$#%€☆〆!!」
ウィズとテラーはゴーレムの攻撃をかわすことに専念する。
「主電源はお前が破壊したんじゃないのかよ?」
「手応えはあった。おそらく予備電源がどこかにあるはずだ!うお!?チッ!」
ウィズはゴーレムに電撃を放つ。しかしまたしてもケーブルの腕に弾かれてしまう。
『無駄だよ新君』
「碧さん!」
ゴーレムのスクリーンから碧が映し出される。
『君の言う通り主電源は落ちちゃった。でも予備くらいあるのは当然。そしてこれは私を守ってくれる最強の守護者。完全自立型のゴーレム』
「けどよ、外部から電気を供給されてないということは必ずコイツ自身にそれを溜め込む核があるはずだ!」
ゴーレムの攻撃を捌きながら指摘するテラー。それでも碧は表情を変えない。
『見つけ出せたらの話をしても無意味よ。私のライブを楽しんでいってね』
それだけ言ってスクリーンから碧の映像は消えた。
「話を聞く限りこのゴーレムのどこかにある核を破壊すれば…!」
その時、ゴーレムから爆音が流れ始めた。
「発生源は足のスピーカーか、なるほど。ライブを楽しめって、ほんとにそういうことなのかよ」
「&”$&%”&!&%$#!!」
スピーカーからは音楽と碧の歌声が聞こえる。
そしてそれに呼応するようにゴーレムの腕のケーブルが解かれ無数のケーブルが音速を超える音を発しながらテラーとウィズに襲い掛かる。
「緋罰、焔蛇!」
「
テラーは炎を纏う刀でまるで蛇が攻撃を避けるようにかわしケーブルを斬って行く。
ウィズはケーブルの軌道を予測し最低限の動きで攻撃をかわす。
(なる早で頼むぜイヨ、アルテ)
(二人が来る間に核の特定をしないと)
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