第12話 経験値テーブル

二十階層。


出てくるモンスターは、オーガだ。


赤い肌、二本の角、筋骨隆々な2.3mほどの身体。


丸太のような腕に、鉄骨のような金棒を持っている。


目は爛々と輝き、牙は鋭い。


怖いなー、怖いなー。


『ガアアアアアアアッ!!!!!』


「死ねやおらあああああああっ!!!!!」


だが死ね。


『ガアッ!!!』


「振りがよぉ!デカいんだよなぁ!!!」


叩き潰すかのような金棒の一撃。


上から潰すかのような大振りな攻撃。


俺はそれを半身に、身体を逸らして立ち位置を変えずに避けて、地面に突き刺さったオーガの金棒を踏みつけ、姿勢を崩させて、首を斬りやすい位置まで下げる。


「獲った!!!」


『ガアッ!!!』


おお?!避けた!


金棒を捨てて身を引いたな。


判断が早い。


俺は刀を振り抜いてしまっている。


隙ありってやつだ。


だが……。


「ハヤ!」


「ガウ!」


俺が叫ぶや否や、早太郎が俺の肩を蹴って、オーガの顔面に飛び掛かる。


そして、魔力爪でオーガの瞳を抉るように斬り裂いた。


『グガアアアッ?!!!』


流石に、オーガも目は弱かったか。


視力を失い混乱したオーガは、たたらを踏んだ。


その隙を見逃す俺ではない。


「らああああっ!!!!」


首を落として……、いや、あまり斬れなかった?!浅い!


焦ったか?!


いや、これは……。


『グルル……、ガアアアアアアッッッ!!!!!!!』


「ぐ……っ?!」


何だこれ?!


暴走モードか?!


赤い肌が更に赤くなり、血管が浮かび上がり、馬鹿みたいな大声を出しながら無茶苦茶に暴れ始めた!


なるほど、下手に追い詰めると暴走モードが発動するのか……。


……とはいえ、いくら強くなってもめくらじゃあな。


素人の喧嘩なら、キレてアドレナリン出して暴れ回る奴は怖いが、武道家同士の戦いでは冷静さを失った方が負けなので……。


何度か斬り付けて、倒した。


最初に武器を落としたのも大きかったな。


オーガは、なるべく一撃で倒すように心がける。


あ、オーガから『狂化』のスクロールが出た。


……怖いから使わない。


オーガは討伐ポイントが千六百で、素材が七百だ。




二十階層ボス、ハイオーガだ。


2.6mの巨体、丸太のようにぶっとい金棒を二本持ち、鋼鉄の鎧も身につけている。


こいつぁヤベェや。


強いぞー。


『ガアアッ!!!!』


「うおおおおおおっ!!!!」


だが……、死んでもらう。


『ガオアッ!!!』


「はっ!得物二本持ってようが、そのデカい図体ならよぉ、すぐに懐に入れちゃうんだな!!!」


行くぞ、スキル『硬化』をプラスした……。


「御影流、『鎧通掌』ッ!!!!」


『ンガッ……?!!』


そしてぇ……!


スキル『縦横無尽』をプラスした!


「御影流、『昇り辰神』ィッ!!!!」


大きく跳んで顔面を下から斬り、上げる!!!


『ガア……ッ!』


よし、殺した。


大したことなかったな。


いや、こいつも『狂化』があるのか?それを考えると早期決着は正解だったな。


あ、違った。


ハイオーガは『強化』のスキルスクロールをドロップするみたいだ。


強化は俺が使っておこう。


ハイオーガの討伐ポイントは二千二百、素材は千五百。うま味。




休憩エリアで素材を売ってポイントを得る。


ポイント?まあ、十万は超えてるな。


ステータスはこんな感じ。


×××××××××××××××

赤堀藤吾

Lv37


HP:185

MP:110

STR:128

DEX:119

VIT:89

INT:77

MND:155


SKILL

《炎魔法》《縦横無尽》《咆哮》《火の息》《金剛》《強化》

×××××××××××××××


×××××××××××××××

早太郎

Lv31


HP:98

MP:67

STR:80

DEX:140

VIT:71

INT:51

MND:82


SKILL

《縦横無尽》《魔力爪》《咆哮》《テレパシー》

×××××××××××××××


うん、大分強化されたな。


「やあ」


お、ソラだ。


「どうした?」


「経験値について相談があるのだけれど」


「何だ?」


「一人の場合200%で、四人で100%で、八人で50%で、以降一人増えるごとに-10%でどうかな?」


キッツイなそりゃ。


「一人で150%、四人で100%、八人で80%、以降一人増えるごとに-5%で良いだろ」


「八人で80%は甘くないかな?」


「つっても、安全マージン取るなら八人で最低人数じゃねーか?」


「いやそこは、テイムモンスターとかで補ってもらいたいんだけれど……」


「まあここにいるハヤはめちゃくちゃ役立つ相棒だけど、普通の人間は犬とか連れてダンジョンに行くとかやらんだろ」


「でも、テイムは、スクロールが百ポイントで買えるんだよ?普通、気がつかないかな?」


「いや、どうだろうな……」


「そうだ!日本国民にダンジョンを一般公開したら、藤吾君がテイムの重要性を説いてくれれば良いと思うんだ!」


「いや、一高校生である俺にそんな発信力はねーよ。お前がやりゃ良いだろ」


「いや、私から攻略情報を言う訳にはいかないんだ。それは『ネタバレ』だし、『ズル』だよ」


ふーん。


「ま、出来る限りはやるけど、それで聞かなかったら知らんぞ?」


「うん、ありがとう」


さて、こんなもんか。


「ああ、それと、来月には『武具修復』と『武具強化』と、それと『浄化魔法陣』を追加する予定だよ」


「おー、助かる」


じゃあ……、帰って寝るか!

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