第9話 買取機能実装

日曜日はキチレンジャーと遊びに行った。


田舎なので、近所のジャコスで映画を観たり、マクダニエルでハンバーガーを食う程度のものだが。


平日は、学校帰りにレベル上げ。帰宅部なので時間はある。


そして、週末。


ダンジョンへ。


早速、デバッグルームに招待される。


「はい、アップデートしたよ」


「何をだ?」


「まず、ポイントショップでダンジョン産のアイテムの買取をやるよ」


ほーん。


「それと、ダンジョン産アイテムを、迷宮端末のカメラに翳すと、どんなアイテムなのか鑑定する『鑑定カメラ』も付けたんだ」


ほーん。


「試しに、この『スライムコア』を鑑定してから売ってみてくれるかな?」


「おう」


えーと、鑑定カメラ、と。


パシャリ。


《スライムコア》

《スライムのコア。汚水に入れると汚れを吸い取る。食用可。》


「えっ、これ食えんのか?」


「この世界で言うゼラチンみたいな感じだね。熱すると液体になって、冷やすと固まるんだ」


ほーん。


「じゃあ、次はそれを売ってみてくれるかな?」


「おう」


ポイントショップ、と。


えーと、売るものをカメラに写してください?こうか。


《スライムコア×1》


「決定、と」


お、スライムのコアが光って消えた。


ポイントは……、えっ?十ポイント?


「高くねえか?スライムは倒すと一ポイントなのに、素材は十ポイントなのか?」


「うん、そうだよ。だけど、考えてみてほしいんだ。まず、素材を持ち帰るっていうのは大変なことだよね。それに、スライムコアは、打撃攻撃で倒さないと手に入らないんだ」


「なるほどな、アイテムをドロップさせるために縛りプレイするし、持ち運べる量にも限界があるから、その辺はサービスってことか」


「そうだね、サービスだね」




じゃあ、早速、十一階層を攻めていくか。


『シャーッ!』


十一階層は草原だった。


敵は二メートルくらいの赤い蛇だ。


多分これ、毒とか持ってんだろな。


遠距離から火魔法で始末。


あ、火魔法では死体が残らないのか。


なら首を斬る。


首を斬ると死体が残る。


使えるのは皮と肉かな?牙も使えるか?


それと……、紫の液体が入った瓶?


これは何だ?鑑定カメラ、と。


《毒瓶》

《塗布ことにより、それに毒を付与する》


ほーん、毒か。


まあ、今のところは使わん。


これは売っちゃお。


あれ?売れない。


ってか、ショップが開けない。


あ、ソラから電話だ。


『もしもし?ショップは、ダンジョンの休憩ルームか、地上でしか使えないよ』


「おう」


なるほどな、そこまで甘くはないか。


死体と毒瓶を一つずつ鞄に入れた。


蛇のポイントは八十。




十二階層。


『ブルル……!』


イノシシだ。


ファンゴってところか。


それも、体高80cmはある、結構デカいやつ。


「まあ、だからと言って何だという話だが」


普通に突進を半身になって避けると同時に、首に刀を振り落とす。


一撃だ。


で、死体が残ったんだけど……。


「もしもし、ソラか?」


『うん、どうしたの?』


「これ、解体とかできないぞ俺」


『えっ?俵藤太君はできたよ?』


「だから、時代が違うんだって」


『ちょっと待ってね、ネットワークで調べるから……。ええと、何々……?』


数分後。


『驚いた!この国の人達は、屠殺場というところで専門家が解体した家畜を食べているんだね!』


「そうだ。だからまあ、例えば、死体に刺せば自動で解体してくれる魔法のナイフとかさ、そんなんないか?」


『あるよ。ショップに安値で入れておくね』


「それと、死体がデカ過ぎて持ち帰れねえから、物が見た目よりたくさん入るアイテムバッグみたいな魔法の道具を出せないか?」


『それもあるよ。ショップに入れておくよ』


さて……。


蜈蚣切丸の隣にあった小太刀で、ファンゴを解体する。


とは言え、やり方がわからないんで、太ももだけ斬り落とし、皮を剥いだだけだが。


これを……。


「『火炎』」


火魔法で焼く。


そして一口。


「……豚じゃん?!しかも美味い!!!」


めっちゃ美味いぞこれ?!


「ハヤも食うか?」


「ワン!……ガブガブ」


にしても、早太郎は最近めっちゃ食うなあ。


若返ったからってのもあるだろうが、それだけじゃなく、テイムモンスターとして進化してるからな。


あ、ファンゴのポイントは百ポイント。ゴブリンチャンピオンと同じ。


でも、皮とか肉とか牙とか、色々売れるし、ゴブリンチャンピオンより実入りが良いかも?


とりあえず、牙だけ持ち帰る。


それと、『突進』のスキルスクロールも得られた。


突進は俺が覚えた。




十三階層。


『ガウウッ!』『ガゥ!』『ガルルルルッ!』


灰色の狼だ。


グレイウルフってところか。


まあ、数が多いのが面倒だけど、囲まれないように立ち回れば問題ないな。


うお、デカい個体が魔力の爪っぽいの使ってきたぞ。


こいつは皮が売れんのかな?


とりあえず、首を剥ぎ取って持っていく。


低確率で『魔力爪』のスキルスクロールを落とすみたいだ。


魔力爪のスキルスクロールは早太郎に使った。


ウルフは一体百二十ポイント。


ウルフリーダーは百六十ポイントだった。




十四階層。


『ゲコッ』


カエルだ。


ジャイアントトードってところか。


大きさは一メートル以上。


『ゲロゲロゲロ!』


うお!魔法だ!


水魔法ってところか。


試しに当たってみたら、成人男性の全力パンチくらいの威力の水球だった。


これ、当たりどころによっては危ねえよな……。


まあ、俺は鍛えてるし、レベルも大分上がったから効かないんだが。


それだけじゃなく、近付くとこの70kgくらいはありそうなでかい身体で、のしかかったり体当たりしたりしてくる。


ファンゴの突進スキルのような力はないが、それでも、一般人は当たりどころによっては死ぬな。


「まあ、俺は死なんけど」


『ゲゴー!』


一刀両断。


「ワンワンワン!!!」


『ゲゴー!』


早太郎も、魔力爪のスキルを早速活用して、ジャイアントトードを斬り裂いている。


結構斬れるなあれ。


ジャイアントトードは一体につき百五十ポイント。


皮とか取れるんだろうけど、解体は面倒なので先へ。

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