第11話 順調な攻略

世間はゴールデンウィーク。


みんな恋人とか友達とか、家族とかと過ごしたりするんだろうなあ……。


まあ普通に女も好きだけど、俺はそれ以上に、切った張ったの殺し合いが好きなんでな!


自動解体ナイフとアイテムバッグがそれぞれ、1000ポイントと5000ポイントでショップに実装されたので、それを持ってさあ攻めるぞ!




十六階層。


相変わらず草原。


恐らくは十階層ごとに環境が変化するんだろうな。


敵モンスターは牛。


闘牛っぽいやつ。


栗毛に白い刺青のような紋様が頭と肩にある。


『ブルル……!』


「おっとぉ……?」


土魔法か。


握り拳くらいの石の礫を飛ばして牽制しつつ、デカいツノで突っ込んでくるのか。


「まあ俺の方が強いんだけど」


伊達にレベル上げしてねぇよ。


礫を全て斬って、突撃してくる牛本体も縦に両断する。


そして、死体に解体ナイフをブスッと。


「おおっ」


すると、死体がピカッと光って、部位ごとに分けられた肉の塊と、骨、角が出てきた。


「よし!肉食うか!」


俺は策士だから、こんなこともあろうかと塩胡椒とフライパンを持ってきたのだ。


肉を小太刀で薄切りにして、火魔法でフライパンを温めて肉を焼く。


「んお?!こりゃうめーな!」


筋肉でガチガチの猛牛なのに、肉はとろける和牛系だ。


なんかもう、申し訳なくなってくる。


大好きな戦いができて、その上でこんなうまいもんまで貰えるとは、俺は前世でどんな善行を積んだんだろうか?


あーうめー。


「おら、ハヤも食え食え」


「ワウ!ガツガツ……!」


その後も、何匹か倒して土魔法のスキルスクロールを確保した。


ゴールデンウィークはそれで潰れたな。


ああ、牛は一匹三百ポイント、肉皮骨角全部売って合計五百ポイント。




十七階層。


『『『『ギチギチギチギチ……!』』』』


「アリだー!」


体高1.2mはある巨大アリ。


量が多い!


「おらっ!しゃあっ!せあっ!りゃあ!」


クソが、めんどくせーな!


「はあー、頑張った」


三十匹くらい一気に出たなー。


お、スクロールだ。


スキル『穴掘り』だってよ。いらねー。


「さて、じゃ、アリ食ってみるか」


鑑定で食用可って出てるしね。


「……甘酸っぱい?」


蟻酸ってやつかな?


甘くて酸っぱい。でも嫌な酸っぱさじゃなくって、こう、レモンっぽい感じ?


「ハヤは食うか?」


「ワフ……」


要らないそうだ。


んん?


アリの中に色違いのアリがいるな。


普通のアリがソルジャーアントとすれば、色違いはジェネラルアントってところか?


ジェネラルアントからは……。


おおっ、『テレパシー』のスキルスクロールだ。


早速、早太郎に使わせよう。


えーと、何々……?


『犬も食べないような物、食べちゃいかんよ。ご主人は人間なのに……』か。


うん、黙ってろ。


アリは討伐ポイントが四百、ジェネラルは六百。


素材全売りで三百、ジェネラルは五百。




十八階層。


「何だあれ」


『………………!!!』


うねる植物。


百合のような花。


キラープラントって感じか。


『フフフ……』


それと妖精さん。


ピクシーって感じ。


キラープラント、何やってくんだか分かんねえな、怖いぞ……。


「おおっ?!種マシンガン!」


種を百合の花みたいになっている花の部分から連射してきた!


威力?銃弾くらいはあるかもな。


『フフフ……』


「うおお風魔法も飛んできた!」


ピクシーが風魔法を放ってきた。


クソが、中々に凶悪じゃねえか。


見える驚異の種マシンガンと、見えない驚異の風魔法。


どちらかに気を取られてしくじれば死ぬ!


……まあ、俺はレベルが上がってるからそれくらいじゃ死なんのだが。


でも、当たれば痛いしな。


「だがまあ、近付けば何もできねーんだな、こいつら」


『縦横無尽』スキルを発動して一気に近付いて、思い切り斬ってやった。


手応えは軽く、脆さが窺える。


『……!』


『キャア!』


一撃だ。


ピクシーが『風魔法』のスクロールを落とした。


キラープラントは討伐ポイントが三百五十、素材全売りで三百。


ピクシーは討伐ポイントが四百五十、素材全売りで七百。




十九階層。


『……!』


アイアンゴーレムか。


鉄塊人形、2.4mはある。


だが……。


「致命的なまでに鈍いな」


後ろに回って斬る。


んん?


斬れない。


何かスキルを使ってやがるなこいつ。


と、俺が苦戦していると……。


『ギャガアアアア!!!!』


「ぬおおおおっ!」


動く石像の悪魔、ガーゴイルが空から来て、火の息を吐いていった。


「うおお、危ねえな!死ねこの野郎!『炎槍』!!!」


火魔法もちゃんと練習しておいたぞ!俺は勤勉だからな!


今では、着火、火炎放射、火球の他にも色々と作った。


人差し指を向けて念じるだけで発射できる『炎弾』と、槍投げの要領で繰り出せる高火力魔法の『炎槍』が使える。


炎槍はモーションが大きいし片手も塞がるし、使いづらい一面もあるのだが、火属性でその上、俺の全力の突き並の威力の攻撃を百メートル先くらいまでに当てられる。


強いゾ!


『ギャアアアアアアッ!!!』


炎槍がヒットして大爆発したガーゴイル。


派手だねえ。


で、ゴーレムは……。


何度も斬っていると、スキルを使うために必要なMPが切れたらしく、あっさり斬れるようになった。


何度か試してると、アイアンゴーレムは『硬化』というスキルを持っていると判明。


スキルスクロールが出たので俺が使う。


また、ガーゴイルも『火の息』と言うスキルスクロールを落としたので、俺が使う。


早太郎?早太郎は所詮畜生だから。


犬に火を与えちゃダメでしょ。


いくらレベルが上がって知能も上がったとはいえ、倫理観は犬のもの。人間とは違う別の生き物なんだ。


だから、早太郎には火のスキルは覚えさせない。


あ、因みに、アイアンゴーレムは討伐ポイントが千、素材が百!クソだな!


ガーゴイルは討伐ポイントが千二百五十、素材が五十!クソ!


でも、後で使って分かったが、『硬化』と『火の息』はかなりの有用スキルだ。




さあ、次。


節目の二十階層だ。

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