第18話 いざ、ライブステージに
ゲートからウィズが飛び出して来た。
それを確認したテラーがビー玉サイズの玉をゲートに投げるとその玉が割れ、そこからテープの様な何かがゲートを封印する。
「存外時間がかかったな」
「やっぱりあの役は僕には向いてないよ」
「そうか。ならその役にならないように立ち回るしかないな」
「難しいことを淡々と言わないでよ。それでここが碧さんの夢」
虚界に入ってまず目に入るのは目の前にあるドデカイスタジアムだ。
「どうやら彼女、全国ライブツアーを実現したみたいよ」
そう言ってアルテが指差す先は恐らくこのスタジアムの入り口と思われる場所で、その上にはデカデカに『石上碧 初全国ライブツアー』と横断幕が掛けてあった。
「まぁ確実に彼女はこのスタジアムの中にいるだろうな。行くぞ」
「「「うん」」」
テラー達は入り口からスタジアムの中に入って行く。
「なんだか不気味ね」
「そうだね。まるで閉館してるみたいだ」
虚界の時刻は丁度日が沈み、オレンジ色の光が辺りを染めていた。
「誰かいる」
反応したのはイヨだ。
続いてテラーも感覚を研ぎ澄ませる。
「ああ、この先に一人いる」
4人は顔を見合わせて先に進む。
少し先に進むとうっすらと外の光が漏れ出ていた。
4人がその先を抜けるとそこには奥にステージがあるだけで人っ子一人いない。
「おかしい。さっきまでちゃんと誰かいたはず」
「でもここに碧さんがいるはず。僕的にはあのステージがとっても怪しいね」
ウィズが指すのは奥のステージだ。
「ここに来る途中にここの電気システムをハッキングしたんだけど、あのステージ今電気が通ってるはずなんだ。なのにライトの一つもついてない。これじゃあまるで「「「……!」」」」
日が完全に沈み、世界が暗闇に支配された瞬間、4人の下からランウェイの中央ステージが姿を現した。
4人はそれぞれ客席に退避する。
そしてスタジアムにいつの間にかライトが取付らえれたドローンが現れ、スタジアムのいたるところを照らす。
そしてドローンたちは中央ステージの周りに集まり、その中央を照らす。
その瞬間、中央ステージから一人の女の子が飛び出してきた。
それと同時にスタジアム中に音楽が流れ彼女は熱唱する。
「碧ちゃーーん!!」
「キターーー!!」
「うおーーー!!」
いつの間にかさっきまで誰もいなかったスタジアムに大勢の人がペンライトを持っていた。
「なに?」
「これは」
「いつの間に!」
テラー達が突然現れた観客に気を取られてる間にウィズが観客席から降りて、まるで閃光のように碧の元に向かう。
しかしその後ろから3発の飛行物体がウィズに向かっていく。
ウィズが碧に殴りかかろうとした時、碧のいた中央ステージが上がり、その支柱に当たり不発する。
その隙に飛行物体はウィズの背後と左右に1発ずつ分かれ襲い掛かる。
だが、その飛行物体はウィズに届く前に背後のはテラーが蹴り飛ばし、右のはイヨが薙刀で、左のはアルテが銃弾で弾き飛ばした。
弾かれた飛行物体は爆発した。
「おいウィズ、どうやらここにいる大勢を敵にしたっぽいぞ?」
「なに言ってるのよ。あれは元から敵でしょう。それよりあのミサイルなんのよ」
「サイリウム、確率№1」
「投げたらミサイルになるサイリウム?なんとも物騒な応援グッツなことだ!」
テラーは更に向かってくるサイリウムミサイルを蹴り飛ばす。
「さて、ウィズ、なにか分かったことはあるか?」
「うん。どうやらこのスタジアム自体が彼女を守る防衛システムっぽい。物に関しても人に関してもそれに等しいみたい」
「それで、どうすればその防衛システムをかいくぐれるの!」
アルテが向かってくる無数のサイリウムミサイルを撃ち落としていく。
「多分このスタジアムの電源を破壊すればいい!」
「それどこ?」
イヨの質問に答えるようにウィズが目を向けたのは奥のステージの真ん中にあるスクリーンだ。
「主電源は奥のステージの真ん中のスクリーンのちょうどその奥にある!」
「それならお前が行けウィズ!お前の能力が適任だ!」
「わかってる!援護は頼んでも?」
「期待はしないでね。流石にこの状態じゃ全部捌ききるのは難しいから!」
「わかってるよ・・・・・・アルテ」
四方八方から無数のサイリウムミサイルが向かって来る。
「イヨ!」
「オッケー」
テラーとイヨはウィズとアルテを中心に身体を捻る。
「緋罰」
「月光」
「焔鶴!」
「下弦!」
二人の一撃は互いに半円を描き無数のサイリウムミサイルを斬り裂いた。
それを合図にウィズとアルテが奥のステージに向かって走り出して行く。
だがサイリウムミサイルは止まることなく二人は向かってくる。
アルテは2丁拳銃で的確に撃ち落とし、無理なものは優雅にかわす。
ウィズはブカブカの袖口から放電を放ち、サイリウムミサイルを誘爆する。
しかしまだ行手を邪魔するものはある。
巨大な壁のようにそり立つ中央ステージだ。
「こんな壁、俺たちにとって!」
「造作もない!」
後ろから追いついたテラーとイヨが中央ステージを斬り裂いた。
瓦礫となり崩れる間をアルテとウィズは潜り抜ける。
しかしその先、奥のステージのライトが二人に照準を合わせる。
ライトの中には更に大きいサイリウムミサイルが搭載されていた。
二人はそれに気づいてもスピードを緩めない。
アルテに至っては更にスピードを上げてウィズを追い抜く。
「固定されてるんならこいつかな♪」
アルテは高く飛び、二丁拳銃を仕舞い、その代わりにマシンガンを構える。
「お役御免よ!」
アルテのマシンガンにより巨大サイリウムミサイルはその威力を味合わせる前に自身で味わい身を滅ぼした。
これで彼の道を隔てる物はなくなった。
ウィズは右手の拳に電気を溜める。
そして腕を振りかぶりその拳を中央スクリーンに向けて穿つ。
「
ウィズの一撃はスクリーンを割りその奥の電源に高電圧の電圧が掛かりスタジアム中の電気がシャットダウンした。
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