第6話 有楽町虚界攻略作戦③
ゲートからドリーマーが雄たけびをあげ、目の赤いヘッドライトが周りにいる隊員たちに向けられる。
「オマエらもアイツの仲間か!」
『ヒッ!』
「ブオーー!」
ドリーマーは片腕を外側に振りかぶり前輪のタイヤを高速回転させ、
ゲートを守っていた隊員達は咄嗟に後退し直撃は免れたがドリーマーの一撃の風圧で飛ばされる。
ドリーマーはその中で余り飛ばず自身の近くにいた隊員に向けて腕を振り上げる。
「ブオオーー!!」
「ヒッ!?」
バン!
「ヴッ!?」
しかしドリーマーが腕を振り下ろそうとした時、銃声と共に彼の腕は大きく外にズレた。
彼は銃声の鳴った建物の屋上を見るとライフル銃を構えるアルテがいた。
「刃車清だな?」
「ダレだ!」
彼がアルテに気を取られいる内に彼の目の前に黒のロングコートに仮面を付けた男がいた。
「俺の名はテラー。今宵、お前を夢から覚まさせに来た」
「オマエも敵かーーー!!」
ドリーマーはもう一度左腕のバイクを振り上げ前輪を高速回転させる。
「シネーーー!!」
高速回転するタイヤが迫ってくる。
俺は刀の刃をタイヤの回転と平行に受け止める。
「ナニ!?」
「力だけのちんけな攻撃だな」
「ヌッ!?」
俺は思いっきり刀で振り払う。
そしてドリーマーの体勢が崩れたところで胴に蹴りを入れてゲートと特殊隊員たちからドリーマーを離す。
その様子を見たアルテが動き出す。
***
「なあ、やばくね!」
「ああマジでヤベェ!」
「これ絶対バズる!」
「早く退避を!危険です!」
警察官が何度もそう言っても大半の人間は走っていかない。
ほとんどの観衆はスマホを掲げ動画を撮っている。
バン!
そんな中、観衆の目の前の地面に一弾の銃弾が撃ち込まれた。
観衆は肝を冷やし静かになる。
「まったく。最近の若人はほんと承認欲求不満たらたらね〜〜」
アルテが建物の屋上から飛び降り観衆の前に姿を現す。
「君は・・・」
警察官はアルテを見て問う。
「私はアルテ、ナイトメアのアルテ。今日は君たちに警告をしに来たのよ♪」
「警告・・・?」
「うん♪」
警察官の言葉にアルテは笑顔で答える。
そしてアルテは観衆に向けて真剣に諭す。
「早く逃げなさい。このままじゃアンタ達、死ぬわよ」
「な、何言ってんだよ?アンタらがいれば安全だろ?」
「そ、そうよ!」
アルテの目の前にいた若者集団の男女がそう言ってきた。
そして彼らに釣られて後ろの観衆も乗ってくる。
そんな彼らの姿にアルテは溜め息をつきライフルの銃口を空に向け発砲した。
更なる銃声にその場は静かになる。
「アンタ達、勘違いするんじゃないわよ。私たちは唯依頼を遂行しに来ただけ。アンタ達の命を守る必要なんてないのよ」
アルテは銃口を観衆に向ける。
「これは助言よ。早く逃げなさい。じゃないと・・・」
「イヨ、アルテ!信号機一本くれ!」
アルテは振り向かず、イヨが信号機を斬る音を頼りに、銃を後ろに向け、宙に浮かんだ信号機に一発当てる。
「死ぬわよ」
その瞬間、アルテの上をバイクが一台通過した。
バイクは観衆の群れを通り過ぎその奥のビルにぶつかった。
バイクはガラスの破片と共に落ちる。
「きゃあああーーー!?」
「わあーーー!?」
幸い落ちたところに人は居なかったがいたら確実に死んでいただろう。
「ね。だから死にたくなければとっとと帰りなさい」
アルテはそう言ってテラーのサポートに戻る。
***
ゲート付近では虚界にいた渋川中隊長達が帰って来ていた。
「渋川中隊長!ご無事でしたか!」
「ああ、それより状況は!」
「はっ!現在虚界から脱出したドリーマーはナイトメア、テラーと交戦中!」
「ナイトメアだと!?」
「はい!」
渋川は轟音が聞こえる方を向くと。
ドリーマーの攻撃を刀一本で受け止め弾き攻撃し足止めするテラーがいた。
そして彼はそれを絶好のチャンスと感じた。
対象がとまっている今がチャンスだ!
「総員対象に照準構え!」
渋川の号令の下に特殊隊員達がテラーと交戦中のドリーマーに照準を合わせる。
「撃てーーー!!」
バンバンバンバン!!
何十もの銃声が一斉にドリーマーに向けて発砲される。
しかしテラーと銃弾の間にイヨが飛び降り薙刀で銃弾を弾く。
「なんだと!?」
「邪魔はさせない」
「お前は!?」
「私はイヨ」
「イヨだと?」
ナイトメアはテラーとアルテという二人組だと聞いていたがまさか3人目がいたとは!?
「ここから先は行かせない」
イヨは薙刀を構え、そう言う。
「渋川中隊長どうしましょう」
「私の合図があるまでそのままだ」
渋川は一歩前に出る。
「悪いが彼は私たちが対処する。邪魔しないでもらえるかな?」
「それはこっちのセリフ」
「どうやら交渉は無理そうだな」
「それは同意」
「ならば!」
渋川は腰にある剣を抜く。
そしてイヨに向かって走り出す。
イヨは渋川の一撃を受け止める。
「貴様を倒して通るのみ!」
「やってみるといい」
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