第13話 田舎剣士の学校生活
朝。
朝の軽い運動として、60kmを二時間で走る。
世界記録とかぶっちぎっちゃっている気がするが、まあ気にしない。
そして、朝飯として、五合のご飯とダンジョン産ファンゴ肉1kgとキャベツ一玉の雑野菜炒めと、大根の味噌汁1リットルをいただく。
「おらっ!ハヤ!餌だぞ!」
『ありがたい……』
なんか感謝のテレパシー飛ばしてくる早太郎に、3kgの山盛りファンゴ肉を与える。
そしたら、俺は登校。
……にしても、早太郎、めっちゃデカくなったな。
体高が60cmはあるぞアレ、秋田犬並みだ。
学校に着いた。
「やは、赤堀くん」
「よお、青峯」
「今朝方、君が街を爆走していたのを見たよ。相変わらず頭が可笑しいよふで何よりだ」
「軽いジョギングだよ。健康維持のためにやるべきだ」
「僕があんなことをしたら、ただでさえ細枝のような身体が枯れ木になってしまふよ」
「じゃあ筋トレしろ」
「それも無理だ、僕は本より重いものを持てなひんだ」
そんなヒョロガリを放置して、朝礼。
授業は……、まあ、適当に。
「はい赤堀、ここの答えは?」
「えー……、分からん」
「おいおい、剣道だけじゃなくって、勉強もしろよー?」
「良いよ、寺継ぐから」
「だとしても、だ!」
体育の時間。
今日は野球だ。
「よいしょっと」
俺は軽くバットを振った。
しかし、レベルアップによる圧倒的なパワーは健在で……。
「グワーッ!!!!」
「うわーっ!ボールを受け止めた緑門が吹っ飛ばされたぞーーーッ!!!」
緑門をノックアウトしてしまった。
ふむふむ、なるほど。
「これ、敵チーム全員ノックアウトすれば勝ちじゃね?」
「「「「ひいいいいっ!!!!」」」」
にしても、緑門がやばいな、手首痛めてる。
あー、こんなこともあろうかと用意しておいた二十階域ポーションをドバーッと。
「うわ!冷たっ!なんやねん?!」
「水だ。寝てたんでな」
「意識はあるわ!……ん?あれ?痛かったのに治ってるわ」
「派手に吹っ飛んでたけどアレ何?ギャグ?流石関西人っすね!マジリスペクトっすわ!」
「いやホンマにお前ええ加減にせぇよ?!ホンマに死ぬところやったで?!!」
「大丈夫、大丈夫。最近は人っぽい生き物を複数壊してるから、壊れないようなやり方も覚えたし」
「何の話ィ?!!?!!」
昼休み。
1.8リットルの弁当箱を三つ持ってきた。
片方はご飯、片方はおかず、最後の一つはサラダと副菜だ。それと2リットルボトルの緑茶も付けてバランスが良い。
「「「「うへえ……」」」」
キチレンジャーの面々がドン引きしている。
「人の食事量じゃあらへんやろ!」
緑門がなんか言ってるな。
「俺から言わせりゃお前らの方が人間じゃねえよ。もっと食え!」
青峯はランチパックスという惣菜パン(玉子サラダ入りパン)一つと缶コーヒーのブラック。
黄場は女の子サイズの弁当箱にイチゴミルク。
緑門は男性用二段弁当と烏龍茶。
桃瀬が菓子パン二つとサラダにカフェオレ。
もっと食えよ!
で、はい、俺の弁当をご開帳!
まずご飯!1.8kg!
そして、ギチギチに詰められたモンスター肉のデミグラスハンバーーーグ!!!!を1kgと、ファンゴ肉チャーシューを0.8kg!
それと、キャベツ一玉とトマト三個、にんじん一本分が入ったサラダに、自家製のにんじんドレッシングをかけていただく。
それとついでに、卵を八個使用した卵焼き(甘い味付け)も添えてバランスバッチリだ!
「嗚呼、見ているだけで御腹が一杯になってしまふね」
「食欲と性欲は比例しますからね。絶倫の赤堀さんらしいです」
「うげー!見てるだけで胸焼けするわ!なんなん自分?フードファイターでも目指しとるん?」
「ヤバ〜!マジ?!赤堀ってそんな食べんの?!そんだけ食べてその体型とか羨ましーし!」
そんな感じで、馬鹿話しながら飯を食う。
「早……、早い?!早くない?!」
「がつがつもぐもぐがつがつもぐもぐ」
「ヤバ!あの量が三十分でショーメツしちゃったし〜!」
放課後。
部活なんてものはやらない。
それに俺は剣道部と空手部と柔道部から出禁を言い渡されている。
何故かと言うと、体験入部の時、剣道部、空手部、柔道部の全員をのしてしまったのだ。
それで、三つの部は完全に心が折れてしまい、半数が引退。
俺は武道系部活クラッシャーの不名誉な渾名で呼ばれた。
俺が思うに、それは本人の修行不足なだけだろと思うのだが。
そんな話をしながら下校する。
「いや、うちの高校の武道部はとても強くて、いつも全国大会の常連出場者だと聞ひたのだけれど」
「ああ〜?嘘ついてんじゃねえよ青峯〜!あんなどうしようもない雑魚が全国大会になんて出れる訳ねーだろ?」
「本当なんだけれどねえ」
「はぁー、分かってねえな!いいか青峯、世の中にはもっと強い奴がいっぱいいるんだよ!俺みたいな田舎のうらぶれた古武術使いなんかより、軍人とか、プロ格闘家とか、もっと強い奴がな!」
「去年、君が半殺しにした空手部の顧問は、空手の選手だったせうだけれど」
「んな訳あるかよ!フカシだどうせ!」
そうして、放課後に、駅前にあるゲーセンへ。
「おっ、見てや赤堀クン!パンチングマシーンが新しく置かれとるで?」
「やれってか?」
「一つ、古武術の必殺奥義でも見せてーな?」
「まあ、良いけどよ」
御影流……、『鎧通掌』!
「あ」
『beep!beep!エラーが発生しました。エラーが発生しました』
「あちゃー、やっちまったわ。これ、使うと、鎧を着た相手の内臓のみを破壊する技なんだけどさあ」
「はっはー、ぶっちゃけドン引きやわ。格闘漫画のキャラかいな?」
そうやって遊んだ後は、家に帰ってダンジョンで軽くレベル上げをして、それから飯を作って寝る。
普通の学生らしい、平穏な一日だ。
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