第3話 アリスとクリスマスの夜
アリスはクリスマスの夜、街で綺麗に飾られたツリーを見ていました。
でも心は良くありませでした。
何故ならママと離れてしまったからです。
周りには沢山の人がいますでも知らない人ばかり、アリスは家迄の帰り道は知りませんでした。
お腹も空いてきて思いました。
『そうだ、思い出した、ママは帰りにチキンを買って帰るはずだわ』
ツリー前のベンチに座っている少しお酒の匂いがするおじいさんにたずねました。
「チキン売ってるお店はどこだが教えてください」
そのおじいさんは懐からスキットルを取り出し、一口飲んだら、持っているステッキで、ある方向の路地の入り口を指してくれました。
「おじさん、ありがとう」
とアリスはお礼を言い、その路地に入って行きました。
その通りの左右に果物屋さん、窓から白いカーテンと赤い床が見えるレストラン、もあってこの先にチキンを売ってるお店がある気がして元気が出てきました。
案の定、足に飾りが付いたチキンが沢山ガラスにケースに並べられているお店がありました。🍗
アリスはお金を持っていませんでしたがママの真似をして「チキンを一羽くださいな」と言って見ました。
ケース越しから返って来た返事は変でした。
「チキンは売らないよ」
「売ってるじゃない」
と顔を見上げたらお店の人の顔がチキンでした。
「チキンだからチキンは売らないよ」
「じゃ、なんでチキン置いてあるの? 変じゃない」
「チキンになる前に置いたのさ、毎日チキンの首を折っていたら呪で気づいたら首から上がチキンになってしまったのさ、チキンを売ったら、今度はまた同じ様に俺はこの世からいなくなってしまうことさ、だから売れないのさ」
「ふーん、別にいいけどね、ままごとだから」
「シャンパンなら、売ってあげるよ」
「言ったでしょ、ママごとよ、お金持ってないわ」
それを聞いたチキンの店主は、
「お試し飲みの、小さいのがあるよ」
とアリスに手を伸ばし小瓶サイズのかわいいシャンパンをくれました。
ままごとでママを思い出したアリスは周りを見回したけどママの姿は見つけられませんでした。
アリスは頭だけチキンのチキンに聞きました。
「私のママがチキン買いに来たかしら?」
「そう言われても君のママの顔は知らないよ、でもチキンになる前に何人かの婦人にチキンを売ったよ、チキンを持ってみんなアソコの駅に向かっていたさ」
とチキンだけど手は人間のチキンが指差した所には見覚えのある汽車が止まっているのが見えました。🚂
「あっ!、あれに私乗ってきたの、これで帰れるは、ありがとう」
でもアリスは駅についてからお金を持っていない事に気がつきました。
しょうがないので、駅の入り口で座り、ママを待つ事にしました……でもいつまで待ってもママは来ませんでした。
遠くには、さっき見てたツリーの明かりが見えました。
その点滅する明かりを見ていたらアリスは頭が痛くなって、気分も悪くなって来ました。
そのうち汽車が煙を吹き、出発する雰囲気になりました。
「あっ! 置いて行かれちゃうー、と思いアリスは汽車の前に立ち。
「待ってー!」
とトウセンボをしました、でも汽車は止まらずに近づいて来ました!
『あー 私ペチャンコになっちゃうー』
すぐに汽車が顔に当たり、汽車の黒いお腹が目の前に見えました。
アリスは自分のお腹を触って見ました。
「あれ? 私ペチャンコじゃない」
今度はお腹をそのまま両手で押して見ました。
その時、喉からシュッポンと空気が飛び出て来ました。その息はチキンの薫りがしました。
起き上がったら《ガッチャ》と音がして足元にはプレゼントに貰った汽車の玩具が転がっていました。
近くにはチキンの頭巾を被ったパパがイビキをたてて寝ていました。
辺りを見渡したら、そこは大きなツリーが置いてあるアリスの家のリビングでした。
まだ頭が痛く、ぼんやりと暖炉の火を見ていたら何処からかママの声が聞こえてきました。
「アリス起きたの、大丈夫? シャンパン飲み過ぎよ、お父さんにも、まだお酒は早いっていたのに」
[END]
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