第10話 ステータス表示機能実装

十五階層。


『ブゴッ!』


「へぇ……!」


十五階層は、オークだった。


オークは身長180cm前後、俺と同じくらいデカい。


だが、ラグビー選手と相撲レスラーを足して割ったかのような、分厚い脂肪と筋肉を併せ持つパワーファイターだった。


得物は鉄のスレッジハンマー。


まともに受ければ刀が折られるな。


『ブゴゴゴゴッ!!!』


お、突っ込んできたな。


「どおおおおおりゃああああ!!!!」


オークが俺の脳天にハンマーを叩き落とす前に、素早く踏み込んで胴を斬る。


だが、浅いな。


腹の分厚い脂肪がクッションになって、斬れなかった。


なら、喉だ。


胴を斬られて怯んだオークの喉を斬る。


『ブゲッ!』


よし!


「当たれば死ぬドキドキ感!気持ちいいな!」


「ワフ……」


おや、またもや早太郎にドン引きされてしまった。


だが、博打は外れたら痛い目を見るから面白いんだよなー。


しくじれば死ぬ博打なんて、心躍らねぇか?


命をかけたゲームなんて楽しくてたまらねぇよ。


そうして、オークを蹴散らしながらしばらく進むと……。


『ブルルッ……!』


身長2mを超える筋肉の塊。


オークの上位種らしき奴が、次の階層への扉を守っていた。


言うなればハイオークってところか。


普通のオークとは違って、ガチガチの筋肉に、デカい大斧を持っている。


『ブゴーーーッ!!!!』


うっは、何だありゃ?スキルだな?


頭がクラクラするぜ。多分、『咆哮』とかだろう。


こんなもん、至近距離で食らったらまずい。


一撃で仕留めるぞ。


「実は、さっきから考えてることがあってだな」


『ブゴッ!!!』


「俺の『御影流』と『スキル』を、組み合わせて使えばどうなるのか、なんてな」


『ゴゴゴアーッ!!!』


行くぜ……。


「『突進』!そして、御影流『幻夜』!!!」


まず、俺は前方向に突進スキルで直進する。


そこに、気合の声と共にハイオークが斧を振り下ろす。


だが、その一拍前に俺は後ろ方向に『突進』を使ったステップで残像を残すかのように退く。


そして、ハイオークが俺の残像を斬り、斧を振り抜いた瞬間に、再び『突進』し、思い切り胸を貫く。


これが幻夜である。


『ガ……?アァー!!!』


ハイオークは絶命。何が起きたのかわかっていない様子だった。


うむうむ、最高だな。


だが……。


「……身体痛え!」


無理な動きをしたせいで、身体が痛くなった。


しばらくはレベル上げに勤しむか。




休憩エリアへ。


そこで、素材を売る。


蛇の死体一メートル分!百ポイントだ。


蛇の毒瓶!二百ポイントだ。


ファンゴの牙!八十ポイントだ。


ウルフの牙!三十ポイントだ。


カエルの舌!五十ポイントだ。


水魔法のスクロール!千ポイントだ!


オークの牙!五十ポイントだ。


ハイオークの牙!百ポイントだ。


ハイオークの斧!三百ポイントだ。


うーん、まあ、こんなもんじゃない?


あ、水魔法のスクロールは売らなかった。念のために取っておく。


「どうだった?」


お、ソラが出てきた。


「こんなもんで良いと思うぞ。あとは、解体用と運搬用のアイテムの実装と、ドロップ率の調整だな」


「そうだね」


「それと、ステータスの数値化だが、モンスターの能力を数値化して、それを基準に人間のステータスを表示できるようにしないか?」


「なるほど!でも、モンスターにも個体差があるからなあ」


「じゃあ、最弱のモンスターの最弱の個体のステータスがオール1ポイントだとして換算すれば良いんじゃねえか?」


「うん、それでいこうか。その場合、モンスター図鑑にも、モンスターの平均ステータスとかを表示するようにするね」


「良いんじゃね。それと後はドロップ率だな」


「人数が少なければ少ないほど、稀少なアイテムが出るよ」


うーん、そうなのか。


俺がソロでこのドロップ率……。


「まあ、ドロップ率はこんなもんじゃね?」


スキルスクロールはレアドロップと思えばこんなもんだろ。


「二人だと半分、四人だとそのまた半分で良いかな?」


「待て待て、そりゃ低過ぎだ。まず、ダンジョンってのは何人で攻略するのを想定してるんだ?」


「え……?ええと……、そんなこと、考えたことなかったよ」


「お前の世界では何人で攻略されてるんだ?」


「それはまあ、一人の人もいるし、八人くらいのグループもあるし……、色々だね」


「じゃあ、間をとって四人が推奨人数としたらどうだ?」


「じゃあ、そうしようかな。四人の時がレアドロップ率が……、物にもよるけれど、大体10%としようか。一人なら20%で、八人なら5%でどうかな?」


「とりあえずはそれで良いんじゃねーの?」


「八人以上来た場合どうしようかな……」


「あー……、超過人数一人につき、1%ずつレアドロップ率を減らしていく、とかか?」


「うん、そうするよ」




そんなこんなで一月ほどレベルを上げて……。


「ステータスの数値化を実装したよ」


ってことなので見てみる。


×××××××××××××××

赤堀藤吾

Lv24


HP:121

MP:64

STR:85

DEX:80

VIT:68

INT:50

MND:120


SKILL

《火魔法》《突進》《咆哮》

×××××××××××××××


×××××××××××××××

早太郎

Lv20


HP:71

MP:49

STR:64

DEX:88

VIT:50

INT:33

MND:60


SKILL

《跳躍》《魔力爪》《咆哮》

×××××××××××××××


「ほーん?これ、各ステータスの1がスライムのステータスと同じってことだよな?」


「レベル以外はそうだよ」


ほんほん、大体わかった。


成人男性のステータスが大体、オール2か3ってところだ。それを考えると、俺は強くなり過ぎたな。


「あ、それと、このスキルスクロールを試しに使ってもらえるかな?」


「おう」


ん?『跳躍』じゃん。


使うか。


×××××××××××××××

赤堀藤吾

Lv24


HP:121

MP:64

STR:85

DEX:80

VIT:68

INT:50

MND:120


SKILL

《火魔法》《縦横無尽》《咆哮》

×××××××××××××××


ほーん?


「スキルは合成されたり進化したりするんだよ」


「なるほどね」


大体わかった。

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